洋画『ワールド・ウォーZ』/地球が俺たちの花園だ!映画史上もっともラガーマンっぽいゾンビここに降臨

スコア:298/999

ワールド・ウォーZ出典:東宝東和
『ワールド・ウォーZ』


【あらすじ】

国連の危険地区調査員としての経験を持つジェリーだったが、今は妻と2人の娘と共に平穏な毎日を過ごしていた。だが、世界では人をゾンビ化させるウイルスが蔓延しており、彼が住む町にもついに魔の手が迫ってくる。


【作品情報】

公開:2013年6月21日(アメリカ)2013年8月10日(日本)/上映時間:116分/ジャンル:パニック/サブジャンル:ゾンビ映画/映倫区分:全年齢/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督) マーク・フォースター/(脚本) マシュー・マイケル・カーナハン,ドリュー・ゴダード,デイモン・リンデロフ/(音楽) マルコ・ベルトラミ/(原案) マシュー・マイケル・カーナハン,J・マイケル・ストラジンスキー/(原作) マックス・ブルックス『WORLD WAR Z』


【キャスト】

ブラッド・ピット/ミレイユ・イーノス/ダニエラ・ケルテス/ファナ・モコエナ/ジェームズ・バッジ・デール/マシュー・フォックス/アビゲイル・ハーグローヴ/ターリング・ジェリンズ/ファブリツィオ・ザカリー・グイド


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ポイントレビュー


■もう死んでるのに関わらず、必死なゾンビ達を応援したくなる

試分 書人
試文 書人
パニック担当
ポイント:78/333|評価:BAD

ウイルスに感染すると、『走れるゾンビ』になる。今となっては現実界の『走れるデブ』以上に珍しくも何ともなくなった存在であるが、足はおそらく人間だった頃より速くなっている。また、頭を打たれたら死んでしまうのに、フロントガラスやドアの小窓に頭突きで突っ込んでいく習性を持っている。おそらく自殺願望があるのだろう。

ただ、彼らが人々を襲っていく姿は、まるで花園を目指して奮闘するラグビー部員のようで、胸に打たれるものがあるのは確かだ。スクラムを組んで、巨大な壁をよじ登るシーンでは、思わず応援してしまったほどだ。

頑張れ!頑張れ!脳みそが使えるのに、アホな人間になんて負けるな!!

そう、これはそういうゾンビ応援映画である。

見ていてビックリすることはあっても恐怖することはない。レーティング(年齢制限)が全年齢のゾンビ映画だという時点で、そこの部分の察しはある程度ついていたが、パンデミックの恐怖を描きたかったのか、俊敏なゾンビの恐ろしさを描きたかったのかが、終始はっきりとしない作品なので、ゾンビ側の立場にたって視聴しないとやっていられなかった。


■主人公が完璧超人すぎるのも考えもの

猿渡 りん子
猿渡 りん子
SF担当
ポイント:115/333|評価:BAD

お子さんに見せても大丈夫なゾンビ映画です。

ホラー要素は人間が猫まっしぐらなスピードで噛みつかれたり、体当たりしてくる程度で、最早主人公達の敵がゾンビから生き残った人間達へと変わってしまった『ウォーキング・デッド』の世界のように、彼らの存在は単なるパンデミック収束までの障害物といった様相を呈しています。

グロテスクなシーンも少なく、ゾンビ達の外見も動きが速すぎてその容貌をじっくりと確認する機会が余りないので、自ら進んではゾンビ映画を見ないという方でも、安心して見られますが、安心して見られるゾンビ映画ってどうなの?と思わずにはいられません。

何よりも良くないのは主人公のジェリーが完璧超人過ぎることです。

先ほど例に挙げた『ウォーキング・デッド』は、ホラーが苦手な私が唯一、自ら挑戦した海外連続ドラマなのですが、ここまで完璧な人がいないので、マンネリ化した今現在も惰性で見続けられていますが、本作は「どうせお前がなんとかするんだろ?」って印象が強すぎて、惰性で見るのも難しかったですね。

物語の頭から爪の先っちょまで、護衛がいらないぐらい強いんなら、最初から断って自分一人でいけよって思いました。無駄死にの護衛兵が多過ぎます。これなら中堅どころのYoutuberがアップしている強くてニューゲームのプレイ動画を延々と見せられている方がよっぽどマシです。


■足の速いゾンビってどこに需要あるんだろう?

