スコア:399/999
出典:ギャガ
『ブレイブ』
【あらすじ】
インディアンのラファエルはアメリカ社会からの差別の影響もあり、貧しい生活を強いられていた。そうした切羽詰まった状況の中彼はある男と出会い、大金をやるからスナッフフィルムに出て見ないかと誘われる。
【作品情報】
公開:1997年5月10日(フランス:第50回カンヌ国際映画祭)|1998年3月28日/上映時間:123分/ジャンル:ドラマ/サブジャンル:社会派映画/映倫区分:全年齢/製作国:アメリカ/言語:英語
【スタッフ】
(監督)ジョニー・デップ/(脚本)ジョニー・デップ,ポール・マクカドン,D・P・デップ/(音楽)イギー・ポップ
【キャスト】
ジョニー・デップ/エルピディア・カリーロ/マーシャル・ベル/フレデリック・フォレスト/クラレンス・ウィリアムズ3世/ルイス・ガスマン/フロイド・ウェスターマン/イギー・ポップ/マーロン・ブランド/
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ポイントレビュー
■物語としてのメッセージが心に届きにくい
ポイント:149/333|評価:BAD
アメリカが抱えるネィティブアメリカンズ(インディアン)への差別問題が映画としての主題のようですが、同問題についてかなり詳しい方でないと悲壮感が伝わりにくいかもしれません。終始息苦しいムードで進む作品です。映像上では、辛さや憤りのようなものが見えては来るのですが、こうした作品は真のメッセージが観客に届かないといけないですから……その点が知識に乏しい私にとっては説明不足のように感じられました。
■少しぐらい娯楽要素を入れても良かったんじゃない?
ポイント:119/333|評価:BAD
暗い。そしてひたすら空気が重い。見ていて居たたまれない気持ちになる。主人公が明るく振舞っている場面でさえ、やるせない想いが感じらる作品です。本作で主演、監督、脚本を務めたジョニー・デップ自身もインディアンの血を引いているということで、アメリカ社会の闇に対する怒りも感じ取ることが出来ます。ただ、娯楽性が皆無に等しい社会派映画なので、ストーリー的に退屈な時間がかなり多かったような気はしました。
■疲れる映画って苦手だなとしみじみ感じた
ポイント:131/333|評価:BAD
こうした作品を見ているといつも思うのですが、ストレートなテーマがある社会派映画ってとっても評価し辛いですね。特に差別について取り扱った作品というのは……切り口がユニークなものであれば少しは救われるんですが、本作はとにかく描写が直接的なので胸が痛くなってきます。そればかりが続くと私は疲れてしまう人間なので、正直苦手なタイプの映画です。ワンシーンぐらいでもいいから息を抜かせてくれる場面が欲しかったです。
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
見方に工夫がいる映画なんじゃないかな?
