スコア:749/999
出典:ワーナーブラザース
『22年目の告白 -私が殺人犯です-』
【あらすじ】
控訴時効がなくなる直前に起こった連続殺人事件は、とうとう犯人不明のまま公訴時効の時を迎える。だが、事件から22年の後、犯人と名乗る人物が告白本を執筆。派手な出版披露会見を開いたことで世間は騒然となる。
【作品情報】
公開:2017年6月10日(日本)/上映時間:116分/ジャンル:サスペンス/サブジャンル:サイコサスペンス/映倫区分:全年齢/製作国:日本/言語:日本語
【スタッフ】
(監督)入江悠/(脚本)入江悠,平田研也/(原案)横山克/『殺人の告白』/(音楽)/(主題歌) 感覚ピエロ『疑問疑答』
【キャスト】
藤原竜也/伊藤英明/野村周平/夏帆/石橋杏奈/仲村トオル/岩城滉一
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見放題配信
※情報は【2022年11月4日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。
ポイントレビュー
■藤原竜也ってどんな役柄でもこなせる俳優だよね
ポイント:236/333|評価:GOOD
原作の韓国版を見てから、別の一本を挟んだ程度での感覚で観賞。藤原竜也の劇場型演技が本作品では若干鳴りを潜めていたので、俺個人としてはイマイチ乗り切れてない部分はあったけど、映画としてはそれなりに好感触だった。
話が話だから、実写版『カイジシリーズ』のような演技を期待する俺の考え自体が間違っていると思うしね(笑)
しかし、藤原竜也って面白い俳優だ。『カイジ 人生逆転ゲーム』の例のビールを飲むカットで、「犯罪的だぁ……!」なんて言っておきながら、あなた様は何回シャレにならない犯罪者役やってんの?っていう……いやいや演技うまいのに本当にユニークなお人である。
ガキンチョの頃、日本のTV連続ドラマ『凍りつく夏』で初めて見た時から、存在感はハンパなかったけど、ここまで第一線で生き残るとはあの時は思ってもみませんでしたな。
■リメイクながらもオリジナリティーあり
ポイント:256/333|評価:GOOD
私はこちらのリメイク版を先に見たので、韓国版よりも日本版の方が評価は高いです。本家韓国版の『殺人の告白』でも同じようなことを書いていますが、どちらを先に見るかで相当感想が変わると思います。
サスペンス映画の宿命ですね。それにしても殺人犯が書籍を出版するのって、世界での共通なんでしょうか?現実の日本社会でも当たり前のように凶悪犯が本を出版していますし……これってどうなんでしょう?
そのあたりの問題については、韓国版より日本版の方が若干深く掘り下げられている印象です。逆に韓国版は、各プロットのリズム感が良く、物語にかなり抑揚が激しくつけられています。
日本版はヒューマンサスペンスドラマ型、韓国版はエンターテイメントサスペンス型、と考えて頂くと違いがわかりやすいかもですね。
いずれにせよ、本作品がリメイクでありながらも、私に本作品オリジナルの魅力を感じさせてくれたことに間違いはありません。オススメです。
■観客真理の裏をついたキャスティングが凄い
アクション担当/最高評価
原作の韓国版の良かった点を踏襲しつつ、日本向けに上手くアレンジされています。
漫画やアニメの実写化は今まで原作者に励ましの手紙を送りたくなるほどに酷いことが多いですが、国境をまたいだ映画から映画へのリメイクは、意外と良作が思い浮かべやすいです。
リメイクモノ全体を通してみても、平均点前後の幾らかまともなものが中央値を支配していると思います。ジャッキーチェン版の『ベスト・キッド』も私の評価こそ低いですが、見られなくはありませんでしたから。
実写化とリメイクとは似て非なるものだという意見もおありでしょうが、話の筋と登場人物の特長及び性格をすでに知っているという面では、根本的に一緒のものだと私は考えています。その点を考慮した上での評価を下すのであれば、本作品は相当優秀な映画だと言えます。
まさに適度に大胆な脚本改変とキャスティングの勝利です。ラストが違いますので、すでに韓国版をご覧になっている方でも十分楽しめると思います。
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
リメイク版サスペンス作品のハンデを見事に乗り越えた
メインレビュアー
アクション担当/最高評価リメイク作品の成功例の一つとして挙げられる内容に仕上がっています。本作品には物語の核心部分にかなりの改変が加えられており、これについては賛否両論あるとは思いますが、中盤の一部の場面と話のオチに限って言えば、私は日本のリメイク版の方が好きです。
特に、リメイク元の『殺人の告白』で、私がシーンとして浮いていると批判したカーチェイスのシーンを削ってくれたのは嬉しかった。この原作脚本の中で、それほど数多いとはいえないアクションシーンの一つが削られたことを喜ぶアクション映画ファンもどうかと思いますが、いらないものはいらないんです。
ただ、日本のサスペンスの場合、演じている役者さんとその登場回数で、何となく先が読めてしまうという難点はあります。本作品も頑張ってはいるんですが、やはり所々でそれが覗き見えてしまう。
これは普段から日本の俳優が出演しているテレビドラマや映画を見ている日本人である以上、どうしようもないんですが、これが日本においてサスペンス映画の名作がなかなか出て来ない大きな理由のひとつです。
他のジャンルでも、ある程度これと同じことが言えますが、サスペンスジャンルでこのハンデは非常に痛いと言えます。
邦画のサスペンスよりも海外のサスペンスの方が面白く感じられることが多い理由として、「出ている俳優があんまり良く知らない人だから」というのは大いにあり得る話です。
それぞれのお国でも、同じような現象が起きているのかもしれませんが、日本の映画の場合は、この影響がかなり色濃くでてしまっているイメージです。ハリウッド映画なんかは、日本の映画と同じ状況に陥ってもおかしくない状況なのに、それでも自国民に愛されていますから。
とはいえ、このハンデを克服する上で藤原竜也を起用したのは正解だったと思います。彼は『藁の盾』や『デスノート』などで、サイコパス役を数多く演じている俳優です。これを逆手にとって利用することで、物語全体を上手く霞をかけています。
この話は本作を見た方にしか分からない話ですが、この逆転の発想は実にしたたかです。
また、核心部分の改変についても、リメイク元の『殺人の告白』へのリスペクトと捉えられなくもありません。ラストを知る原作版映画を見た人間にとっては、どうしたって衝撃度が弱くなってしまう部類の話ですから、そこは適度に変えておかないと、高い評価は絶対に得られません。
そうした意味ではリメイク版のサスペンス映画の苦しい部分を見事に切り抜けた作品だと言えます。本作品も韓国版と同様に秀作の称号を付せる作品です。
ただ、どちらも殺人を告白する犯人が若過ぎるというのは笑えました。特に日本版は事件から22年後ですから。作中の設定では44歳だそうで……映画界での藤原竜也のイメージを逆手に取る戦略は成功でしたが、公開当時の彼を44歳と言うには流石に無理があります。
フィクションなんですから、もう少し犯人が告白するまでの期間を短く設定できなかったんでしょうか?それこそ韓国版と同じく17年ぐらいで良かったんじゃないですか?
まぁ、そこが出来るだけ現実社会のルールに沿って、リアリティを出したいという日本映画の良いところではあるんですが……そこは特にこだわる必要はないのでは?と思った次第です。
本作の名台詞
一連の殺人事件にピリオドを打つことを決意した
出典:22年目の告白 -私が殺人犯です-/VOD版
役名:曾根崎雅人
演: 藤原竜也