洋画『ロスト・バケーション』/主役がサメじゃないサメ映画だってあるんです!

スコア:577/999

ロスト・バケーション出典: ソニー・ピクチャーズ
『ロスト・バケーション』


【あらすじ】

医学の勉強に忙しいナンシーは久しぶりに休暇を取り、亡き母が教えてくれたとっておきのサーフスポットを訪れる。素晴らしい波に夢中になる彼女だったが、その海中にいたサメの方もまた餌としての彼女に夢中になる。


【作品情報】

公開:2016年6月21日(アメリカプレミア上映)|2016年6月24日(アメリカ)|2016年7月23日(日本)/上映時間:86分/ジャンル:パニック/サブジャンル:サメ映画/映倫区分:PG12/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督)ジャウム・コレット=セラ/(脚本)アンソニー・ジャスウィンスキー/(音楽)マルコ・ベルトラミ


【キャスト】

ブレイク・ライヴリー/ジャネール・ベイリー/ブレット・カレン/セドナ・レッグ/オスカル・ハエナダ/パブロ・カルバ


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ポイントレビュー


■一途なサメのありがちなラブストーリーではあるが……

試文 書人
試文 書人
パニック担当
ポイント:207/333|評価:GOOD

サメ映画としてはA級ともB級とも言えない製作費用に見合った中途半端にしっかりした作品。ただ、生き残るために必死に足掻くヒロインのナンシーを素直に応援出来ず、お前はお馬鹿さんか?と言いたくなるシーンが多数あるところは、プラス材料と言えるだろう。おそらく10人中、6人ぐらいは、ナンシーではなく、襲ってくるサメを応援したくなる。

これはサメ映画界では良くいる一途なサメの一種だが、映画自体は無感情な攻勢シーンの数々を映し出しているのにも関わらず、「実はコイツこの女を殺す気はあんまないだろ」って感じがここまでひしひしと伝わって来るのは珍しい。

最後にこの屈折したこの恋がどうなるか、もしかしたら無理矢理想いを遂げるために喰ってしまうのか、というドキドキ感はあったので俺はかなり好きな部類だ。

ただ、拗らせに拗らせたZ級のサメ映画マニアの場合は相当低い評価になると思われる。つまり、普通に王道パニック映画として成立してしまっているサメ映画である。


■本作のロケ地は南半球だから12月24日は確か夏だよ

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:157/333|評価:BAD

ヒロインの医学生設定が単なる尺稼ぎにしかなっていないところは少し残念でした。この程度の医学の使い道なら、海洋生物学者とかのが良かったんじゃないでしょうか?多分、シーンによっては、ガチモンの漁師さんに笑われるような自己治療をしています。

しかしながら、文句をつけるとしたらそれぐらいかな?短いのもいい。でも、これヒロインの人物像を描けば描くほど、裏目に出てるような気が……そこも含めて監督の狙いなら、アッパレですな。だけど、不思議と面白かったとは素直に思えないんですよね。なんでだろう。サメが登場するってだけで、観る時にガッカリフェチ心が疼くとでも言いましょうか……変な身構え方をしてしまうのかもしれません。

また、ここからは余談ですが、真冬のクリスマス・イヴの日に夏っぽいイメージの本作のレビューをアップしたのは嫌がらせではないことをどうかご理解ください。なんとこの映画のロケ地!オーストラリアのロード・ハウ島なんだそうです。

オーストラリアといえば南半球……真夏にクリスマスを迎えることで有名ですからね。グローバルな視点で見れば、時期的にはかなり適切な掲載だったというワケです。皆さん、素敵なイヴになるといいですね。


■アンチセリーナ派にはたまらないサメ映画

橘 律
橘 律
ゴシップガールファン
ポイント:213/333|評価:GOOD

私がドハマリした海外ドラマ『ゴシップガール』で、メインヒロインのセリーナ役を演じたブレイク・ライヴリーが主演ということであれば、どんな映画でも見ないわけには参りません。

最近『ゴシップガール』を見始めて(あるいは見返して)のセリーナへのヘイトがかなり溜まっているという方は、盛り上がれること請け合いです!やばい作品が9割越えのサメ映画だからなどという偏見は捨てましょう。

出来ることなら『ゴシップガール』好きのアンチセリーナ女子だけの集まりで見たかった作品ですね。私は一人で見ちゃいましたけど、それでもかな~りスカッとしましたから、一人孤独に画面を見つめながら、本作『ロスト・バケーション』とは関係ないセリーナへの悪口も言っちゃってましたし。皆でワイワイしながら見るならもっとスカッてたことでしょう。

でもでも、これって、それだけブレイク・ライヴリーがセリーナを上手く演じてたってことなんですよね。女優さんに罪はありません。本作でもいけ好かないサーファーヒロインのナンシーを熱演されております。

ストーリーも概ね良い方ですよ。枕に「サメ映画にしては」を付けなくても、面白い部類のパニック映画だと思います。うん、客観的に見ればたぶんそういう感想になると思います。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

絶対見えないところで悪意があったキャスティングだと思う!

