韓国映画『アシュラ』/サイコパスな市長さんは好きですか?

スコア:448/999

アシュラ出典:CJエンタテイメント
『アシュラ』


【あらすじ】

刑事という身分にありながら市長のソンベに裏の仕事を任されていたドギョンは、退職間近のある夜、市長からの金の件で班長ともみ合いなり殺してしまう。彼はこの件をきっかけに市長と検察の間で板挟みになっていく。


【作品情報】

公開:2016年9月28日(韓国)2017年3月4日(日本)/上映時間:133分/ジャンル:サスペンス/サブジャンル:クライムサスペンス/映倫区分:R15+/製作国:韓国/言語:韓国語


【スタッフ】

(監督)キム・ソンス/(脚本)キム・ソンス,キム・ジョンス


【キャスト】

チョン・ウソン/ファン・ジョンミン/チュ・ジフン/クァク・ドウォン/チョン・マンシク


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※情報は【2020年07月13日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。

ポイントレビュー


■市長役のファン・ジョンミンの鬼気迫る演技力

山守 秀久
山守 秀久
アクション担当
ポイント:159/333|評価:BAD

中盤のダレたシーンが無駄に長く、もう少し凝縮してくれれば、『アウトレイジ』のように人が死ぬアクションシーンもテンポに乗って見られたと思うんですが、合計すると作品の半分ぐらいはダラダラしています。

終盤に一気にそれを取り返すような展開になるものの、もうその頃には時すでに遅しといった気分になってしまっていたので、評価も上がりません。

ただ、市長のパク・ソンベ役のファン・ジョンミンの狂気的な演技は異常に光っていました。「あんな政治家の下で働くぐらいなら、死んだ方がマシだな……」と真剣に考えさせられた映画は、『ラストキング・オブ・スコットランド』以来です。

口元が笑っていても目が笑っていない人というのは、たとえ画面越しであっても言い知れぬ圧迫感があります。


■前評判でかなり期待はしてたんだけどね……

アクセル神田
アクセル神田
ドラマ担当
ポイント:147/333|評価:BAD

韓国映画に出てくる警察、検事が、漏れなくパワハラ・モラハラ気質な気がするのは気のせいでしょうか?

韓国の実社会は流石にここまで酷くはないと思いたいですが、私が見た韓国映画の8割は警察、検事がそうしたことを当然のように行っているので、本作を見ていてそこが何よりも恐ろしく感じましたね。

私が聞いた限りでは、そこそこ評判の良い作品かっただけに残念です。私にとっては結局は心無い人間同士が裏切り合ったり、殺し合ったりするだけの話でした。


■人として好感が持てる登場人物が余りにも少な過ぎる

猿渡 りん子
猿渡 りん子
既婚女性代表
ポイント:142/333|評価:BAD

主人公の汚職警官のドギュンがところどころで『MOZU』の時の西島秀俊と被って仕方がなかった。役柄はだいぶ違うけど、演じてる俳優さんの見た目の雰囲気がめっちゃ似てる時があるんですよね。

さて、ここらで俳優さんの外見の話はさておくとして、本題には入りましょうか……

本作の登場人物ってほとんどと言っていいほど好感持てる人がいなくないですか?まだマシなのは余命いくばくもないドギュンの奥さんと、サイコヤローを振り切ってるソンベ市長ぐらい。

だから、作中の登場人物達に対しては、途中から「もう全員死んじゃえば綺麗に終わっていいんじゃない?」と邪険に思ってしまっていたようで……

一緒に見ていた夫の指摘によれば、終盤の残酷無慈悲なシーンでは、血が苦手な私が恐がるどころか、ニンマリと笑みまでこぼしていた模様でございます。

本作を見て、ソンベ市長に好感を持った時点で人としてマズイ、マズイと思ってはいましたが、ついにここまで来ましたか……


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

わたくし、ソンベ市長をお慕い申し上げております

猿渡 りん子
猿渡 りん子
メインレビュアー
既婚女性代表/最低評価

ソンベ市長が下半身丸出しの状態で、ケータリングのワイン継いだり、おつまみ取ったり、会議室をブラブラ、ウロウロしながらも、真面目に話をしているシーンがシュールで面白かった。

そっち系の作品じゃないからお尻しか映らないけど、またそのお尻が綺麗でして……

「例え、汚職に塗れた政治家であっても、あんなに綺麗なお尻で生きていけるもんなんですねぇ。おでき一つ見当たりませんでした」

などと、レビューの出だしから意味不明な供述をしてしまいましたが、この映画の中で言えば、全てにおいてもっとも人間らしい人間は、実はソンベ市長なんじゃないかって、私は感じました。

冒頭で書いた通り露出狂のお茶目な人ですし、言い訳せずにある意味自分の欲望に忠実に生きています。狂気をはらんだ笑顔も隠そうとはしません。これほど開き直った人間らしい人間は、作中には他に見当たりませんでした。

そして、「その目…絶対に信じてはいけない目をしている」なんて言われることもあるけれど、私は元気ですって感じで、その人間力をフル活用して、言われた分はキッチリ落とし前をつけようとするタフさも彼は兼ね備えています。

他の登場人物達は人間らしく振舞おうとし過ぎて、返って人間らしさがなくなってしまっているんですよね。

本作品のタイトル『アシュラ』(原題も同じです)は、おそらく阿修羅の一般的なイメージから、ソンベ市長を頂点にした登場人物全体を例え表した言葉なんだと思いますが、それならもっと皆堕ちるとこまで堕ちて、修羅の道を突き進む方向で行かないといけません。

ソンベ市長の灰汁が強すぎて、彼以外は皆やることなすこと全てが中途半端に見えてしまう。

作中でチョン・マンシク演じるチャンハクが上司の検事の命令を受けて、ドギョンを拷問した後に、嫌な気分だみたいな顔をするシーンがあるんですけど、そういうのっていらないんです。

どうせやるなら修羅になる覚悟で徹底的にやって欲しかったと思います。ちゃんとこれが修羅の道だと分っているのは…そうした人間の業が分かっていて、本作で受け入れていたのは…結局作中ではソンベ市長だけなんですよ。

だからこう全体的に話の流れが、ゆったりなんですよね。途中途中で他の人物達にありきたりな人間味を注入しようとするから、物語の音程に合わなくなって、リズム感が狂っちゃってる。

後半なんてコイツの生き様に焦点当てた方が面白いわって、まるで気が付いたかのように、完全にソンベ市長の映画でしたしね。

本当にこの作品で描きたかったのって、「ある時ふいに開き直って、修羅になるのが人間ってもんでしょ?」ってことだと思うんです。

だったら、それを描く側も修羅にならないといけません。キャラ作りに情を入れては、面白いものも、退屈なものになってしまいます。

暴力的な描写がとても苦手で、かつ、とっても恐がりな私が、これだけ多くの残虐なシーンを見ても全く怯えていないのは、きっとそれが出来ていないように見えてしまったからなんでしょうね。

映画の中でのキャラ設定って本当に大事です。今回は完全にソンベ市長の一人勝ちでした

ただ、ソンベ市長をはじめ、各登場人物を演じた役者さん達の演技には申し分なかったことは付け加えておきます。韓国語が分からないので、台詞の上手さとかはわからずに言っていますが……

追伸

しかし、改めて書いたこのレビューを振り返るとどんだけソンベ市長好きなんだって感じですね(笑)。

はい、白状します。ケータリングのケツのシーンから、すでにちょっと好きでした。

本作の名台詞

私はお前が好きになったり嫌いになったりする

出典:アシュラ/VOD版

役名:パク・ソンベ
演:ファン・ジョンミン