スコア:519/999
出典:松竹
『ソロモンの偽証 前編・事件』
【あらすじ】
校内で遺体となって発見された柏木の死因が、大出ら不良生徒達によるものだという告発状が届いた。遺体の発見者でもある主人公藤野は、同級生の死の真相を明らかにするための学校裁判開廷に向けて奮闘する。
【作品情報】
公開:2015年3月7日(日本)/上映時間:121分/ジャンル:サスペンス/サブジャンル:法廷サスペンス/映倫区分:全年齢/製作国:日本/言語:日本語
【スタッフ】
(監督)成島出/(脚本)真辺克彦/(主題歌)U2『ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー』/(原作)宮部みゆき『ソロモンの偽証』
【キャスト】
藤野涼子/板垣瑞生/石井杏奈/清水尋也/富田望生/前田航基/望月歩/佐々木蔵之介/夏川結衣/永作博美/黒木華/塚地武雅/松重豊/津川雅彦/小日向文世/尾野真千子
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見放題配信
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ポイントレビュー
■風呂敷の広げ方としてはまずまず
ポイント:221/333|評価:GOOD
取り敢えずは前編だけの評価を。
中学ってこんな感じだったっけ?こんなにシリアスな生徒ばっかりだったっけ?ってところが少し気になったけど、不良とおデブの松子ちゃんにはリアリティがあった。
きっと役者さんの演技がうまいんだろう。
それ以外は、何か思いつめた顔の生徒ばかりで、事件が起こったことの影響も少なからずあるとはいえ、こんな生徒ばかりの学校が実在したら、ちょっと困る。
もう少し肩の力抜こうぜ。まだ学生さんなんだからさ。
と言いつつも、話としてはまだ前編で、風呂敷を大いに広げている段階なので一定のワクワク感を抱きながら見ることは出来たかなとは思う。これをどう畳んでいくのか楽しみだなぁというのが前編の感想だけど、前編が終わりに近づくにつれて、少しずつ不安な気持ちが芽生えてきたのも事実。
大丈夫?ちゃんと意味ありげなところは意味があるの?と。
■主人公の女子にあまり共感できない
ポイント:154/333|評価:BAD
あまり良くない学校独特のモヤモヤした雰囲気の演出という点では、成功しているんじゃないでしょうかね?
凄く荒れてるわけではないけど、ちょっとやばい奴がいて、生徒が学校に対してまったく愛着をもっていない公立高校って感じで。
でも、この学校の文化祭とかってマジでつまらなさそう……
主人公の女の子は合唱コンクールの時に「ちょっと男子…ちゃんと歌ってよ……」と低めのテンションで注意してきそうなタイプです。
あんまり好きになれなかったですね。
この彼女に対しては「それって自己満足じゃないの?」という言葉を飲み込みつつ、前篇を見終えた感じになりました。
映画の登場人物にそれを言っちゃあおしまいよ、という意見もわかりますが……えーと、微妙でした。
■話にちょっと無理がありませんか?
ポイント:144/333|評価:BAD
学校へ通う子供を抱える母親としては、心配で仕方ない問題を様々な視点から扱っていると聞いていたので、かなり真剣に見ました。原作の宮部みゆきさんの小説もそれなりに好きだし。
でも、どうなんだろう?ちょっとどころじゃなく話に無理があるような。
モヤッとした謎に向かって、主人公やまわりの生徒達が奮闘したくなる気持ちはギリギリ伝わってきたんですけど、実際やるのは絶対お遊戯レベルになっちゃうよと。
ちょっと一番ありえないと思ったのは、結構被告人役の不良が真面目な子達のこういうヘンテコな提案(学校で裁判して無実を証明しようぜ!)に対して、ぼちぼち理解があるんですよね。
今の時代の不良のことは良く分かりませんけど、私の頃はそんなノリのやさしい不良はいなかったなぁ。校歌でさえ歌わない人達でしたよ。
カラオケは喜んで行くくせにね。
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
嫌な予感はするものの、後編に期待
メインレビュアー
サスペンス担当/最高評価この映画に限らず、物語の伏線を張っている段階って作り手側も見る側も楽しいよね。
「あ、これ後から効いてくるヤツだ!」みたいなさ。
今回もその前編なんで、全体としての評価は着地点をつけ難いところがあるんだけど……
まぁ、とにかくなんとまぁ、主要な登場人物達みんなが、超がつくほどの真面目っ子ぶりなのが気になったというのはあるかな。
シリアスに次ぐシリアス。3浪して後がなくなった浪人生のセンター当日よりもシリアスな表情をずっとしてる。笑ってるシーンでも、全然目が笑ってない。
全員が全員あんな顔して登校する学校なんてねぇよ!とは思ったけど、同級生が遺体で発見されたからって事情ぐらいは考慮しないといけないのかもね。
でも、でもだよ。いくら真相を明らかにしたいからって、学校で裁判してみようよはないよね。絶対ないことを、さもありえることみたいに描くことが創作の基本だってことはわかってる。こっちだってわかってるよ。
だから、そこもあえて譲る。365歩のマーチで、一年という時を一歩一歩踏みしめながら譲るよ。
色々背景もありそうだし、絶対に裁判でないと納得できる決着がつかなかったっていうオチが待っているんだろうから。
前編のアウトラインについて言えば、学校という場所は実は、おどろおどろしいところで、そこで教鞭を取っている教師達も個々に様々な闇を抱えていて、生徒もいじめられてる子がいたり、その親がモンスターペアレントっぽかったりっていう話で、嫌味な言い方しちゃえば、現代社会でやたら報道されるようになった、学校問題の詰め合わせみたいなゴチャ混ぜの伏線なんだけど、結末に向けての期待感みたいなものは、きちんとあったしね。
前編と後編に分ける長さが必要な映画って、見る側としては、それだけでハードルが上がってしまうフシがあるから、かなり厳しめのレビューになってしまったけど、話の中身としては悪くはない。
後編で結末を知りたいと思わせるのが前編の一番の役割なはずなので、それには十分に成功している作品だと思う。
冒頭で書いたように、ありえない設定を現代のリアルっぽく描いているところは、鼻につくけど、とりあえずは見る価値はあって、あとは後編次第って映画かな。
ただ、伏線が多すぎて、漫画『20世紀少年』を読んでいる時のような、薄っすらとした嫌な予感はある。
さて、これはどうなるだろうかね。きちんと風呂敷は畳んで下さい。
本作の名台詞
一緒に卒業出来るはずだったのに死んじゃったんですよ。なのに私の中学校生活は充実してただなんて、そんなウソだらけの文集作ったって意味ないと思います!
出典:ソロモンの偽証 前編・事件/VOD版
役名:藤野涼子
演:藤野涼子