邦画『ソロモンの偽証 後編・裁判』/柏木、裁判はじまるってよ

スコア:210/999

出典:松竹
『ソロモンの偽証 後編・裁判』


【あらすじ】

いよいよ学校裁判が始まった。藤野は検察官として、そして柏木の小学校時代の友人であった神原は被告人の大出の弁護人として法廷に立つ。果たして、この裁判で柏木の死の真相を解き明かすことが出来るのだろうか?


【作品情報】

公開:2015年4月11日(日本)/上映時間:146分/ジャンル:サスペンス/サブジャンル:法廷サスペンス/映倫区分:全年齢/製作国:日本/言語:日本語


【スタッフ】

(監督)成島出/(脚本)真辺克彦/(主題歌)U2『ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー』/(原作)宮部みゆき『ソロモンの偽証』


【キャスト】

藤野涼子/板垣瑞生/石井杏奈/清水尋也/富田望生/前田航基/望月歩/佐々木蔵之介/夏川結衣/永作博美/黒木華/塚地武雅/松重豊/津川雅彦/小日向文世/尾野真千子


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ポイントレビュー


■結末を見るために使った時間返して

試文 書人
試文 書人
サスペンス担当
ポイント:43/333|評価:BAD

久しぶりにどうしようもなく中途半端なものを見たなという感想。

ネタバレになってしまうので、あまり深くは言えないんだけど、なんだろう?この喪失感。

映画を見た後の感情として得られた喪失感ならいいんだけど、今回の場合は完全にこの映画の結末を知るために使った時間への喪失感なんだよね。これは。

サスペンス好きの方の中にもこの映画が好きっていう人はもちろんいるだろうし、それはそれで感想としては良いとは思うのだけれど、サスペンス=結末重視型の私のような人間としては、途中の話は諦めるから、ラストだけはホントに大事にして欲しかった。

途中が水準以下でも最後にアッと言わせてくれたら、何とか許せちゃうこともあるぐらいなのに。

あーでも、あれが良いって人もいるんだもんね。

まぁそういうのも、ある意味でサスペンスか。


■裁判の後、皆で打ち上げしてそう……

アクセル神田
アクセル神田
ドラマ担当
ポイント:77/333|評価:BAD

前編から少し気になってたことなんですけど、登場する生徒達がみんな見た目でのキャラしか立ってないんですよね。バックボーンがほとんどない。サスペンスとしてもドラマとしても。

一人一人事細かに描くのは難しいのはわかるけど、メインの人物ぐらいはねぇ。この子はメガネだから、この子は小太りだから、この子はちょっとニキビあるから、みたいなキャラ設定。

やっぱり、役者さんの演技と見た目でフォローするのにも限界ってものがあるんじゃないでしょうか。

話としては結局、文化祭でやる劇の配役決めとその結果みたいな話なんですよね。

色々あったけど、なんだかんだ劇がウケて良かったよね?サイゼに打ち上げいこうぜ!みたいな感じです。

そういうことじゃないでしょうよ。全く。


■唯一、被告の不良役の子が良かった

猿渡 りん子
猿渡 りん子
お母さん代表
ポイント:90/333|評価:BAD

前編での感想をほんのちょっぴりだけ訂正させて頂きたいなと思います。

不良の子の設定がリアルじゃない的な話をしましたが、この役をこなした役者さんの演技は良かった。

後編を見ている間の唯一の救いでしたね。

もうそれ以外は物語の終わりに近づくに連れて、話がしっちゃかめっちゃかだったように思います。

色んなことが起きすぎるし、それも唐突だし。

そこは百歩譲るにしても、話のオチっぽいところを見た方のほとんどが「お前、それ一番最初に言えよ!」と思ったのは、たぶん間違いありません。

ただ、映画に思いっきりツッコミを入れてスッキリしたいって願望がある方には、とても良い作品だと思いますよ。

こんな嫌味を書いていると、私に対して「一番最初って二重表現じゃねぇか!!」ツッコミが入ってきそうですけどね。ふん!

でも、いいんです。実際、二重に表現したいぐらいに何度もツッコミましたから。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

時間泥棒どころじゃない…もうコレはほとんど強盗

試文 書人
試文 書人
メインレビュアー
サスペンス担当/最低評価

ひどい。ひど過ぎるよ。そして後編なげぇ。なげぇよ。

多分時間感覚としてはモメにモメてる実際の裁判の結審までぐらいある。控訴、上告、再審請求までみたいな感じ。

せめて、もう少し前編の方に割り振っておいて欲しかった。こんな終わり方するならさ。

あの~出来れば、あんまりネタバレはしたくないんだけど、前後編を見ると、4時間以上もの大切な人生という刻を使用する作品だから、これ以上の被害者を増やさないためにも、あえて言わせて貰うね(知りたくない方はここで読むのを止めて下さいな)。

この話、結局遺体となって見つかった柏木君が、ただ単に中二病的で、すごくイタイ子だったから自殺して死んだんだよってのが事件の真相。

そんでもって、その事実を弁護側の神原君は全部知っていたんだよ。そして、その柏木君の自殺の件にも関わっていたんだよって、だから、実はこの裁判は自分自身を裁いて欲しかったから開いたんだよってオチで終わる。

実際中学生なんだから、中二病的な理由で柏木君が自殺したってしょうがないじゃんって言われたって、これは許せるオチじゃない。

神原君、もう最初に言おうよ。前編が始まって自分が登場してすぐ言おう。

裁判ごっこやってる場合じゃない。君が正直に言えば5分で解決できる話じゃん。

被告人の不良の子が可愛そうじゃん。カワイイカワイイおデブの松子なんて無駄死にじゃん。この二人が一番の被害者だよ。

最後、校庭で裁判が終わって大団円みたいな雰囲気になってるけど、なんだそのノリ。不良はもっとキレていいし、どんだけいい子だよ。一応グレてんだろ?

松子の親も裁判の後、すぐに復讐劇に転じて一気に主役の座を乗っ取るぐらいやっていい。

なんだったんだよこの映画。時間返して。利息はいらないから。お願いだから。

いや、やっぱり一番の被害者は、あの不良でも、松子でもなく、この映画を見ていた観客だな。

何を訴えかけたかったんだ、これ?

こっちが告訴したいよ。オチがひどいサスペンス映画はそれなりにこれまでも見てきただけど、こんなにポカーンとなったのは久々だわ。

過去にラストで同じレベルの喪失感を味わったサスペンス映画を例に挙げるのが難しいくらい。

こういうのは話として絶対やっちゃダメなヤツでしょ。でも、見る価値ゼロって評価はしたくない。そんな自分の中で最低の称号さえ与えたくないオチ。

もしもこの映画を見て憤っている方が、近くに居たら一緒に美味しい鍋でもつつきに行きたい気分。

ホント……悪ノリで始めた闇鍋が、案外おいしく出来上がりそうだったのに、最後にマシュマロとか入れたバカがいて、全てが台無しなった、そんなお話でごぜーました。

本作の名台詞

ここにいる誰も貴方を裁くことなんて出来ない

出典:ソロモンの偽証 後編・裁判/VOD版

役名:藤野涼子
演:藤野涼子