スコア:601/999
出典:ブロードメディア・スタジオ
『ピラニア』
【あらすじ】
街の湖辺で若者向けのお祭りが始まろうとしていた。ジェイクはそこで出会った巨乳美女と彼女を撮影しにきた監督の甘言に乗せられ、母に頼まれた子守りを放棄。彼らと共に肉食ピラニア達が渦巻く湖へと赴いてしまう。
【作品情報】
公開:2010年8月20日(アメリカ)2011年8月27日(日本)/上映時間:87分/ジャンル:パニック/サブジャンル:モンスターパニック/映倫区分:R15+/製作国:アメリカ/言語:英語
【スタッフ】
(監督)アレクサンドル・アジャ/(脚本) ピーター・ゴールドフィンガー,ジョシュ・ストールバーグ/(音楽)マイケル・ワンドマッチャー
【キャスト】
エリザベス・シュー/スティーブン・R・マックイーン/ジェシカ・ゾア/ジェリー・オコンネル/ジェリー・オコンネル/クリストファー・ロイド/アダム・スコット
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※情報は【2022年11月5日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。
ポイントレビュー
■男として決して見逃してはならないシーンがある作品
ポイント:238/333|評価:GOOD
いまだ根強く残るピラニアの獰猛なイメージを決定づけた1978年公開の映画『ピラニア』のリメイク。本作の劇場公開版は、まず2Dでリメイクし、さらにそれを3D変換した作品であるため、現在、VODで配信されているのは、3D化される前の2Dバージョンだと思われる。
ちなみに劇場公開版のタイトルは『ピラニア3D』とそのまんまだ。本家の『ピラニア』が公開されたのが、まだ俺が生まれてもいない時なので、残念ながら未視聴である。
だが、このリメイク版がなかなか楽しませてくれたおかげで、「せっかくだから確認の意味を込めて本家も……」という心づもりが視聴後にはすっかり出来上がっていた。
しかしながら、このタイプのパニック映画をリメイク版から本家と続けさまに見るのは、いささか骨が折れる作業ではある。
通常、パニック映画の場合、話の筋より設定の方が大事なので、続編やリメイクを続けて見てもそこまで気にならないのだが、本作品に関して言えば、設定よりも何よりも大事にしなければならない要素があり、これが本家視聴へのモチベーションを大きく下げているのである。
その要素とは何か?本作の痛々しい場面から一度も目を逸らすことなく、エンドロールを迎えることが出来た男の中の男の視聴者なら恐らくおわかりだろう。
そう、ポロリである。本家にはポロリに不安要素があるのだ。
1978年の映画女優……女優さんだから、お顔も美しく、たぶんナイスバディではあるんだろうが、今やお袋と同じくらいの年代の人だと思うと、やはり「半世紀近く前の人にポロリされてもなぁ……」と心の何処かで冷めてしまう自分がいるのである(本家にもそんなシーンあるか現時点では不明)。
それでどうも今一歩踏み出すことが出来ないのだ。
それぐらい本作品において、このおっぱいという要素は重要な存在であった。誓って言うが、別にエロい意味ではない。
スプラッター張りの残虐非道なピラニア達が人を食い散らかしていくだけでは、視聴者の心は砂漠のようになってしまう。そこにはやはりオアシスが必要だ。
そう、これはオアシスなのだ。そのオアシスにたまたま超肉食のピラニアが生息していただけの話なのである。邪な気持ちでこの映画を見ようとしてはいけない。癒しを求めるもののみが、この映画の再生ボタンを押すことが許されるのだ(嘘)。
さぁ、本家を見る前にもう一度見ようぜ!アホパニック探検隊の仲間達よ!!
■この中途半端に豪華な出演陣は何なの?
