洋画『アウトブレイク』/パンデミックの終息は、ウイルスのスタート地点に収束する

スコア:795/999

アウトブレイク出典:ワーナー・ブラザース
『アウトブレイク』


【あらすじ】

ウイルス性の出血熱によりアフリカの村が壊滅した。現地を訪れたサム・ダニエル軍医大佐は空気感染がないと判断しつつも警戒発令を呼び掛けるが、却下されてしまう。そんな折、1匹の猿がアフリカから密輸入される。


【作品情報】

公開:1995年3月10日(アメリカ)|1995年4月29日(日本)/上映時間:127分/ジャンル:パニック/パンデミックパニック/映倫区分:全年齢/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督) ウォルフガング・ペーターゼン/(脚本)ローレンス・ドゥウォレット,ロバート・ロイ・プール/(音楽)ジェームズ・ニュートン・ハワード


【キャスト】

ダスティン・ホフマン/レネ・ルッソ/モーガン・フリーマン/ケヴィン・スペイシー/キューバ・グッディング・Jr/ドナルド・サザーランド


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ポイントレビュー


■パニック映画に新たな風を吹き込んだ超名作

試分 書人
試文 書人
パニック担当
ポイント:287/333|評価:GOOD

これぞパニック映画という金字塔を打ち立てた名作中の名作。初見は何歳かは忘れたが、随分とガキの頃。地上波放送であったため、吹き替えで見たが、衝撃を受けた。

『ジュラシックパーク』も『ジョーズ』もパニック映画の超名作ではあるが、あくまで娯楽作品の粋を出ない。映画を見ている時はハラハラドキドキしているけど、見終えた瞬間にフッと恐怖心は消えている。

でも、この作品は違う。見終えた後も、しばらくの間恐怖心が残るパニック映画だ。これは、パニックモノとしてはかなり珍しいケースで、本作がどうしても娯楽要素に重点を絞らざるを得なかった当該のジャンルに、新たな風を吹き込んだと言っても過言ではないだろう。

明日からマスクつけよう。これぐらい強いウイルスだと意味ないらしいけど。


■ド派手なシーンは少なくても緊張感がヤバい

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:260/333|評価:GOOD

一番人間を殺している人間以外の生き物は何か?答えは『蚊』です。理由は細菌やウイルスを媒介するからとのこと。

このひっかけ問題みたいな定義からいくと、本当の答えは『蚊』ではなく、極論、生き物であることには変わりない細菌やウイルスが真の正答ということになります。

その人間をもっとも殺しまくっているウイルスがテーマの作品なんで、パニック映画特有のドカーンとか、ガッシャーンっていう派手さはやや控えめですが、そこを補って余りあるほど「何時どこでうつされるか分からない」っていう緊張感が半端ない。

ウイルス感染後の症状は血を吹き出したりして、そこだけは若干派手なんですが、怖いのはその症状じゃなくて、感染してしまえば確実に死ぬってところ。しかも苦しみながら。

ゾンビなんかは噛まれている数分我慢すれば、もうゾンビとしての人生をリスタートですが、マジもんの病気はね。そりゃジャンル通り、パニックにもなるわという恐ろしいお話です。


■リアリティたっぷりなのに何故かSFコーナーに……

猿渡 りん子
猿渡 りん子
SF担当
ポイント:248|評価:GOOD

現実にも起こりえることなので、絶対にこの作品はSFじゃないですけど、何故か某レンタルビデオ店でSFのコーナーにあったので、私の登場です。

ジャケットの医療用の防護服が宇宙っぽく見えたのかな?

さてさて、そんな話はここらで終わらせるとして本作の評価ですが……

見てない人は絶対見た方がいいです。どんな映画でも途中で寝ちゃうって方、99%眠くなりませんから。

終盤に近付くに連れて心拍数は徐々に上がっていき、最後は心臓バクバクです。画面に見入ってギュッと手を握りしめながら見てしまうと思います。

例のお猿さんのシーンなんて、軍人としては地味な作業なんですけどね。あそこは広辞苑の「手に汗握る」の文例に出してもいいぐらいの名場面でした。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

