洋画『10日間で男を上手にフル方法』/これは10日以内に別れなきゃいけない女と10日以上は付き合い続けなきゃいけない男の物語です!

スコア:619/999

10日間で男を上手にフル方法出典: パラマウント・ピクチャーズ
『10日間で男を上手にフル方法』


【あらすじ】

記者のアンディは『10日間で男を上手にフル方法』のコラムのため、そして広告マンのベンは『10日で恋人を作ってパーティに来れば大仕事をやる』というボスとの賭けのため、相反する目的の二人の攻防戦の結末は?


【作品情報】

公開:2003年2月7日(アメリカ)|2003年8月9日(日本)/上映時間:116分/ジャンル:ラブストーリー/サブジャンル:ラブコメディ/映倫区分:NR/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督)ドナルド・ペトリ/(脚本)クリステン・バックリー,ブライアン・リーガン,バー・スティアーズ(音楽) デヴィッド・ニューマン/(原作)ミシェル・アレクサンダー,ジェニー・ロング『How to Lose a Guy in 10 Days』


【キャスト】

ケイト・ハドソン/マシュー・マコノヒー/キャスリン・ハーン/アニー・パリッセ/アダム・ゴールドバーグ/トーマス・レノン/マーヴィン・ハムリッシュ


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見放題配信

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※情報は【2023年2月7日】現在のものです。上記のボタンをクリックすると各VODの作品ページにジャンプすることが出来ます。詳しくはこちらのページをご確認ください。

ポイントレビュー


■結局は手の平くるりんぱで褒められちゃうラブリーなお話

橘 律
橘 律
ラブストーリー担当
ポイント:239/333|評価:GOOD

至極冷静に分析してしまうと、勝利条件がどうあがいても女性有利の設定なのが序盤は気がかりでした。そこの勝負の部分はラブコメなので、途中からナチュラルにどうでも良くなってはくるんですが、10日間で上手にフル方法……いやいや、普通にそう思ったタイミングで「別れよっか」じゃダメなんですかね?

自分の経験上、良くなかったこともあったので、そこは良しときますけど、真面目にフラれてはいけない側はスタート時点でほぼ詰みです。だって相手がフル前提なら、なんだって出来るし、最悪「は~い恋人おしまーい」で済んじゃうし。

そんでもって、実は本作の原題は『How to Lose a Guy in 10 Days』で、『上手』にの文言が入っていませんから、雑誌記者としてはほとんど意味のない検証企画のような……

でもでも、本作の見所は私が文句をつけているこのキャッチーなタイトルと設定とは別にあります。それは恋愛中に感じる男性の嫌なところも女性の嫌なところもシャンと描いているところです。お国の違いこそあれ、あ、私もやってたかも、アイツもこんなだったなぁ、みたいな気恥ずかしい記憶が蘇ってきましたもん。

いやいや、手の平くるりんぱで申し訳ないですけど、再視聴アリアリのお気楽ラブコメ映画でしたよ。何を隠そう私はこれで確か観るの3回目だしね。深くは思い出に残らない程度の素敵なラブ作品です。


■作中の伏線の張り方はラブコメにしてはかなりのもの

試文 書人
試文 書人
コメディ担当
ポイント:198/333|評価:GOOD

8割ぐらい思った通りの展開で始まって、そのまま終わっていく作品。ネタバレしてレビューしたって問題ないんじゃねぇかってぐらい。とはいえ、この点に関しては大抵のラブコメディに言えることなのでね。

でも、作中の伏線の張り方がなかなか秀逸だったので、ここは潔く認めようと思う。うむ、それなりに面白かった。ハハハと笑える場面があるかと言われれば、俺的にはそこは全くないんだけど、こうまとめ方が軽くていいっていうかね。ラブコメにとってかなり重要な要素である、台詞のやり取りもなかなかのもの。

そうね。なかなか楽しませてくれたと言ってもいいだろう。私の大好きな『セブンティーン・アゲイン』の親友役の人も、彼氏側の同僚兼友人役で出てたしね。やはり良いもんですな。こういう思い出の作品の脇役の人が出ていることに気が付けるのは。

ただ、作中のどの切ないシーンより、この手の映画を真剣に最後まで観ていた俺の方がよっぽど切なかったので、そこは独断と偏見で2ポイントほど減点したいと思う。そう、これはラブ充に対するささやかな反抗である。


■そろそろ『〇日間で変われるたった一つの工夫』みたいなタイトルのブログ止めようぜ

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:182/333|評価:BAD

こんな感じのHOW TO系タイトルのラブストーリーが増え始めたのは、この映画がきっかけのような気がしますね。ブログにしてもそう、『5日間○○するだけで女子力アップ!』とか、『〇〇の時に絶対にしてはいけない、守るべき10の〇〇』とかですね。ブログの方に関しては依然として主流なタイトルの付け方になっています。

そういえば『死ぬまでにしたい10のこと』なんていう若干シリアスなラブストーリーもありました。この作品に関しては偶然にも公開年が2003年となっており、本作と一緒です。日本での公開日もやたら近いし業界的にも流行っていたんでしょうか?そして、意外にもラブコメ作品である『フル方法』の方が公開日(製作国と日本ともに)が早いです。

