コラム『ビジネスホテルのVODカードと有料チャンネルの魅力』/山守秀久

ビジネスホテルにおけるVODカードと有料チャンネルの魅力


■現代でも生き残り続ける謎の需要の秘密は開放感と勇気!?

山守 秀久
山守 秀久
コラムニスト
文字数:約2100字|読了時間:約4分

インターネットでのVOD(ビデオ・オン・デマンド)配信サービスが主流となって久しいですが、以前から映画やアダルトチャンネルを放映する有料サービスは存在しており、いまだに現役で活躍しています。

有料チャンネルについては、名前そのままの分かりやすいサービスで、有料で通常のテレビ番組と同じような形で流しっぱなしの放送を見ることができます。料金は、チェックアウト時に利用分を追加請求される仕組みが多いようです。

VODカードについては、概ね1000円程度でカードを購入し、すでにラインナップされている映画やアダルトコンテンツを、一日いつでも好きな時に観られるサービスとなっています。

後者は比較的新しいサービスであり、掲載作品数はさほど多くはないものの、現在のインターネットVODサービスの原型とも言える構成になっています。いずれも世の出張族のビジネスマンの中ではかなり馴染み深いサービスと言えるでしょう。

特に男性陣、さらに言えば家族持ち家族住まいの男性陣にとっては、その絶妙な価格設定と、ビジネスホテル特有の開放感も相まって、隠れた需要の間隙をついたかなり魅力的なサービスだったかと思われます。理由は言わずもがなです。

そうです。エロです。申し訳ございません、伝わらなかった時とこの後の表現方法のことを考えてつい真実を書いてしまいました。

ただ、この有料チャンネルにしても、VODカードにしても、月額500~2000円程度で配信されているサービスからすると、どう考えても割高なのです。唯一の違いはエロ……これについても、実は様々な抜け道があるのですが、何故か現在も一定の需要を保ち続けているのが不思議でなりません。

私も映像作品を愛するレビュアーである前に、一人の男ですから、ここはひとつ真剣にこの現象について考察が必要かと思い、筆を取った次第です。

普通に考えれば、現在のVODサービスに詳しくないから、依然としてそうしたサービスを使っているですとか、月額契約は抵抗があるからですとか、そんな結論に落ち着くのだと思いますが、私は断じて認めたくありません。そんなものロマンの欠片もないお話ではありませんか?

例えば、こんな思いでをお持ちの男性はいらっしゃいませんか?年齢的には30代以上で。

男だらけで集まった修学旅行の一室。時間は夕食後の夜。色んなところの毛の生え具合いを比べ合うお風呂イベントも無事終わって、布団は敷き終わり、景色の話とクラスのカワイイ女の子ランキングも概ね決定付いた頃合い、テレビでも見ようかとリモコンに伸びる手……

気付いてはいました。でも、気づかない振りをしなくてはいけないと誰もが考えていました。エッチな有料チャンネルを映すと料金がかかって、担任の先生にばれるからです。そこに執着してしまったら最後、男子同士の会話はどうすれば先生にも女子にも気が付かれずに皆でそのチャンネルを楽しめるかどうかです。場合によっては事前に先生から釘を刺されている場合すらあります。

VODカード版の登場は、もしかしたら、そんな悩める男子生徒への蜘蛛の糸だったのかもしれません。しかしながら、一体それでも誰がそのカードを買いに行くのか?といった、クラス内の勇者選出問題が残ります。

別にイヤらしい意味でみたいのではないのです。皆で秘密を共有したい。学校と言う抑圧された環境に一矢報いてやりたい。何なら交代制で見ても……(すみません、失言でした)

こうした淡い青春の思い出が、現代における有料チャンネルとVODカードの需要に強く結びついているとは考えられないでしょうか?

私には他に理由が全く見当たらないのです。どう考えてもコストパフォーマンス面では、現代のネット版VODサービスに勝る利点がありません。

そんなわけで、久しぶりにビジネスホテルに泊まる機会があったので、自己検証目的でVODカード付き特別プランなるものを使って、予約して体験してみました。

やっぱり思い出っていいもんですね。こうしたコラムを書くネタになっただけでも十分その値段の価値がありました。この時ばかりは、手持ちのタブレットに入った契約VODのアプリの数々に引け目を感じましたが、何でも好きなものを低価格で観られればいいと言うものではないということを実感した次第です。

VODサービスの進化は嬉しい限りですが、「勇気」の実感というメンタル面で言うと、レンタルビデオ店で店員さんから目を背けながら借りたあの一本や、有料チャンネルの追加請求を受けた時にヤケに優し気に感じたフロントの女性の笑顔などの付加価値は、なかなかつき辛くなっているのかもしれません。

因みに私のクラスの男子は、有料チャンネルの無料時間5分だけ見ようという天才児の提案に乗って、皆で盛り上がって見て見ましたが、映ったのが冒頭部分だけだったばかりか、結局追加料金の請求書に『0円』という、いらない表示があったため、担任の先生から厳しいお叱りを受け、女生徒たちにキモイと呼ばれながら、その後の日程を過ごしました。

皆さんも18禁の作品は18歳を過ぎてから、思い思いの楽しみ方をしましょう。例えどんな崇高な理由があったとしても、ルールを守らずにエッチなのは良くないことです(先生は見てたのかな……)。


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執筆後コメント

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コラムニスト:山守秀久
担当:アクション/ドキュメンタリー