メインレビュアー
オールジャンル担当/最低評価スナッフフィルム(実際に人を殺した映像を撮った映画)に殺される役で出て欲しいという依頼って、私の感覚で言えば理解に苦しむ依頼なんですよね。
一般的なスナッフフィルムは、突然人を襲ったり、見せしめの処刑シーンを映したりするもので、死を覚悟してなかった人が殺される瞬間を見るのが好きな人が見るものだとばかり思っていたので……
だから、そこからまず付いていけなかった。後者の私が思うスナッフフィルムが好きな人達も相当な悪趣味ですが、まだそういうサディスティックになってしまう人間の嗜好の錯誤は想像出来るんですが、今回のようなスナッフフィルムのジャンルが好きに人はそれに輪をかけて悪趣味です。
もし本当に需要があるとしたら、怖ろしい限りですね。自ら望んで女優や男優になってポルノ作品に出るのとはわけが違います。もう興味本位という言い訳すら通用しないサイコな嗜好です。そんな人達がこの世の中にいるとは信じたくない。
この設定の影響でそういう嫌な気分になってしまったものだから、作品の本筋であるアメリカの社会問題に些か集中できない部分がありました。
ドキュメンタリー作品ではないので、そこまで気にせずにこれはあくまでサスペンスドラマだとでも思って、純粋に映画として楽しめば良いんでしょうが、本作の雰囲気はそうはさせてくれない重圧感があるんですよね。
そのせいで社会派映画として見なきゃいけない気持ちと、娯楽作として見たい気持ちとがカチ合ってしまって楽しめない。映画自体は別に押し付けがましく演出しているわけではないので、自由に見ればいいんですけどね。ただ、気が付いた時には様々な要素が雁字搦めになってしまっていました。こんな風に思うのは私だけかもしれないですが……
こうなってしまうとどうしようもなくなってきます。グタっとしちゃう。極端な話をいえば、面白いところもつまらなかったところも見つけようと思わなくなってきて、自分が何の話をみているのか迷子になってしまいました。
もちろん、アメリカ社会の中で差別され、苦境に立たされているネィティブアメリカンズ(インディアン)の苦悩は分かるんです。伝わっては来るんです。でも、それはこの設定じゃない方が伝わったんじゃないかなと。
あと気になったのは主人公のラファエルは強盗をしたりして、服役も経験済みなのにどうして行きつく先がスナッフフィルムへの出演なのかという点。
「もう他人を傷つけてまでお金を稼ぎたくない。それだと自分達から土地と生活を奪った奴らと同じようになってしまう」という気持ちは分かるんですけど、その割に最後の思い出作りに子供のために簡易な遊園地みたいなのを作ったり、無駄とまではいいませんが、目立つことをしている。
そのせいで、また事件が起きて自分も起こしてっていう悪循環。こういうところもちょっと意味不明なんですよね。彼の思想が分からない。百歩譲って、自分の命と引き換えに家族や村に金を残そうという犠牲者精神は悲しくも美しいと評価出来ても、その後にやっていることがかなり矛盾している。
こっちは彼がどう民族として誇りを持ち、どう家族を守ろうとしているかにせっかく気持ちを持ち直そうとしていたところなのに、終盤に近付くに従ってどんどん行動がおかしくなっていくから、またしても宙ぶらりんな気分のまま映画を見続けることになってしまう。視聴する側にとってもこれは悪循環で、興味があさってな方向にむかわざるを得ませんでした。
ただ、何とか彼の人生を最後まで見届けようというモチベーションだけは唯一保てていたので、儀式的な映像の美しさだったり、スナッフフィルム出演の依頼者であるマッカーシー役のマーロン・ブランドもっと出て来ないかなぁと考えながら最後まで見続けましたが、これって映画の見方として正しくないですよね。
だから、この映画は見方によって相当感想が割れる作品なんじゃないかと思います。私は悲しいかな社会派映画だから映像が芸術的だからというだけで評価が出来ない人間なので、率直に言って、本作を見て強く感じるものはなかったですね。
むしろ観賞後に検索してヒットした。ネィティブアメリカンズの歴史を調べていた時の方が、感情的には響いたぐらいです。
でも、そう考えれば良い映画なのかもしれませんね。フォローするわけではないですが、主演、脚本、監督を務めたジョニー・デップの情熱だけは少なくとも私には届いたからこそ、この問題について調べてみようと思えたわけですからね。見なかったら多分関心を持たなかった。
かなりクセの強い社会派映画なので万人にはオススメしませんが、こんな私でもこうした問題に興味を持つきっかけにはなったお話ではあったので、ジョニー・デップファンの方はもちろんのこと、何か社会問題について考える取っ掛かりを求めている方は一度お試しになってはいかがでしょうか?
本作の名台詞
この世に生まれる時苦痛が伴う それはこの世を去る時の苦痛と同様のものだ
出典:ブレイブ/VOD版
役名:マッカーシー
演:マーロン・ブランド