邦画『ミスミソウ』/全ては壮絶ないじめから始まった……全国の漫画ファンを震撼させた衝撃の惨劇を完全実写化

スコア:513/999

ミスミソウ出典:ティ・ジョイ
『ミスミソウ』


【あらすじ】

中学三年生の春花は、転校先の田舎中学でスクールカーストに君臨する妙子の一味からイジメを受ける。その後、彼女は登校拒否を選択するが、今度は元いじめられっ子の琉美が標的となり春花は逆恨みを買ってしまう。


【作品情報】

公開:2018年4月7日(日本)/上映時間:121分/ジャンル:サスペンス/サブジャンル:サイコホラー/映倫区分:R15+/製作国:日本/言語:日本語


【スタッフ】

(監督) 内藤瑛亮/(脚本)唯野未歩子/(主題歌)タテタカコ『道程』/(原作) 押切蓮介『ミスミソウ完全版』


【キャスト】

山田杏奈/清水尋也/大谷凜香/大塚れな/中田青渚/紺野彩夏/櫻愛里紗/森田亜紀


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見放題配信

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※情報は【2022年11月5日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。

ポイントレビュー


■この田舎町の警察は何をしているんだい?

試文 書人
試文 書人
サスペンス担当
ポイント:172/333|評価:GOOD

主人公の春花や元いじめられっ子の琉美に対するイジメは陰湿なものではなく、ド直球のイジメ。というか、完全に犯罪。こうもあからさまにやって、教師達に気付かれないと考える生徒達もアホだが、気付かない振りをしている教師達はもっとアホ。でも、本作程極端ではないにしろ、イジメ(犯罪)を学校側が見て見ぬ振りをするケースは後がたたないからね。ただ、ここの警察は何の仕事してるんだ?まぁおかげで復讐しにも行けたんだけどさ。


■個人的には原作漫画版より実写版の方が見やすかった

アクセル神田
アクセル神田
ドラマ担当
ポイント:211/333|評価:GOOD

以前、たまたま入った漫画喫茶に本作の原作が置いてあったので、原作漫画を読んだ上で視聴しています。申し訳ないことに原作は苦手な絵面だったので、あまり頭に入って来ませんでしたが、実写版は分かりやすかったです。テンポもいい。原作版からの改変が見受けられたものの、概ね忠実に再現されている印象です。随分前に読んだので、適当なことを言ってしまっているかもしれませんが、二度は読みたくない鬱なお話なので……


■急転直下の展開に微妙についていけなかったかな……

橘 律
橘 律
元中学生女子代表
ポイント:130/333|評価:BAD

超展開過ぎて付いていけないところがありました。同タイトルの原作漫画の評判は耳にしてはいたのですけど、それを聞いて読むのが怖くなって、概要さえほぼ知らない状態で視聴しています。痛い、イタイ、いたい、ゐたい。でも、聞いていたほど胸糞な話ではなかったですね。受動的な切っ掛けとはいえ、主人公は戦ってますから。しかしあんなイジメや犯罪は中学の時に見た事ないな。きっと私の運が良かっただけなんでしょうね……


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

いじめがエスカーレートした時の最低最悪のケースです

アクセル神田
アクセル神田
メインレビュアー
ドラマ担当/最高評価

原作版とラストが違います。原作版では妙子も死にますが、本作実写版では奇跡的に生き残ります。覚えている改変らしい改変と言えばこれぐらいでしょうかね。少なくとも原作漫画のぼんやりとした記憶が蘇ってくる程度には実写再現度が高い作品です。

再現出来ていないのは、いじめっ子側の悪意に満ちた表情ぐらい。個人的には苦手な作画ではありましたが、あの表情は絵でしか表現できないでしょうね。それぐらい印象的でした。

とはいえ、原作版も本作実写版も登場人物だいたいサイコパスというのは、主人公が永遠に救われないことが確定しているようで、見ていて憂鬱になります。初見の方であれば、一縷の希望を感じさせて貰える場面があるんでしょうけど、おおよその話を知っている私のようなタイプの視聴者にはキツイです。

だからすでに原作を読んでいたり、概要を知っている方は開き直って見ちゃった方が楽だと思います。いっそのこと娯楽作品として見てしまうんです。

復讐シーンは一見凄惨に見えますが、真っ白な雪の上に真っ赤な血液が映えて美しいとさえ思える時もあります。いじめっ子達をバッサバッサとなぎ倒すシーンには爽快感もあります。

鬱映画として見なければ、案外エンターティメントしているんです。

ただね、私も分かっているんです。私が言っていることに無理があることぐらいは……中学校時代を過ごしたことがある人間であれば、どう斜め目線で見たって根深い問題について考え込んでしまう話です。いじめがエスカレートするとこうなるっていう、最悪のケースが描かれています。

いじめっ子の妙子派の取り巻き連中がしたことって、イジメの範疇を大きく超えて大罪ですからね。少年法で守られていなければ、ヘタすりゃ死刑です。放火殺人に当たります。しかもさらには彼女たちは生き残った春花さえも亡き者にしようとしていました。

人間こうも残酷になれるもんなんですかね。今後は現実でイジメを苦に自殺のニュースなんかを見ると本作をふと思い出しそうです。見て見ぬ振りをしている教師達に頭がくるシーンなんかも現実と一緒ですしね。

そしてぶっちゃけた話をすれば、本作で一番リアリティがある部分はそこなんです。

教師達が早めに対処していれば、こんなことにはならなかったんです。本作は極端な物語ではありますが、そこは現実とほぼ一緒だと思います。もっと言ってしまえば、現実世界で教師がいじめを放置していた事例がなければ、本作品の原作さえ生まれていなかったかもしれません。

本当にこのイジメの隠蔽問題ってどうにかならないんでしょうか。もうイジメはあるものとして、対処する方法ってないんですかね?イジメが発覚したら教育委員会からお叱りを受けるとか?いやいや、発覚して対処出来て良かったじゃんって話だと思うんですけどね、そこら辺は。

学校の先生も所詮人間ですから、事なかれ主義になってしまうのは分かるんです。つい先ほどまで私自身も「心に来るキツイ場面は見て見ぬ振りして娯楽映画として見ちゃえ!」なんて矛盾したことを書いていましたし……

だけど、これは映画の見方みたいな軽い話じゃなくて、現実に起こっている人の命がかかっている話です。私の身近に30を過ぎても、いまだに学生時代のイジメを引きずっている友人がいます。

私はイジメられた経験がほとんどないので、彼の気持ちに寄りそうことは出来ませんが、話を聞くことは出来ます。何の救いにもなっていないかもしれませんが、気軽に話を聞いてあげられる環境作りぐらいは。日本の学校でもやるべきなんじゃないでしょうか。

……………

時事問題に絡めるレビューにしないつもりでしたが、本作品を見た後だと結局はこうなってしまいますね。でも、実写映画版のラストはそんなイジメ問題に対しての希望を感じられるような終わり方に改変されています。

これについては賛否両論あるでしょうが、私は実写版の結末の方が好きです。妙子がしてきたことは永遠に許されることではないですが、彼女は直接的には放火に関わっていませんし。

ただ、現実世界だと大人になってから「中学時代に私のグループでこんなことがあってさぁ」と、自慢げに語り出すヤツがいるんですよね。あれもどうにかならないんでしょうか?こういう話はフィクションの世界だけで十分です。

本作の名台詞

早く行動に移してくれないかなぁ!!

出典:ミスミソウ/VOD版

役名:橘 吉絵
演:中田青渚