洋画『ミスト』/霧よりも怪物よりも、パニックに陥った人間の方がよっぽど恐ろしい

スコア:767/999

ミスト出典:ブロードメディア・スタジオ
『ミスト』


【あらすじ】

舞台は冷蔵庫以外が停電しているスーパーマーケット。父デヴィッドとその息子のビリーはそこで謎のモンスターに遭遇する。外は不思議な白い霧に包まれており、辺りの様子を伺うことが困難な状況となっていた。


【作品情報】

公開:2007年11月21日(アメリカ)|2008年5月10日/上映時間:125分/ジャンル:パニック/サブジャンル:モンスターパニック/映倫区分:R15+/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督・脚本)フランク・ダラボン/(音楽)マーク・アイシャム/(原作)スティーヴン・キング『霧』


【キャスト】

トーマス・ジェーン/ネイサン・ギャンブル/ローリー・ホールデン/アンドレ・ブラウアー/トビー・ジョーンズ/マーシャ・ゲイ・ハーデン


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ポイントレビュー


■革命的なパニック映画

試文 書人
試文 書人
パニック担当
ポイント:285/333|評価:GOOD

知ってる人は知っている超有名作品(そりゃそうだ)。ネット上ではパニックモノとしての純粋な評価よりも、ラストの評価が高い映画である。

いやでもこれ、パニック映画としてもなかなかのものよ。

どんなパニック映画でもウザいヤツが必ず一人はいるもんだけど、この作品に関して言えば、K点超えてるレベルのウザいオバハンが出て来るし、主人公にあんまりリーダーシップを感じられないパニックモノってかなり珍しい。

途中可哀そうになってくるぐらいだし。

ただ、もちろんラストは必見です。こんなんネットで語り継がれて当たり前ですわな。


■パニックに陥った人間の愚かしさと恐ろしさ

猿渡 りん子
猿渡 りん子
SF担当
ポイント:252/333|評価:GOOD

一回見ればいいやって作品ですけど、まだ未視聴だという方は度は見た方が良いと思います。

ホラーとかスプラッターとか恐いの苦手な私ですが、これはどっちかっていうとパニックに陥った人間の恐さや愚かさを描いた作品のような気がします。

ただ、子供にはあんまり見せたくないですねぇ。血みどろのホラー映画とかを見せたくないとかとは違った意味で。

一家団欒で見るようなお話ではないのは確かです。子供が寝た後、夫婦で見るのにはいいのかな?

つーかR15+指定(15歳以上が見てね)だから、そもそもウチみたいな小さな子供に見せたらいかんヤツでした(笑)。


■スーパーは避難指定場所じゃありません

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:230/333|評価:GOOD

どうして人はパニックになるとスーパーマーケットやホームセンターに逃げ込むのであろうか?(本作の主人公達はことが起きる前から居たから仕方ないけどね)

食料があるから安心とか、武器っぽいものを作れる材料が沢山あるからとか、色々理由はあるだろうけど、みんな好きすぎでしょスーパーマーケットとホームセンター。

日本映画でも、アメリカ映画ほどじゃないにしろ結構その傾向が強くて、実際こういうパニックな事態が起きた時に逃げ込む場所は学校なんだけど、そういう作品って少ないような……

って、本作はほとんどがすでに現場にいた人達だったから、全然映画のレビューになってないんだけど、そんなことをふと思案させてくれるようなお話でした。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

そこまで後味悪い作品かなぁ……って思うけど

試文 書人
試文 書人
メインレビュアー
パニック担当/最高評価

パニック映画としては相当革新的。こういうラストはマジで珍しい。似たようなのを例を挙げろと言われたら、サスペンスやホラー、ドラマジャンルであればいくらでも挙げられるけど、パニックでは無理。パッとは思い浮かんで来ない。

本作は、ホラーでは毎度おなじみのスティーブン・キング原作の映画なのだが、原作よりも映画のが断然良いってのもまた貴重なところ。なぜならラストが違うから。今回は脚本家の完全勝利って言っていいぐらい。

原作のラストは確か最後どうなったかわからないぼやかした状態で終わるんだけど、映画版はキッチリ結末を用意してる。やっぱり物語はどんな話であっても終わらせることが大事でしょ。

結末から逃げちゃダメ。ゼッタイ。

最後は観客の皆様のご想像にお任せしますってラストなら、そんな話ぶっちゃけ作る必要ないじゃん。俺は俺が思いついた結末じゃなくて、お前さんが思いついた結末が知りたいんだよ。

その点本作は、そこのケジメをしっかりつけているのでご安心を。

ただ後味が悪い後味が悪いってネット上では騒がれてるけど、そんなに後味悪いかなぁ?

人間だからこういう取り返しのつかないしくじりもあって然るべきなんじゃない?むしろリアルじゃないかとさえ思う。

化け物や怪獣が出てくるパニック映画は、まるでテンプレートみたいに全部倒しました。逃げ切りました。ちゃんちゃんで済ましちゃってるけど、途中で人は死にまくってるし、主人公やらヒロインやらを助けるために、仲間は犠牲になるしで、冷静に考えたら実はそっちの方が後味悪くない?

しかも、そのあと主人公とヒロインは熱いキッスをかわしたりすんだよ。そんなのを見ちゃうと、お前らの恋のエッセンスのために仲間は死ななきゃならなかったのかよって思う。

だから、この『ミスト』のラストの方がよっぽど現実的で自分にとっては後味が良かった。

今回の俺の感想は、ほんのりひねくれてるかもしれないけど、見て後味が悪かったと思うタイプのまともな人でも、そんなに引きずるような後味の悪さではないから、未見の方は是非勇気を出して見てみて下さいな。

後味の悪さで言えば、ピーマンぐらいかな?水飲みゃ治る水準。俺はピーマン好きだけど。

本作の名台詞

今 必要なのは救援を求めることだ

出典:ミスト/VOD版

役名:ブレント・ノートン
演:アンドレ・ブラウアー