洋画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』/マクドナルドって何でマクドナルドって名前なの?

スコア:807/999

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ出典:KADOKAWA
『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』


【あらすじ】

マルチミキサー販売業を営むレイは、マクドナルド兄弟が経営するハンバーガショップとの出会いによって、その人生を大きく変化させる。事実を元にマクドナルド創業者であるレイ・クロックの半生を綴った伝記的映画。


【作品情報】

公開:2017年1月20日(アメリカ)|2017年7月29日(日本)/上映時間:115分/ジャンル:ドラマ/サブジャンル:伝記映画/映倫区分:全年齢/製作国:日本/言語:日本語


【スタッフ】

(監督)ジョン・リー・ハンコック/(脚本)ロバート・シーゲル/(音楽)カーター・バーウェル


【キャスト】

マイケル・キートン/ニック・オファーマン/ジョン・キャロル・リンチ/リンダ・カーデリーニ/ B・J・ノヴァク/ ローラ・ダーン


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※情報は【2022年11月4日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。

ポイントレビュー


■彼をズルいと思うか、そうでないかは見る人次第

アクセル神田
アクセル神田
ドラマ担当
ポイント:265/333|評価:GOOD

これぞアメリカンドリームというお話です。さらにこれがだいたい事実で、しかもあのマクドナルドの創業記だって言うんですから、面白くないはずがありません。

ネット上での同作の感想をみていると、主人公の生き様がお気に召さない方も中にはいらっしゃるようですが、こういう生き方もアリなんじゃないでしょうかね。ずる賢さってある程度は必要です。

と言いますか、マクドナルドが大成功したのだって、そもそも結果論でしかありませんから。個人的にはずる賢いから「ずる」は抜いてあげて欲しいです。

成功するまでにリスクを背負ってきたのは、レイ・クロック自身なんですしね。私にとっては尊敬する経営者が一人増える映画でした。ただ、人によっては、逆に軽蔑する経営者が一人増える可能性もあるかもしれません。


■片側の立場だけに肩入れしてないのが高評価

山守 秀久
山守 秀久
ドキュメンタリー担当
ポイント:287/333|評価:GOOD

「マクドナルドって何でマクドナルドって言うの?」

この疑問に対して詳細な説明と遊び心をセットにして、バリューな回答してくれるノンフィクション映画です。主人公レイ・クロックの半生を追えば、それがわかりますよといった仕組みになっています。

ジャンル的には『ソーシャル・ネットワーク』や『スティーブ・ジョブズ(2013年度版』などに近い作品ですが、題名からも想像できる通り、描き方がかなりライトなのでずっしりとした気分にはなりません。

ですが、それでいて、抑えるべきところはずっしりとした重厚感で抑えています。例に挙げた二作品と比べると、客観的視点を最重要視して作られている点が一番の特長です。

私は伝記映画に製作側の主観が入り過ぎるのが苦手な人間なので、本作のこの客観性については高く評価したいと思います。


■やっぱり頭の回る人がお金持ちになるのよね

橘 律
橘 律
元ファストフード店バイト
ポイント:255/333|評価:GOOD

高校生の頃、某ファストフードでバイトしてました。本作に登場する当時のオペレーションなんて、もう今となってはほとんど価値がないんでしょうけど、今のオペレーションの基礎が出来上がるまでに、こんな秘密があったなんて全然知りませんでした。

適当にやってたら、適当に生まれて勝手に進化していったもんなんだとばかり……良く考えてみれば、そんなんで企業があんなに大きくなるわけはないですもんね。

でもでも、これって実際ありえないほどのサクセスストーリーだと思います。ハンバーガーショップって言ったら、パン屋さんですよ、パン屋さん。日本で言えば、近所の学生達に人気の商店街でパン屋さんが、ちょっと野心家の男を引き込んだら、世界的な大チェーンになっちゃったみたいな話ですよ。

しかもその儲けのシステムがパンの販売と別にあるっていう……

レイ・クロックさん。貴方の自分の欲望への正直さ。尊敬します!私もこういう頭に生まれて来たかったなぁ。あ、ただ髪型までは結構ですからね。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

レイ・クロックの成功ではなく、生き様を描いた作品

山守 秀久
山守 秀久
メインレビュアー
ドクメンタリー担当/最高評価

本作中のレイ・クロックを評するなら、「革新の強奪者」といったところでしょうか?文頭の漢字だけを変えて、「確信の強奪者」でも良いかもしれません。

マクドナルド兄弟との契約を破棄するために使った手法や、その後の兄弟達への仕打ちは、決して褒められたものではないですが、彼はそれがモラルに反することと明らかに確信し、兄弟が二人で作り上げた革新的なファストフード店のノウハウを自分だけのものにしています。

これは中途半端な覚悟のワルには出来ないことです。マクドナルド兄弟には世話になったからですとか、儲けのきっかけをくれたからですとか、普通ならどうしても、義理人情の問題が頭をよぎってしまうものですが、彼は自分の商売のためにそれらをかなぐり捨てました。

良識ある人間であることよりも、商売人であることを選んだのです。

そして、自分の商売を如何に上手く行かせるかを突き詰めていった結果、最良と思われる決断が、マクドナルド兄弟を騙すことでした。

そして、その後も自分の利益だけを求めて、マクドナルド兄弟を追い詰めていきます。それはそれはもう徹底したもので、最終的に彼らは自分たちの「マクドナルド」という名字さえ、彼の商売のために奪われてしまいました。

自分たちの名字であるにも関わらず、レイとの破棄契約上、彼らはマクドナルドを店名に使うことが出来なくなってしまったのです。

口約束で済した利益の1%は一切渡さず、マクドナルド一号店経営権は約束通りに与えたもの、先に示したようにマクドナルドの店名も使わせない。挙句の果てには元1号店のすぐ近くに自らが擁するマクドナルドを出店して、店を潰しにかかるという鬼畜っぷりです。

ここまで、突き抜けてるともう逆に爽やかさえ感じます。

これら一連の流れの中でのレイは「俺だけが儲けたいんだ」という心の声が聞こえてきそうなほどでした。

レイを演じたマイケル・キートンも終盤はまるでレイ・クロック本人の魂が乗り移ったかのような迫真の演技です。覚悟を決めた後、顔つきが商売人のそれにガラッと変わりました。

事実はわかりませんが、本作品の描きかただと、最初からマクドナルド兄弟を騙すつもりで近づいたわけではなかったと思うんです。本来の自分を取り戻せそうな気がしたから、彼らに近づいたのではないでしょうか?少なくとも私にはそう感じられました。

そして、それをマクドナルド兄弟との関係の中でゆっくりと取り戻していって、ようやく戻れたのが商売人の権化のような終盤の彼の姿なんだと思います。

見始めた時は、単なるサクセスストーリーだと思って舐めてかかっていましたが、時間が経つに連れてグイグイ引き込まれていくあの感覚は、なかなかどうして心地良いものです。

伝記映画はこうでなくってはいけません。

本作の名台詞

チャンスをつかむのを恐れる人が実に多い

出典:ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ/VOD版

役名:レイ・クロック
演: マイケル・キートン