スコア:755/999
出典:アニプレックス
『心が叫びたがってるんだ。』
【あらすじ】
山上の城に王子様がいると信じてやまない幼き頃の順は、城から父と女が出て来る姿を見てその話を母にする。だが、城は実はラブホでやがて両親は離婚。彼女は落ち込み、さらに謎の卵の妖精との出会いで会話力を失う。
【作品情報】
公開:2015年9月19日(日本)/上映時間:119分/ジャンル:アニメ映画/サブジャンル:青春映画/映倫区分:全年齢/製作国:日本/言語:日本語
【スタッフ】
(監督)長井龍雪/(脚本) 岡田麿里/ (主題歌)乃木坂46 『今、話したい誰かがいる』/(原作)超平和バスターズ
【キャスト】
水瀬いのり/内山昂輝/雨宮天/細谷佳正/村田太志/古川慎/大山鎬則/石上静香/高橋李依/内山昂輝/吉田羊/藤原啓治
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見放題配信
※情報は【2022年11月4日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。
ポイントレビュー
■実写版も勇気を出して見てみようかな……
ポイント:284/333|評価:GOOD
父親と母親がドクズ過ぎることを除けば、文句の付け所がない名作です。実写版もありますが、イメージを壊されるのが怖くて見られないレベルで、本作が感動させてくれたので、私は今のところ見るつもりはありません。
お話は言葉を口に出そうとすると、お腹が痛くなってしまう高校生になった順を中心にして展開されます。
この時点では、彼女はイジメこそ受けていないものの、クラスの中では完全に浮いた存在になっていますが、担任教師の一存で『地域ふれあい交流会』の4人の実行委員の1人に任命されたことで、彼女とその周囲は一体どう変わっていくのか?というのがテーマの一つです。
他の実行委員3人の過去や現在の葛藤も描かれていて、順の『喋ることが出来ない』こととそれぞれがリンクしています。このリンクのさせ方がしつこくなくて、私にとってはちょうどいい作品でした。
■ミュージカルシーンの声優さんも凄い
ポイント:307/333|評価:GOOD
本作では、人と普通に喋ることが出来ないまま高校生になった順が、『地域触れ合い交流会』の実行委員に選ばれて、出し物としてミュージカルをやることになるのですが、そのミュージカルシーンが鬼リアルです。
プロの声優さんじゃなくて、本物の高校生にCV(キャラクターボイス)をやらせたんじゃないのかと思うほど、それっぽい。
「うまい人もいて、適度に歌える人もいて、下手な人もいる」の高校生的なバランスが全然崩れていません。
ストーリーに関しても二重丸を付けて、さらにそれをヒマワリみたいにしてあげたくようなお話(昔、小学校の先生がやってくれたヤツ)。
そんでもって、ミュージカル好き称しておきながらこんな事を言うのもなんですけど、この作品に関しては、ミュージカルは作中の1つアイテムに過ぎないってのも良かったですね。
どう見たって、これは全編通してのミュージカルじゃ再現不可能な作品ですから。それでいて、ミュージカルや歌の素晴らしさを伝えてくれてる。これはなかなか出来ることじゃありません。
なぜ不可能なのかを知りたい方は、急いで、早急に、速攻で、再生ボタンをプッシュプッシュです。あ、あとハンカチーフの準備も抜かりなきようお願い致します。
別に木綿じゃなくても平気ですよ。
■ヒロインの母子の関係が非常に気になる作品
ポイント:164/333|評価:BAD
ああいう親、本当にいるみたいですね。成瀬順ちゃん。よく高校生まで耐えに耐えて生き残りました。
父親の言葉でトラウマを抱えながら、あんなムードの母子家庭で育つって生き地獄ですよ。私なら生きていく自信がない。やはり女子は精神的な部分では男よりも強しということなんでしょうが、ちょっと冷酷過ぎます。
特にお母さん、浮気され離婚して娘がしゃべる事が出来なくて、大変なのはわかるけど、病院のシーンのありゃないですよ。その他もろもろの場面でも酷すぎませんか?
映画のテーマの一つとして、「言葉は人を傷つける」というのがありますから、仕方ない部分はあるんでしょうけど、母親関連の描写は少々やり過ぎなんじゃないかと私は感じました。母親が普通にやさしい設定でも問題なかった気はします。
全体としては感動ストーリーとしてまとまっていて、それなりのアニメだとは思うんですが、私の中で良作の粋に達せられなかったのは、この点があるからですね。
どちらかと言うと、高校生になるまでの順の人生の方が気になってしょうがありませんでした。取り敢えず終盤はウルウルとはしちゃいましたが……
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
取り乱してしまう程に感動しちゃいました
メインレビュアー
ラブストーリー担当/最高評価視聴された方なら分かると思います。ポイントレビューに引き続き、もう一度言わせて頂きます。本作は本当に絶対的に根本的にミュージカル化が不可能な作品です。もし出来たら大天才ですよ。大天才。
だって、歌でなら自分の言いたいことを喋れるって気付くのが重要なプロットになっているのに、その前に誰かが歌いだしたら、意味不明ですよね。すっごく皮肉ですし。
それなら、俺が、私が、冒頭で歌った時に気づけよってことになっちゃいます。
……っていうか、そもそもがクラスのほぼ全員がミュージカルやる気なしってところからスタートする物語なのに、序盤から最後まで心情を歌で表現してどうすんのって話です。
まぁ、ミュージカル化なんてされてないんで、このキレ芸には意味が全くないんですけど、「なるほど、何でもかんでもミュージカル化は出来るわけじゃないのね」と、新たな気付きを生んでくれる内容だったので、つい書いちゃいました(笑)
それにしても、もう一人の主役の坂上拓実君、完璧超人過ぎでしょ。顔がいい。頭も悪くない。良い友達がいて人望も申し分ない。傷ついた人に対するやさしさを極めてる。さらに芸術的才能もある。
絶対こんないい男、現実にいないですよ。自分も成瀬と似たようなもんだよみたいなことを言っているシーンがありますが、もうその時点でやさしさ指数はMAX振り切ってますから。そういう自己同化的なやさしさに女はめちゃ弱いですから。
そりゃ思わせぶりな行動取るなって感じで成瀬順もキレますよね。
あと、クラスの人達も優しすぎ。私もあんな高校に行きたかった。ミュージカルパートはあんなにリアルなのに、なんでそこにリアリティがないんですか?
どいつもこいつも皆大好きですけど、高校のクラスってそういうもんじゃないですよ。もう少しドロドロしてるもんでしょ?
終盤のラブパートもなんなんですか?ナメてるんですか?実行委員の4人皆が救われるハッピーエンドってなんなんですか?
……と、何だか、一番高いポイントを付けておきながら、文句ばっかり書いているような気がしますが、私が今まで見てきた恋愛青春モノのアニメの中でこれほどのものに出会ったことはありません。
なので、つい取り乱してしまいました。
SFちっくな表現も入ってますが、話も分かりやすくほぼ完璧です。唯一わからなかったのはDTM研ってなんの研究するとこなの?ってことぐらいです。でも、私はDTMの意味について調べたりなんて野暮なことはしません。
何故かって、めんどいから。
あぁでも、思い返せば、こんなめんどくさがり屋の私でも文化祭とかは、クラスの皆と協力し合って盛り上がったもんですなぁ。そう考えると、順ちゃんのクラスメイトのいい子達な表現も、あながち間違ったものではないのかもしれません。
本作の名台詞
古今東西、ミュージカルってのは大抵奇跡が起きるもんなんだよ
出典:心が叫びたがってるんだ。/VOD版
役名:城嶋一基
声:藤原啓治