コラム『ホラーな場所に一列で入っていく時って最後尾になるのが一番イヤじゃね?』/試文書人

ホラーな場所に一列で入っていく時って最後尾になるのが一番イヤじゃね?


■先頭を歩くヤツが一番勇気があるわけじゃなくないか?

試文 書人
試文 書人
コラムニスト
文字数:約1700字|読了時間:約3分

先日、なんとなしにVODサイトをあさっていたら、懐かしの『グーニーズ』が出て来たので、「また見んのかよ」と自分ツッコミを入れつつも渋々のウキウキ気分で視聴することにした。

少年時代から数えると、もう何度見た事だろうか。ハッキリ言って100から先は覚えていない。100に達しているかも定かではない。いずれにしろ本作は子供から大人まで、言い方を変えれば子供から大人になって観ても楽しめる超名作だと言っても過言ではないだろう。

本作のあらすじについては一部の世代を除いて最早説明不要かと思うので、詳細は省くが、俺的には観る度に気になるシーン……というかふと疑問を浮かべてしまうシーンがある。このシーンはホラーやパニックはもちろんのこと、本作のような正統派アドベンチャー映画であっても、お約束となっている映画の見せ場の一つだ。

そう、そのシーンとは、なんかヤバそうで怖そうな場所に、仲間が一列に並んで恐る恐る侵入していくというアレである。良くあるどころか、そっち系の映画(※)では最早定番のシーンだ。俺は『グーニーズ』の限らず、このシーンには常に疑問を抱いている。

アレって思うんだけど、別に先頭を歩くヤツが一番勇気があるわけじゃなくないか?

リーダー格あたりが「俺が先頭で行く!」とか何とかいうと、目を潤ませた美女が「あなた怖くないの?勇気がある人って素敵……キスしてあげたい」みたいな雰囲気になるけどさ。

俺は一番後ろを歩く方が絶対怖いと思う。

考えてもみてほしい。今から入るところがむっちゃ怪しくて、前人未到で、かつ何処から何が出て来るかわからない所に一列で入っていくとき、仲間の誰からも気づかれない内に襲われる可能性が高いのは、確実に一番後ろのヤツである。

事実、パニックホラー映画などでは、上述の先頭野郎と美女のお約束のやり取りの後、最後尾に回された中途半端な登場人物が何者かに襲われるパターンは非常に多い。

ぶっちゃけ今回話題に挙げた『グーニーズ』の場合はどうだったか、何度見ても見終えた瞬間に忘れてしまっているので、ハッキリしたことは言えないが、俺に言わせれば如何なる理由があろうとも、ああいう場所で列を成して移動している場合は、絶対の絶対に一番後ろを歩いているヤツが怖いし勇気がある。

戦国の世界だって逃走戦だとしんがりを務めるのが命がけだ。勇気がある。行列の出来るラーメン屋で最後尾に並んでるヤツだってそうだ。もしかしたら、自分が並んでいるせいで、自分より後の列がもし続かなかったら、「俺って店に迷惑かけるレベルでキモイのかな……」なんていう自己嫌悪にも陥りかねない。そのリスクを負ってまで、ラーメンを食べたいという気持ち、それも勇気だ。

少々熱くなり過ぎてしまったが、とにもかくにも映画界で不文律のように徹底されている『先頭を歩くヤツが一番勇気がある』という設定を俺は認めない。ただ、先頭を歩くのも最後尾の次に勇気があるのは確かである。もしもこういった状況になったら俺は迷わず真ん中を選ぶだろう。これが一番安心だ。

そしてこれは、列を成して進むだけに限った話ではない。一人ずつ得体の知れない場所に入って行く順番、謎の食物を食べる順番、なんだってそうだ。前者は一時的であれ最後独りぼっちで取り残される状況が不可避だし、後者はその食物によって人外化していく仲間達に逆に食い殺される可能性がある。

つまり、なんだって最後にやるのは勇気がいるのだ。定期テストの勉強を本番前日にやる少年少女達、君達は間違っていない。全てを入力し終えるまで文書ファイルを保存しようとしないレビュアー達、君達は間違っているが勇気がある。

さぁ、これでもうお分かりいただけたことだろう。どんな物事であれ、勇気は最後まで大切にしなければならないってことを……

何だって一番最後が怖いんだから

※そっち系の映画:ドラクエみたいにパーティーを組み、登場人物達が綺麗に一列に並んで移動する必要がある映画。パニックホラーやアドベンチャーに限らない。ラブストーリーとかにもある(たぶん)


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執筆後コメント

俺はどんなサメ映画でも最後まで見る

コラムニスト:試文書人
担当:ホラー/サスペンス/パニック/コメディ