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:105/333|評価:BAD

当サイトで取りあげた作品で例えるなら、『アウトブレイク』のパンデミックパニックな世界観を私の実家のカルピスよりも薄めて、『ウォーム・ボディーズ』から足が速いガイコツだけをスカウトしてきたような映画。

ただ、テンポだけは良いです。目まぐるし過ぎて目が回ってしまいそうなぐらい。一時停止ボタンを押し忘れてトイレなんて行こうものなら、もう主人公のジュリーは別の場所に移動している。

そして、だいたいそのトイレに行く前に一緒にいた人達は大した感慨もなく、綺麗サッパリといなくなっている。

かけっこが得意なゾンビだからって、展開まで駆け足にしなくても……とは思いましたが、この内容でまったりされても苦痛なだけなので、「さっさと終わらせよう」という気概だけは評価しても良いのかもしれません。

やっぱりゾンビはゆったりしてないとね。足が速いゾンビがメジャーになれない理由が良くわかる映画です。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

打ち切られた少年漫画みたいな終わり方すんなよ

試分 書人
試文 書人
メインレビュアー
パニック担当/最低評価

ゾンビのアタックが異常に激しいことに、まずは違和感がありまくり。腐ってんじゃないのかよ、お前ら?そんなに強くぶち当たったら色々もげちゃうぞ。

あと、頭撃たれたら死ぬって設定は既存のゾンビを踏襲しているクセに、なぜその大事な頭でガラスに突っ込んでいこうとする?意味が分からん。ヘタしたら、死ぬぞ。もう死んですけど。

いっそのこと、『もしもラガーマンとアメフト選手がゾンビ化したら』って企画でいった方が良かったんじゃないかってぐらい、内容的にツッコミどころ満載の作品。

ラガーマンゾンビの司令塔はスタンドオフで、アメフトゾンビの司令塔はクウォーターバックって設定で話を作れば、100分の1の製作費(本作の製作費は日本円にして200億円越え)で、良いコメディ映画になると思うんだけどな。

こうしたパニックホラーでツッコミどころが多いのはお約束だけど、だいたいの作品はワザとやってるからね。真剣にふざけて、ここでちょっと笑って貰おうみたいな。だから、最初から最後まで真面目を貫きたいんだけど、天然ボケが隠しきれていないこういう作品が珍しいのは確か。

もう登場人物にしても何にしても何処から突っ込んだらいいかわからない。

主人公のジュリーは辞めた国連に自らお願いして家族を助けて貰いながら、家族がいるから仕事は手伝わないとか言い出すし、そのクセ司令官っぽい軍人に「生きる戦うヤツしかここにいる資格はない」みたいなことを言われたらすぐ考えを改めるしで(この件に関しては司令官が言うことがもっとも)、全く自分というモノを持っていない。このシーンで微妙に伝わったのは家族を大切に思う男ってだけ。

そんでもって、いざ出陣となったらなったで、自分の妻が余計な電話を入れたことで、間接的に家族に殺されかける始末。つーか、ゾンビは音に反応するって言ってんだから、せめて、マナーモードにしとけよ。衛星電話はマナーモードないのか?そんなわけないだろう。

挙句の果てには、自分の無事を報告するシーンで、「あん時はタイミングが悪かった。電話出られなくてごめんね」って軽い感じで謝っちゃうし、その時の妻は故意犯的な表情をしてるしで(個人の感想です)、もう自分も守りたい家族もムッチャクチャ。

もう主人公の彼を筆頭に何もかもが天然過ぎる。

壮大にネタバレさせて頂くとすれば……

上映開始してまもなく、ラガーマンゾンビ襲ってきました。家族総出で全然知り合いでもなんでもない一人息子がいる外国人ファミリーが住むアパートに逃げ込みます。いい人だったから、快く受け入れてくれます。でも一人息子以外死にます。ジュリーの家族は全員無事です。

