韓国映画『チェイサー』/良い意味での韓流映画のテンプレ作品

スコア:595/999

チェイサー出典:アスミック・エース
『チェイサー』


【あらすじ】

デリヘルを経営する元刑事のジュンホは、自社のデリヘル嬢達が立て続けに失踪している事を不審に思う。彼女達に支払った手付金の回収と失踪の謎を解き明かすべく、ジュンホは謎のカギとなるある男の捜査を開始する。


【作品情報】

公開:2008年2月14日(韓国)/2009年5月1日(日本)/上映時間:125分/ジャンル:サスペンス/サブジャンル:サイコサスペンス/映倫区分:R15+/製作国:韓国/言語:韓国語


【スタッフ】

(監督・脚本)ナ・ホンジン/(音楽)キム・ジュンソク,チェ・ヨンナク


【キャスト】

キム・ユンソク/ハ・ジョンウ/ソ・ヨンヒ/キム・ユジョン


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ポイントレビュー


■期待値をほどほどに下げて見る映画

試文 書人
試文 書人
サスペンス担当
ポイント:171/333|評価:GOOD

実際に韓国で起きた『ソウル20人連続殺人事件』が物語の下敷きとのことだけど、本作の内容は実際の事件とはかなり異なっていて、同事件に着想を得てという言い方の方が適切かな。

映画のレビューサイトとかを見ると結構評判がいいんだけど、期待したほどではなかったっていう感想。

見る前に期待値をあげちゃう作業しちゃ、やっぱりダメだね。

主人公のジュンホが元刑事の割にはだいぶアホでイライラ。元同僚の現職刑事達もマヌケでイライラ。

『チェイサー』っていう題名だから、激しい追跡劇にも期待を寄せていたんだけど、そこらへんは想像してたよりも退屈だった。

窮地に陥ったら走って逃げて解決するって子供じゃないんだからさ。

でもまぁ、何の期待もせずに見ていたら、面白かったって感想が出るラインの作品ではあるかもしんないね。


■韓国映画はだいたいこんな感じに面白いです

山守 秀久
山守 秀久
アクション担当
ポイント:219/333|評価:GOOD

日本で配給される韓国映画らしい韓国映画です。独特の暗い雰囲気と若干のグロに耐性がないとやや見るのがキツイかもしれません。

ただ、その耐性があれば、なかなかどうしてハラハラドキドキ出来る作品です。

サスペンスな展開を邪魔しない程ほどのアクションに、適度なホラームードが漂っています。

観賞後の気分としては、決して後味が良いとは言い難いお話ではありましたが、「だいたい韓国映画ってこういうものですよね」というのを改めて感じさせてくれるお話でした。


■韓国の警察って本当に映画みたいに無能なの?作り話ってことで良いんだよね?

猿渡 りん子
猿渡 りん子
お母さん代表
ポイント:205/333|評価:GOOD

韓国映画に出てくる刑事さんってどうしてこう無能な人達ばっかりなんでしょうかねぇ?

この映画もそうなんですけど、日本に上陸してくる韓国映画は、全般的に「警察ってここまで馬鹿なの?」って感じで描かれている作品が多いんですよね。

本国で警察の人達がよっぽど嫌われているからなのか、単に脚本や監督をする人に警察嫌いが多いだけなのか理由はわかりませんけど、日本みたいな警察バンザイな作品って、韓国映画ではあんまり見たことがありません。

たぶん私が知らないだけで、『相棒』的な有能警察作品もあるのでしょうけどね。そういう意味では邦画の事件モノしか見たことがない人には新鮮な作品だと思います。

それにしても、母子家庭で子供を育てながらデリヘル嬢をやるって……ホントに生活のためのお金って大事ですよね。

おそらく私にはそういう需要がないので、他のことで稼ぐ方法を今のうちに準備しとかなきゃなぁ……なんていう映画の本来のテーマとは全然無関係な部分で考えさせられた映画でした。

旦那よ。生きていろよ。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

韓流サイコなアクションホラーのテンプレート

山守 秀久
山守 秀久
メインレビュアー
アクション担当/最高評価

韓国映画に関しては「ハ・ジョンウが出ている作品にハズレなし」という合言葉が当サイトのレビュアー内での共通語になっているんですが、その信用にしっかりと応えてくれている映画です。

ハリウッド映画のハズレなし系俳優には、デンゼル・ワシントンでしたり、一時期のモーガン・フリーマンでしたりと、色々いらっしゃいますが、韓国映画ではこの『チェイサー』のハ・ジョンウと『オールドボーイ』のチェ・ミンシクが抜群の信用力を擁しています。

この映画のストーリー自体は、モロに韓流サスペンス映画的な流れで進んでいき、韓流サスペンス映画的にその幕を閉じていくのですが、やはり犯人役のハ・ジョンウの存在感に助けられている部分が大きかったと思います。

主演のキム・ユンソクも全然悪くはないんですが、演技っぽくない演技が要求されるサイコな犯人役を演じきったという面で、今回ハ・ジョンウに軍配をあげたいなという印象です。

役者さんにとって、卑怯で卑劣かつ頭が切れるサイコパスを演じる機会ってチャンスでもあり、ピンチでもあると思うんです。邦画『模倣犯』の中居君とか酷かったですから。

映画を見終えた後、ハ・ジョンウはそれを上手く乗り切り、モノにしたなと思いました。

アクションに関しては、これもまたいわゆる韓流サスペンスホラー映画的に、血みどろのシーンあり、痛々しい描写あり、残酷で冷酷な殺害方法ありで、これぞ韓流サスペンスホラーのひな型といった趣きなんですが、テーマの割に目を覆いたくなるようなシーンは意外と少なかったです。

確かにグロいところもあるんです。でも、ギリギリのところで、踏みとどまってスプラッターな要素を消しています。

暴力的なシーンが苦手な方には決してオススメ出来る作品ではありませんが、そこまで怯えながら見るような作品でもありません。『ハンニバル』が見られる方なら、多分平気で見られると思います。

話は全然違いますが、この映画はサイコサスペンスとしてもかなりの上級品です(流石に『羊たちの沈黙』には遠く及んでいませんが……)。

ただ、少しテンポが悪かった。一応物語としての大枠は主人公キム・ジュンホによる追跡劇となっているはずなので、そこはグダグダしないでさっさと追っかけていって欲しかったです。

大量のカギを持ちながら、手当たり次第に家を巡りまわるシーンなどはもう少し短くても良かったような気がします。

主人公が追っかけているシーンより、犯人のチ・ヨンミンが尋問されているシーンの方が緊迫感とスピード感があったと言っても良いほど、そうした部分では映画として追跡しきれていませんでした。

しかしながら、それ以外の点では余り文句はない作品です。

私の中でこの映画の事実上の主演はハ・ジョンウなのですが、実際の主演のキム・ユンソクの少し間の抜けた感じもストーリーにピッタリマッチしているので、未見の方はそのあたりにも注目して見てみてください。

本作の名台詞

クソ 踏んだり蹴ったりだ

出典:チェイサー/VOD版

役名:オム・ジュンホ
演:キム・ユンソク