なお、本作のヒロインであるケイト・ハドソン『2日間で上手に彼女にナル方法』という作品も存在します。

と、ちょっとした豆知識を雑多にひけらかしていたら、随分長文になってしまいましたが、安易っぽい題名に騙されてはいけません。女性好みしそうな作品ジャケットとタイトルにもどうか惑わされないように。

男も女もどっこいどっこいという作風になっているので、案外楽しめます。むしろ男性向けに作られているとも思えるほど『彼女にやめて欲しいことあるある』が目白押しです。少なくとも我慢して見なきゃいけないようなタイプのラブストーリーではないですね。

案外ラブコメも悪くないじゃんってちょっと思ってしまいました。ちょっとだけね。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

無茶な設定の割にほっこりして後に引かないお話

橘 律
橘 律
メインレビュアー
ミュージカル担当/最高評価

どちらかと言うと、10日間恋人でいなきゃいけないバリー(マシュー・マコノヒー)に同情的な視線で観てしまった映画でした。ヒロインのアンディ(ケイト・ハドソン)もアンディで、男性特有の勝手でナルシーな部分に振り回されて可哀そうっちゃ可哀そうだったけど、同性として贔屓目に見てあげても、バリーの方が可愛そうなお話。

だって、バリーは中盤あたりから勝負のことを半分忘れて、ワザとフラれようとしているアンディの豹変部分以外は恋をし始めてたもん。そんな人にあの仕打ちは酷いよ。

お互い仕事目的という共通点はあるからそこまで同情しなくても良いんだろうけど、私はアンディの攻撃っぷりには少し引いたし、良く考えたらアンディのやってたことって、『フル方法』じゃなくて、『フラれる方法』なんですよね。つまり、企画の目的を見失ってるってことです。

彼氏が嫌がることをして、嫌われることが目的なのは分かるんですけど、それって『フッてる』わけではないですからね。男女が別れるのにあえて嫌われる必要はないでしょうに。

あとですね、やたら序盤からスタートダッシュし過ぎなんです。『10日間』という期間を上司にタイトルとして設定されていたので、てっきり10日間ピッタリでバリーと別れなきゃいけないお話かと思ってたんですが、残り4日ぐらいあるのに、別れ話になってアンディは喜んでるんですよね。アンディは記者なんだから、そこのルールみたいなところは、もう少し徹底してほしかったかな。

だけどですね、そうは言いつつも作中でアンディがやっていたことって、大まかに観ると彼女という立場にいる人間が、意図せずやりがちな行動だとも思うんです。私は余り恋に情熱的なタイプではないので、明確な共通項はありませんでしたが、似たような行動を彼に対して取ってしまったことはあったような気はしました。その時その瞬間は無意識にやっていることなので、正確には「あるある」「あったあった」ではなく「あったかもなぁ」ですけど。

ただ、またアンディに対する文句っぽくなっちゃうんですけど、あれだけやって良くバリーは(仕事を得るためとはいえ)我慢してくれたもんです。

覚えてるだけでも、バスケの肝心のシーンを後でも済む用事で観戦を妨害、映画館で観賞中に無駄に大声で話かけまくる。せっかく作ってくれた手料理に意味不明なワガママを言う、まだ付き合いたてなのにゼクシイを置くかのように、シュミュレーション合成家族アルバムを作ってアピール、許可も得ず義母と仲良し、仕事中に愛してる電話、職場に乗り込み突然犬をプレゼントする、男だけの集まりに勝手に乗り込む。etc…etc……

どれもヤバすぎますけど、私としては犬と知らない間に義母と仲良しがキツイかなぁ。私がバリーの立場で彼氏からそんなことされたらまず許さないです。犬が可哀そうだし、家族系は重たすぎて震えるほど怖い。

しかしながら、実は男性的に一番嫌なのって、男だけの集まりに突然彼女が乗り込んで来ることなんじゃないかなって思ったりもします。これは女性も全く同じでしょうからね。女子会に来る彼氏とか、ほんと『そんな彼なら捨てちゃえば』(これもタイトルが特徴的なラブコメ映画)って思います。っていうか、私は帰ります。

そんなわけで、作中では大変な大変なバリーさんに同情しつつ見続けてしまった映画なんですが、本作って本当は彼らの性別を逆にしても成立するお話なんですよね。

男性でもアンディみたいなことする人いるし、女性でもバリーみたいなタイプもいるし。

結局この映画が何を言いたかったのかって、正直に言えばてんで分からないんですけど、何も言いたいことがない物語があったっていいんじゃないですかね?むしろそこがこのラブコメ映画の良いところなんだと思います。ラブコメみたいな恋愛って全体的に考察すると、リアルでは普通のラブストーリーよりもなかなか体験しにくい類のものなのでね。こういうほっこりして後に引かないお話は好きですね。

あ、あとあと、本当は本作のラストシーンの台詞を当サイトの『本作の名台詞』のコーナーに入れたかったんですが、超ネタバレになってしまうので、ここに掲載しておきます。

ブルシット! 【役名:ベンジャミン・バリー/演:マシュー・マコノヒー】

本作の名台詞

世界一の美女だって そんなことしたら男に嫌われるわ

出典:10日間で男を上手にフル方法/VOD版

役名:アンディ・アンダーソン
演:ケイト・ハドソン