ポイント:221/333|評価:GOOD
B級パニック映画という特殊な世界に限っていえば、馬鹿馬鹿しいまでの名作です。
そして出演陣もヤバイ。
本作のヒロイン役の海外連続ドラマ『ゴシップガール』でヴァネッサ役を演じたジェシカ・ゾアをはじめ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でドク役をした、クリストファー・ロイドも古代魚に詳しい熱帯魚店のオーナー役で出演。極めつけには、エロ監督役で『スタンド・バイ・ミー』のバーン役でお馴染みのジェリー・オコンネルも出て来ます。
……って、なんだ何なんだ!この出演者達のてんやわんやっぷりは!こういう笑わせ方って卑怯だよ!
特にバーン。『スタンド・バイ・ミー』のメンバーの中で一番出世した貴方が何でこんなお馬鹿な役やってんのよ……あんなに純朴だったのに、すっかりエロくなっちゃって……うん、でも、だから好き(笑)
なーんて、出演者の話題だけでここまで語れるB級映画なんてなかなかありません。ですが、こういうコメディチックなサプライズを用意しているからこそ、「ピラニア怖い」だけで、終わっていない映画になったんだと思います。
こんなに悲壮感に欠けたパニック映画も珍しいです。終盤とか若者達が滅茶苦茶食べまくられてるんですけど、私の眼にはそのシーンが、映りたがりのエキストラ達が我先にとカメラの照準目掛けて群がっているだけのように見えたぐらいですから(笑)。
あっ…そういや、保安官やってるジェイクのお母さん役の人……『カクテル』にヒロインで出てたエリザベス・シューじゃないですか?
貴女も昔はビーチで踊っている若者側だったのにね。それが、遊んでいるのを注意する側に回るなんて……時の流れって恐いですね。
■描き方はコミカルだけど苦手なタイプのグロさ
ポイント:142/333|評価:BAD
うわぁ……これはちょっときつかったです。グロい。コミカルにグロい。終始徹底して若者達がアホなのは笑えはたけど、やっぱりグロい。
ギャグっぽいエロさはまぁ良しとするとしても、世のお母さま方、何があっても小さなお子様には絶対見せないでください。R15+(15歳以上だけが見てね!)のグロさを舐めてはいけません。
「お母さん、ぼくピラニアみたぁーい」なんていう稀有なお子さんもなかなかいないでしょうがね……
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
質より量に拘ったパニック映画界のベンチャー作品
メインレビュアー
パニック担当/最高評価実際のピラニアは非常に臆病な生き物で、本作のように人を襲うことはほとんどないと言われている。実際、アマゾン川流域で暮らす一部の住民達などは、ピラニアだらけの川の中でも平気な顔で行水をしているというから驚きだ(でも、稀に噛まれることがあるらしいから、真似しちゃダメ)。
そのあたりのピラニアの生態との矛盾を払拭するために、本作の超肉食ピラニアは、200万年以上前に絶滅したピラニアの祖先が突然変異した危険な魚という設定になっている。
なんでこの映画は放っておいても誰も気にしないような設定の矛盾だけを、生真面目に辻褄を合わせようとしてくるのだろうか?
フィクションの世界では、ピラニアはサメと同様に人間にとって危険な魚類としての立ち位置を依然として保持し続けているはずだ。だから、そこの部分はあえて細かな説明をつける必要はないのである。「ピラニアってあの危険な魚の話ね」と、視聴者は勝手に思い込んでくれる。つまりこれは蛇足な設定ということだ。
だがしかし、本作品はそこだけはきちんとしようとばかりに、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でドク博士を熱演したクリストファー・ロイドを起用してまで、話に説得力を持たせようと試みた。
何たる最高にして必要最小限の蛇足であろう。B級パニック映画とC級パニック映画の境界線は、まさにそこにある。この無駄なリアルへの拘りを何処まで貫き通せるかどうかで、全然作品としての価値が変わってくるのだ。
本作にはこの現実のピラニアの生態との矛盾よりも、もっと説明が必要なシーンはゴマンとある。だが、それをあえてしなかった。
船からピストル型の強力なスタンガンを水中に撃ち込んで、周囲の人間は感電死したりしないのか?