その10分後ぐらいに、国連の元同僚の助けで特別に軍隊のいる船に家族で乗せて貰えることになりました。色々襲われてウイルス移されてるかもって、11秒数えたりして大変だったけど、何とかヘリで家族全員逃げられました。再生時間が20分も経たないうちにThe脱出エンド的な雰囲気が流れますが、まだ物語は続きます。

なんやかんやあって、世界のために立ち上がったジュリーは一人、巨大な壁で覆われた避難所に向かいます。そこにいた避難民達は「壁に囲まれてるから平気だよね、そういうのって嬉しいよね」っていう一体感がつい嬉しくて、音に反応するゾンビが壁の外にうようよいるけど、大声でみんなで歌を歌います。結果、やっぱりゾンビきました。スクラム組んで壁をよじ登って来ました。

ただ、そこで目の当たりした阿鼻叫喚の光景の中に世界を救うヒントが……ジュリーは致死性の普通のウイルスに感染している人間はゾンビ達にとって「透明な存在」になれるということに気が付きます。日本人にとっては某事件を彷彿とさせる意外とシャレになってない表現ですが、このヒントを元にイスラエルで自分が助けたGIジェーンと共に沢山のウイルスサンプルがあるWHOの研究所へ。

ジェーンは命からがらWHOに到着し、ケガの影響で3日間眠りこけますが、目覚めたあとにいらないやり取りを一応研究員と済ませたのち、ウイルスのサンプルは少し離れたB棟にあることを知らされ、そして、そこにいた研究者は全員ゾンビ化していると言われますが、当然そんなことは気にせずにそれを取りに向かいます。

ちなみにB棟にいた研究者達の2次感染の理由は『アウトブレイク』の時と同じく、検査時のヒューマンミスです。頭脳派と一般的に思われがちな理系職員は、意外とドジっ子なのでした。

そして、とうとうB棟に到着。物語も終盤です。ここに来て、初めて音に反応するという設定が真っ直ぐに生かされますが、どう見てもゾンビと人間がダルマさんが転んだで遊んでいるようにしか見えないので、ちょっと懐かしい気持ちになります。

でも、鬼であるゾンビは噛みつくだけでタッチは出来ない仕様なので、遊びとしては成立しません。ジュリーはそこに付け込んで、保管庫でウイルスサンプルを見つけますが、何故か一匹のゾンビがジュリーに気が付き八方塞がりに。彼は最終手段として、その効用を自らの体で試すことで、脱出を図ります。

さぁ、いよいよラストです。結果的にこの人体実験兼、脱出計画は成功し、無事自分を保護してくれた研究員達のいるところに戻ることができました。そのシーンはさながら『十戒』のモーゼのようでした。彼は海ではなく、ゾンビのダッシュ行列を真っ二つに割り、彼は一休さんのトンチの如く、そのど真ん中を悠々と歩いたのです。

こうして、ジュリーは世界の救世主となりましたが、「透明な存在」になっただけで、まだゾンビが世界中にウジャウジャ入る状況は変わりません。これでは真の意味で世界が救われたとは言えません。でも、世界中で人類は立ち上がろうと動きを見せ始めています。

そうです。まだ戦いは終わってはいないのです。そこでジュリーはエンドロール直前に、続編への期待を込めてこう呟きます。

「戦いはまだ始まったばかりだ」と。

はい、エンドロール……

以上、ネタバレたっぷりの長文ツッコミレポートであるが、マジにこんな感じの作品である。これでもまだツッコミ足りないぐらい。

ただ、映画のオチに関しては、現実での本作の話題やニュースありきでお気に入り。続編やる気満々みたいだったけど、どうも初公開から時間がかかり過ぎて、やらないことに決まったっぽい。

「戦いはまだ始まったばかりだ」

打ち切りになった少年漫画みたいな台詞で締めくくるからこうなるんだよ。

本作の名台詞

戦いはまだ始まったばかりだ

出典:ワールド・ウォーZ/VOD版

役名:ジェリー・レイン
演:ブラッド・ピット