洋画『モリーズ・ゲーム』/セレブ向けポーカークラブを始めてみたら結構ヤバイ事になりました

スコア:605/999

モーリーズ・ゲーム出典:キノ・フィルムズ
『モリーズ・ゲーム』


【あらすじ】

女子モーグルの有力選手だったモリーは、五輪出場のための大会で負傷し引退を余儀なくされる。新たな生き方を模索しなければならなくなった彼女が次に選んだ道は、セレブ専用のポーカークラブの運営であった。


【作品情報】

公開:2017年12月25日(アメリカ限定公開)|2018年1月5日(アメリカ拡大公開)|2018年5月11日(日本)/上映時間:140分/ジャンル:ドラマ/サブジャンル:実話原作/映倫区分:PG12/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督・脚本)アーロン・ソーキン/(音楽)ダニエル・ペンバートン/(原作)モリー・ブルーム『Molly’s Game: From Hollywood’s Elite to Wall Street’s Billionaire Boys Club, My High-Stakes Adventure in the World of Underground Poker』


【キャスト】

ジェシカ・チャステイン/サマンサ・イズラー/パイパー・ハウエル/イドリス・エルバ/マイケル・セラ/ブライアン・ダーシー・ジェームズ/クリス・オダウド/ビル・キャンプ/グラハム・グリーン/ケビン・コスナー


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※情報は【2020年04月22日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。

ポイントレビュー


■映画としてはボチボチ面白いんだけど……

アクセル神田
アクセル神田
ドラマ担当
ポイント:178/333|評価:GOOD

主演の圧倒的な演技力と鮮やかな脚本に騙されてしまいそうになりますが、これが実話ということであれば、実際は底の浅い言い訳でしかないんじゃないかと思いました。

裏のビジネスの世界に関われば、そりゃ方々の危険な連中から狙われるよね、というお話です。スポーツで挫折しようが、何で挫折しようが、そんなものは関係ないと思うんですよね。

全部最初から分かっていたことなハズなんです。自分のしていることが顧客やその家族を巻き込む可能性があることも、自分の人生を破綻させる可能性があることも。

むしろ分かってやっていなかったとしたら、そちらの方がよっぽど悪人です。だって、最初から顧客や自分を守る気がないことになりますから。

如何にもアメリカ的な結末っていうのは、案外嫌いじゃなかったりもする私ですが、論点のすり替えや矛盾はダメです。借金を返すためとはいえ、じゃあ何で君は自伝を出版して色々バラしてんのって話になります。

映画としては全然悪くはないんですけど、この辺の彼女の行動と言動の整合性のなさは、かなり気になりましたね。


■エンターテイメント作品としては見る価値あり

山守 秀久
山守 秀久
ドキュメンタリー担当
ポイント:189/333|評価:GOOD

実在の同名の元モーグル選手、モリー・ブルームが書いた回顧録が原作となっています。原作を読んでいないので何とも言えないのですが、この映画は何処まで本当なんでしょうか?もし頭から尻尾まで真実だとしたら、現実のアメリカもなかなか映画チックなことをする国です。

ですので、本作については、フィクション映画として評価したいと思います。

面白いです。戦う女性を演じさせたら今や右に出るものがいないであろう、ジェシカ・チャステインの演技に多分に助けられているところはありますが、主人公の犯した過ちの小ささからすると、話に重厚感があります。

ラストもスッキリと言いますか、見ていた過半数は納得できるような幕の閉じ方です。法廷闘争を契機に始まる話にしては、内容も分かりやすい。

途中までは、女性のダークなサクセスストーリーとして楽しみ、終盤ではその転落後の彼女の生き様を楽しむといった感じで、エンターテイメントとしては、見る価値がある作品だと思います。


■超演技派女優、ジェシカ・チャステイン主演

橘 律
橘 律
ギャンブル好き代表
ポイント:238/333|評価:GOOD

以前、当サイトでもご紹介し、私がベッタベタに褒めちぎった『女神の見えざる手』のジェシカ・チャステインが主演です。

この女優さん……やはり私の見込んだ通りの天才でしたね(偉そう)。

本作の主人公は『女神の見えざる手』の主人公エリザベスほどの魅力はない女性でしたが、その違いを明確に演じ分けています。どちらも基本的に強い女性ですけど、表情や口調が全く違う。

ただ、ストーリーがね。どうしても先に見た『女神の見えざる手』の方が印象に残ってしまって、一段下に見えてしまいました。私の大好きなギャンブルを主題にしているんですけどねぇ。博打の胴元になるなんて、『私の将来の夢』と言っても過言ではない題材なのに……うん、何処かしっくり来ないんです。

そこで理由を考えてみたんですけど、やっと合点がいく答えが自分の中で見つかりました。

それは私が現実でプレイヤーとして負けまくっているからです!

だから、モリーのような胴元が許せないんですね。もうね、これは仕方ないことなんです。ギャンブルを題材にしている以上、そこは監督も諦めてくださいな。

……って冗談はさておくとして、うーん、それでもやっぱり映画の評価は中の上と上の下間ぐらいかなぁ。競馬で言えば、G2二勝馬ぐらい?