橘 律
橘 律
メインレビュアー
ゴシップガールファン/最高評価

本作のサメさんはあまり自己主張の強いタイプではありません。ほとんどのサメ映画では、タイトルですでに出オチをかましてるぐらいサメ推しシャーク推しですけど、本作は邦題『ロスト・バケーション』(原題)と『The Shallows(浅瀬)』の付け方からも分かる通り、あくまで主役はブレイク・ライヴリー演じるヒロインであるセリーナ……もとい、ナンシーでございまする。

ただ、真面目な話をしてしまえば、その弊害としてサーファーとして恐怖の存在であるサメを描くという点では、若干弱さを感じました。カメラワークがサメに襲われるブレイク・ライヴリーを観賞しようといった視点に終始しているので、サメが少し可哀そうな扱いでした。

以前もどなたかが書いていたかもしれませんが、サメって本来は臆病で人をあまり襲わないそうで、サーファーが何故か狙われやすいのは、サーフボードに腹ばいになって浮かぶパドリングの動作が、彼らの大好物のアザラシやアシカの姿に似ているからなのだそうです。

なので、皆さん、サメがサーファーを狙うのはリア充だからという偏見を持つのはやめましょう!私はそっちの方が理由としては好きですが。

本作って本当にサメが出て来るのかと思う程、ビックリするぐらいストーリーもまともだし、一応筋も通っているんで、純粋に海のパニック映画を見たいと思っている方にはとても向いている作品だと思われます。

欲を言えば、前述した通り、サーファーならではのサメへの恐怖心へもっとスポットを当てて欲しかったですね。また、主演を見るだけで、本作のヒロインが助かるかどうかが分かったしまうところについてだけは、圧倒的にZ級のサメ映画よりも分が悪いです。

いや、のっけから分かりきっていたことですけど、ナンシーが死んで終わりは無理ですよね。

そもそも本格派のパニック映画自体がそういう作りにするしかない仕様なので致し方ない話なんですけど、ここに関してだけ言えば、有能な脚本家の方々はZ級パニック映画に一種の羨望の眼差しを向ける部分があるかもしれません。私なら何のためらいも躊躇もなく余裕で殺しますもん。

とはいいつつ、この作品って脚本以外の部分では絶対見えないところで悪意があったと思うんですよ。特にキャスティングについては。

もうすでにウザいぐらいに『ゴシップガール』、『ゴシップガール』と連呼してしまっているので、こちらの作品にまるで興味のない方には誠に申し訳ないのですが、本作のヒロイン、ナンシーって明らかにセリーナの性格を引き継いでいるんですよね。

ナンシーの人物設定はうまいこと誤魔化そうとしている気満々過ぎて、返って近くなっちゃってます。見ている途中でナンシーって誰だっけ?と思ったぐらいです。

『ゴシップガール』でブレア(レイトン・ミースター)にヒロインとして喰われた後は、サメに喰われるのかい?なんていうイジワルファンの嫌味が聞こえて来そうなくらい、終盤にはセリーナにしか私には見えなくなっていました。

だからこそそんなに好きな部類の作品でなくても存分に楽しめたっていうのはあるんですけど、これって邪道っちゃ邪道ですよね。もしかしたら、私って心の汚い人間なのかしら?ラストで「やっぱりかぁ~」というため息がつい漏れちゃったし……

やっぱりサメ映画はサメ映画というだけで、何かしらの形で観客の心に傷跡を残していくものなのかもしれません。

でも、本当は私、知ってるんです。一番心を痛めてるのは、サメの方だってこと。だって、サメってつく表現で良い意味合いの言葉ってないじゃですか?「このコバンザメ野郎!」とか、「サメ肌で痛いんだよ!」とかなら沢山あるのに……

なんだか私の中で段々とサメが可哀そうで愛しい存在になってきてしまいました。作中ではクジラ食べて一時的にナンシーの避難場所になってはいましたが、所詮魚類だから、現実世界ではクジラ目であるシャチに完敗するところとかちょっぴり萌えますしね。

それではサメさんも読んで下さったの皆様も……xoxo

本作の名台詞

最後に一本乗る

出典:ロスト・バケーション/VOD版

役名:ナンシー・アダムズ
演:ブレイク・ライヴリー