感染予防を啓蒙してはくれるんだけど……

試分 書人
試文 書人
メインレビュアー
パニック担当/最高評価

本作のウイルスのモデルとなったエボラ出血熱が2014年に西アフリカで大流行し、一時期、パンデミック対策だ何だと、日本でも半ばパニックのようなことが起きた(書き方は悪いですが、パンデミック対策はもちろん大事ですよ)。

2010年代から常にマスクをつけて歩く人が段々と増えてきたような気がするけど、決定的にマスク男子や女子が爆発的に増えたのは、ちょうどこの時期ぐらいからだったような気がする。

この映画は1995年の映画で、公開当時の私は小学校低学年。その時から少なくとも10年ぐらいは常時マスクをつけている人ってのはほとんどいなかった。

マスクをつけていると、「風邪でも引いたの?」って誰かしらに必ず聞かれてしまうぐらい。つまり、公開当時は人にうつさないための予防としてマスクをつけていたってことになる。

でも、今の時代はその逆。人からうつされないためにマスクをつけるって感覚だ。インフルエンザウイルスなどに対する意識というか、自己予防対策はかなり高いレベルで日本に根付いてきていると思う。

もちろん、人にうつさないためバージョンの人も数多くいらっしゃるのだろうけど、うつされない対策としてのマスクの普及が増加傾向にあるのは明らかだ。

でなければ、こんなにマスクをつけている人が街に溢れているわけがない。たとえ、お洒落用のマスク(俺にはその感覚は理解できないが)だとしても、その根っこにはウイルス細菌対策という意識があるだろう。

つまり、この映画でも表現されているように、人間は何か起こってから初めて危機感が起きる生き物だってことだ。

冒頭のエボラの件やインフルエンザの流行で国内で人が亡くなったりして初めて対策を始める。

本作でも、危機は事前にある程度わかっていたけど……というところから、お話がスタートする。

でも、結局ウイルスはアメリカ国内に上陸することになって、なんとか被害は最小限で食い止められそうだってところまで持っていくんだけど、臨床検査技師のアホのおかげで全てが無駄にのアウトブレイク(爆発的感染)のリスタート。

そのアホのいた現場が映画館なところが何とも皮肉な作りだが、こういうウイルスや細菌感染に警鐘を鳴らす作品があっても、つまるところこの映画と同じように、ことが起きてからしか人間は真剣に行動に出来ない。

そして、いざ真剣になった時にはすでに絶望的な状況だったりもして、その状況に焦るから、勇気ある医師達もささいなミスから感染したりと、本当にこの映画はパニック映画らしからぬリアルティで人間を描いている。

もう、でも、これはしょうがないことなのかもしれない。こんな偉そうなことを言っている俺も病院に行くときにマスク付けるのを忘れてしまうこともあるし、手洗いうがいが適当なことなんてしょっちゅうだ。

そんでもって、もしも同じ状況になったら、焦ってうっかりな感染の仕方をすると思う。

確かに映画を見てイチイチ神経質になってもアレなんだけど、それだけのパワーがこの作品にはあるから、多分、改めて観賞した今日から、手洗いうがい、細菌、ウイルスがいそうなところに行くにはマスクと、やることにはやってみることになるんだろうけど、その意識がいつまで持つのかってのは、正直自分にも自信がない。

本作を見た後にウイルスに対する恐怖心は残っても、それに伴う行動というのは、良くて一週間ぐらいのもんで、これだけの名作をもってしても、人の意識というのはなかなか変えられないのだなぁとしみじみ思う。

なんか勢いに任せて、凄い真面目に書いちゃったけど、本作を再見した際の感想を本音で言えば、おそらく今後映画の世界では姿を見ることが出来なくなってしまうであろうケビン・スペイシーが、実は昔にこの映画に出てたんだなってこと。そして、それにしてもケビン・スペイシーって若い頃から変わらずオッサンなんだなってこと。

つーか、安心のブランド、モーガン・フリーマンも出てたわ。完全に忘れてた。

今回の危機感うんぬんの屁理屈なレビューは抜きにして、つまりは人間は忘れる生き物だってことですな。

本作の名台詞

人間の10億分の1の大きさで我々を食い尽くす

出典:アウトブレイク/VOD版

役名:サム・ダニエルズ
演:ダスティン・ホフマン