ギャンブル脳過ぎて、健全なる方々にはまるで通用しない例えになってしまいましたが、そんな感じの映画でした。あ、念のために一言……私は違法なのはやってないですよ(笑)。通報は絶対やめてくださいね(はぁと)。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

『女神の見えざる手』と比べちゃダメですね

橘 律
橘 律
メインレビュアー
ギャンブル好き代表/最高評価

しかしながら、ジェシカ・チャステインは難しめの映画に出るのが好きですね。そういえば、『インターステラー』なんかにも出演していました。あの映画では、難解なストーリーを解読するので精一杯で、私としてはあんまり印象に残りませんでしたけど。

あとは、政治モノと裁判モノも好きなイメージです。証言台に立つ姿が良く似合います(変な意味じゃなく)。その出で立ちの美しさで言えば、ハリウッド女優随一と言っていいでしょう。

さてさて、今回はそんなジェシカ・チャステイン主演の『モリーズ・ゲーム』を、前回賞賛しまくった『女神の見えざる手』の後に視聴したわけですけれど、ううむ……どうなんだろう?

比べちゃいけないんでしょうけど、やっぱり最初に見た『女神の見えざる手』の印象が強すぎて、どうしても相対的に低めの評価になってしまうなぁ。

それでも十分高い評価をしているんですが、映画を見るタイミングや順番って大事って、つくづく思います。VODによっては、両方配信しているので、もしも両方ともまだ未見という方は、こちらの作品から視聴された方が良いかもしれません。

本作は本作で秀逸な映画ではあるので、見る順番なんていうどうにでも調整が可能なことで、正当な感想が持てなくなるのはもったいないですからね。それぞれの作品の視聴間隔を空けるというのも一つの手ですが、下手をすると配信終了とかもあるので……ここら辺が見放題サービスの利用の難しいところです。

ただ、そうしたハンデキャップを背負った上でもなお、なかなか見させる映画ではあります。

主人公の強い女としての突き抜け方がやや中途半端なので、特に女性視聴者なんかは好みが別れるところかもしれませんが、そういうキャラでなければならない理由が明確に表現されているから、主人公に対する好感度を抜きにして、純粋にストーリーを楽しめると思います。

ラストの裁判官の締めの言葉なんかは、ギャンブル好きの私にとっては、もう神様みたいなお言葉でした。「そうだ!そうだ!!相場の世界を牛耳る投資銀行だってギャンブルの胴元みたいなもんじゃないかぁ!!!」……ってね。

こんなことを言っていると各方面からお叱りを受けてしまいそうなのでこれぐらいにしておきますが、自分を擁護するわけでもなんでもなく、イチ社会人として一言意見を言わせて頂ければ、ギャンブルの胴元になるって、別段被害者のいない犯罪なんですよね。むしろ、参加者は楽しんでる。

作中では、モリーに煽られて借金を抱えてしまった人とか出てしまいましたが、無理くり財布をぶん取られてBETさせられたわけじゃないんだからそこは自己責任だし、根本的な構造として投資の世界とギャンブルって一体何が違うのって思います。

良くある理屈として、投資の世界は経済を回してるみたいなお話がありますが、普通にギャンブルだって経済回してるでしょうに。子供の頃に競馬で万馬券を当てたお父さんに何度回転すしを奢って貰ったこととかもね……うん、まぁ皿の色には気を使いましたけどね。

これって、もっと議論されていい問題だと思うんです。もういっそのこと大解放してしまって、国がかちっと管理すれば、モリーのようにマフィアに狙われることもないし、経済効果だって税収だって上がる。

アメリカは日本と違い、かなり賭博への規制が緩くなっては来ているみたいですけど、やるんならやる、やらないんならやらないで徹底しないと、結局このお話のように真に取り締まるべき相手がボヤかされてしまうんじゃないかなぁ。

作中で警察が本当に捕まえたいのは、あるいは捕まえなくちゃいけないのはモリーじゃないはずなんです。モリーは全てを失う覚悟を決めて、元胴元として顧客を守る気概を見せましたが、その裏ではまだマフィアが暗躍しています。

ギャンブルの合法化の賛否を抜きにして、本作品もきっとそういうことを言いたかったんでしょうね。

ただ、あえて苦言を呈させて頂くなら、モリーの勇気というか、覚悟の部分に焦点を少々当て過ぎていて、根と闇の深い問題を提起するには物足りない感じはありました。

実在のご本人による自伝ベースの作品なので、主役本人にギラギラのスポットが当たるのは当然なのですが、客観的に物珍しさはあっても彼女は決して偉人ではありません。たまたま才能があって、たまたまズルが出来る環境が整っていて、たまたま上手くいっただけの人です。

もしセレブ向けのポーカー上の運営が合法のビジネスであれば、こうはうまくいきません。ライバルの数が段違いですからね。

ギャンブルに対する規制問題は、銃規制問題と対等と言っていいぐらい大きな問題だと私は思っています。なので、その部分に一定の答えを出してくれなかったのは、ちょっとばかし残念ではありました。

しかし人間変わるもんですね。最近、ビジネスモノや政治モノの映画を見る機会が増えたので、生半可な知識で持論を展開するようなクセがついちゃいました。これって映画を見る上で良いことなんでしょうかねぇ?(笑)ちょっと最近気にしています。

本作の名台詞

そう それぞれが正しいのよ

出典:モリーズ・ゲーム/VOD版

役名:モリー・ブルーム
演:ジェシカ・チャステイン