韓国映画『時間回廊の殺人』/サスペンスホラー史上、もっとも怖ろしい着物姿の女が見られます

スコア:443/999

時間回廊の殺人出典:ニューセレクト
『時間回廊の殺人』


【あらすじ】

夫と長男の殺害の罪で逮捕され獄につながれていた主人公のカンは、病を理由に仮釈放される。彼女は25年ぶりに戻った自宅で事件を走馬灯の如く振り返るが、それと同時に家内では次々と奇妙な現象が起き始める。


【作品情報】

公開:2017年4月5日(韓国)|2018年3月17日/上映時間:100分/ジャンル:サスペンス/サブジャンル:サスペンスホラー/映倫区分:全年齢/製作国:韓国/言語:韓国語


【スタッフ】

(監督)イム・デウン/(脚本)チャン・ジェヒョン/(音楽)キム・ウーグン


【キャスト】

キム・ユンジン/オク・テギョン/チョ・ジェユン/イ・ハンフィ/パク・ジュンミョン


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※情報は【2022年11月4日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。

ポイントレビュー


■終盤までが退屈な上に解釈が難しい

試文 書人
試文 書人
サスペンス担当
ポイント:156/333|評価:BAD

それっぽいサスペンスホラーな作りになっているものの、全体としては微妙。後半はそこまでだけど、前半が退屈過ぎて寝そうになってしまった。そんな退屈な前半部分を注視していないと、終盤の解釈が難しい作りになっているのもマイナス。説明不足な部分が多く、こういった作品を見慣れていないと、おそらく頭がこんがらがってしまうであろう。かと言って、見慣れた人にとって秀作かと言えばそうでもない。


■夢に出て来そうなホラーなワンシーンがあった

アクセル神田
アクセル神田
ドラマ担当
ポイント:174/333|評価:GOOD

結局誰が悪いのか?というところがハッキリしているラストは良かったです。数々の伏線をなんだかんだで綺麗に回収してくれるところも好印象でした。ただ、結末に全精力を注ぐような展開なので、真面目に見ていないと途中で意味がわからなくなってしまうかもしれません。難解です。あと、人によりけりですが、夢に出て来そうなぐらいのホラーなワンシーンがありました。よくある演出とはいえ、あれは怖かったですね。


■明らかに考察が必要な作りなのが面倒くさい

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:113/333|評価:BAD

話の盛り上がりが遅く、冗長でした。テンションが低い語り口のサスペンス映画がお好きな方には向いているのかもしれないが、開始30分ぐらいで私は疲れてしまいました。また、内容的に明らかに考察が必要な作りになっているので、疲労感が常に増幅させて何度も見るのをやめたくなってしまう。より真相に近づきたいから見続けるというモチベーションを維持するのが大変な作品です。なお、本作はベネゼエラ映画の『マザーハウス 恐怖の死者』のリメイクとのこと。こっちはマニアック過ぎて見た事ねぇですわ。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

我慢強い人向けのテンションの低い映画です

近道 通
近道 通
メインレビュアー
オールジャンル担当/最低評価

ストーリーを複雑怪奇にすれば良いってもんじゃないことを教えてくれる典型的な作品でした。よくある家庭内殺人のお話に、『シックス・センス』と『アザーズ』を足して、タイムパラドックスのエッセンスをまぶしたようなストーリーになっています。

パクっているわけではないんだけど、発想そのものは上記の作品と大して変わらないんですよね……このお話(『アザーズ』に関してはもろ『シックス・センス』のパクリな気はすけど)。

もう一度見たら物語の意味が理解できるよって感じの流れの映画って、伏線を張っている最中も楽しませて、それを知りたいと思わせないとダメだと思うんですよね。その点がこの物語は弱い。開始1時間ぐらいが間延びしていて、あくびが出そうになります。

それぞれのエピソードが、本筋から微妙にズレていてホラーがやりたいのか、サスペンスがやりたいのかが見えてこないんです。だから、観客としてどういう気持ちで見て良いのかの方針がなかなか立たない。

後半、ある程度巻き返してはくれるんですが、もう時すでに遅しという感じで「あぁようやっと、楽しませてくれるパートなのね」と、一息つけたぐらいの喜びしかありませんでした。

と、大局的には、あえて考察する気分にもなれない作品ではあります。

ただ、テーマとして「母の愛は偉大だ」ってことが言いたかったことだけは伝わりました。これを言いたかったがために時間軸をこねくり回したりして、工夫を凝らしてはみたんだけど、結果、返ってややこしくしくなっちゃったって、お話なんだと思います。

主題は良いのに説明がおかしい人、例え話がズレている人っているじゃないですか?

そんな人の話を聞かされている感じなんですよね。だから、ポカンとなる。途中途中のホラー演出はなかなかのものでしたが、それもまた観客を混乱させる要因の一つになっちゃってる。着物の女性が迫ってくるシーンなんて、8割方の人間が震えるようなシーンでしたが、見終えるとその印象が強すぎて、結末を咀嚼し辛くしてしまっているんです。

混乱させておいて、最後にあぁスッキリな映画を否定するつもりはありません。むしろ好きな方です。

でも、この混乱は違う。強烈なインパクトを与えることで受ける混乱は、振り返って、確認しないと意味が分からないような混乱は、観客にとって不親切でしかありません。

VODで見たから、もう一度伏線の意味を確認することが出来たけど、映画館で見た人は一体どうしたらいいのって思います。DVDやVODに来るまで待つ?それではもうなぞなぞ本を問題と解答で別売りするのと一緒です。

何度も見たくなる映画と、何度も見ないといけない映画って求められるクオリティが全然違うんです。前者は「もう一度あの世界を見たい」という欲求だけで良いですが、後者はそれに加えて「もっと知りたい」という好奇心をも掻き立たせないといけない。一応分かったけど、さらに知りたいと思わせないといけない。

その意味で本作はちょっと足りてない。最初に沸いた好奇心を満たすまでの時間が長すぎて、新たな好奇心を生み出すことに失敗しちゃってる。

こう書いていると酷評しているように感じられるかもしれませんが、惜しいからこそ、それこそもっと時間の使い方があったように思えるからこそ、こうしたレビューをしています。

見る価値はあります。半分ぐらいの人は面白かったというかもしれません。でも、私はこういう不親切な映画ってそれにの対する苛立ちの方が勝ってしまってダメなんです。作品としての我慢の時間にも限界があります。

なので、本作については我慢強い方以外は非推奨という結論でこのレビューを締めくくりたいと思います。終始、自分のことを棚に上げたレビューでしたね(笑)

本作の名台詞

これがママの運命なの

出典:時間回廊の殺人/VOD版

役名:カン・ミヒ
演:キム・ユンジン