なぜ本作のピラニア達はあんなに食べ残しが多いのか?
乳を晒すたびに何故ピラニアに喰われるのか?
あるいは喰われた後、もしくは崩壊物に当たって死んだ後に何故乳がこぼれ見えるのか?
ヴァネッサ……いや失礼。ヒロインの女が閉じ込められて今にも喰われそうなのに、どうしてあんなにも悠長に家族で抱き合ったり話し合ったりしているのか?
ジェイクが「10秒後に船を発進してくれ」と言っているのに、どうして、その10秒きっかりにエンジンをかけ出すのか?前もってエンジンぐらいはかけておくという超簡単なリスク管理も出来ないのか?
そこらへんの疑問には何の回答もないまま、何のフォローもないまま、物語は衝撃的なややウケのオチと共にその幕を閉じるわけだが、本作品に畏敬の念を抱かずにいられない理由はまさにそこだ。
本作の製作陣はこれら疑問符に対し、変に作中で解説を入れてしまえばB級映画を名乗る資格がなくなってしまうことを十分に理解しているのである。
科学的、物理的なリアリティをだけを突き詰めていってしまえば、それはただの地味なドキュメンタリーになってしまうし、かといって何一つ突き詰めずにメインエネミーたるピラニアにさえも愛がない作りでは、ただのピラニアに喰われる人のショートコントの寄せ集めになってしまう。
なんだか書いているうちに自分が何を言っているのかわからなくなってしまったが、つまりはそういうことなのだ。「それでもピラニアなら何とかしてくれる…ピラニアなら……」という無駄な信頼感がなければ、ここまで彼らへの設定の作り込みに力を入れたりはしない。
確かにネットでちょちょちょいっと調べただけで思い付けそうな設定ではあるが、アホなサメ映画好きの私としては、その気持ちが嬉しいし、サメ映画に追いつけ追い越せで、これからも色んな設定のピラニア映画を作って頂きたいと思う。
この出来なら、おそらく目論見通りシリーズ化となるだろう。こうして魚介系パニック映画にまた一つ、どうしようもないジャンルが生まれたわけだ。
ただ、これは魚介映画業界にとっては革新的な出来事なのだ。
魚介系パニック映画で言えば、サメ、タコ、イカあたりが頭に浮かびやすいことと思うが、これらが生み出す恐怖は、言わば『質』の恐怖である。逆に本作『ピラニア』が与える恐怖は『量』の恐怖だ。
本作はその意味で、リメイクとはいえ、この魚介類の『量』の恐怖という新ジャンルを開拓したベンチャー映画だと言えるだろう。
以前当サイトでも取り扱った『シャークネード』もこの分類に入るには入るが、あれは竜巻と大量のサメの合わせ技一本的なちょっと特殊なお話なので、真の意味での開拓者とは認められない。
そうした意味では、本作は王道中の王道を行って開拓を成し遂げようとしている王道B級パニックなのである
しかもそれでいて、作り手が気のいい奴らっぽいのが素晴らしい。ある種、邪道を行って成功を収めた『シャークネード』へのリスペクトさえも忘れてはいないのだ。
『シャークネード』を見たことがある人ならこの映画の冒頭部分で、誰もがこう思ったことだろう……
「サメ+竜巻の次は、ピラニア+渦巻かよ……」と。
せっかく見たのに「そんなシーンあったっけ?」と思った人はもう一度確認して頂ければ幸いだが、ただよくよく考えてみると、別にリスペクトしてるわけではないよなとも思う。
竜巻の中でも元気なサメより、自らの力で渦巻を起こすピラニアのがまだありえそうだもんね。うん、あれはリスペクトじゃないわ。ふざけ過ぎんなよって注意だわ。内容的には違う方向でどっこいどっこいだけど……
本作の名台詞
湖にサメがいるか?
出典:ピラニア/VOD版
役名:怯えるパリピの若者
演:不明