洋画『バイオハザード』/日本発の超名作ゾンビゲームを完全実写化?だけどジルもクリスも出て来ないよ

スコア:651/999

バイオハザード出典: スクリーン ジェイムズ
『バイオハザード』


【あらすじ】

大企業アンブレラ社は健全な事業とは別にウイルス兵器の開発していた。しかしながらその兵器は謎の人物の手によって、地下研究所内にバイオハザード(生物学的危害)を巻き起こし、所内はゾンビが蔓延る地獄と化す。


【作品情報】

公開:2002年3月15日|2002年8月31日(日本)/上映時間:100分/ジャンル:アクション/サブジャンル:ゾンビ映画,アクションホラー,サバイバルアクション/映倫区分:PG12/製作国:アメリカ,イギリス,ドイツ/言語:英語


【スタッフ】

(監督・脚本) ポール・W・S・アンダーソン/(音楽)マリリン・マンソン,マルコ・ベルトラミ/(原作)カプコン『バイオハザード』


【キャスト】

ミラ・ジョヴォヴィッチ/エリック・メビウス/ジェームズ・ピュアフォイ/ハイケ・マカチュ/コリン・サーモン/ミシェル・ロドリゲス/マーティン・クルーズ/パスクエール・アリアルディ


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ポイントレビュー


■ミラ・ジョヴォヴィッチの役者人生を変えた一作?

山守 秀久
山守 秀久
アクション担当
ポイント:225/333|評価:GOOD

海外でも大人気のあの『バイオハザードシリーズ』のハリウッド実写映画化の第1作目です。本家ゲーム版が1996年発売で25年以上前、そして本作実写版の公開が2002年20年前、さらにはそのどちらも、現在に至るまで続編が出続けているという、まさにゾンビに負けずとも劣らない息の長さです。

本作のゾンビ達に、呼吸という概念があるのかは分かりませんが、日本が世界に誇れるテレビゲームの枠を超えたコンテンツであることは間違いないでしょう。

さらには、ゲーム版の筋とはやや乖離したストーリーであるにも関わらず、実写映画として失敗どころか見事なまでの成功を収めています。ことにアクション映画としての出来は抜群です。ホラー要素が薄まってしまいかねないほどのギリギリのラインで攻めています。

主演のミラ・ジョヴォヴィッチの役者人生を変えたとも言える一作なのも見所です。仮に彼女の出世作は?と尋ねた時に『フィフス・エレメント』を選ぶか、この『バイオハザード』を選ぶかで意見が別れるところがあると思います。

私は断然本作を推しますが、皆さんはどうでしょうか?『ジャンヌ・ダルク』などを選ぶ方ももしかしたら、いらっしゃるかもしれませんが、とにもかくにもアクション俳優としての彼女は本作で形作られたと言っても過言ではないように思います。


■ホラー映画コーナーには置きたくない

試文 書人
試文 書人
ホラー担当
ポイント:190/333|評価:GOOD

何度見たか数えるのも馬鹿馬鹿しいくなるほどのアクションホラーの名作。しかしながら、超序盤のカプセルを投げて壊すシーンを見る度に「投げてる人結構あぶなくね?」と思えるは、常に新鮮さを保ち続けられるストーリーのシンプルさと、圧巻のアクションシーンの完成度の高さゆえであろう。

また、もしも私がレンタルビデオ店の店員さんなら、本作は泣く泣くホラーコーナーには置けないであろうことも付け加えておこう。確かに怖いところもあるし、キモいし、ゾンビうじゃうじゃいるしで、どう見たってホラー映画の要素満載なんだけどね。

ほら、ホラー映画ってだけで避ける人もいるじゃない?カマトトぶる子もいるじゃない?

なので仕方なくね。これはあくまでアクションホラーですよと、後ろ側に付け加えるに留めておきたい作品。本当はホラーだって凄いんだぞ!と言うための代表作にしたいくらいの映画なんだけど、なんかこう、ゲームで言えば三國無双的な爽快感があるんですわ。

あれだって、冷静に考えれば、歩兵から弓兵まで切り殺しまくってるある意味アクションホラーだからね。


■ややこしい順序でバイオハザードに触れてきた私ですが……

橘 律
橘 律
ゲーマー代表
ポイント:236/333|評価:GOOD

20歳を過ぎたあたりから、金銭的な勝負が関わらない純粋なゲームというのはやらなくなってしまいましたが、向こう様の事情を一切考慮せずに殺っちゃう系のゲームは、命の次に大事な物を賭けた勝負に負けた腹いせに頻繁に嗜んでおります。

本作の原作については、初代ではなくプレゼントで貰った『PS3版のアニバーサリーパッケージ』からではありますが、ストーリーは初代とほぼ同じ内容ということで、あらかじめ『バイオハザード』というお話はどんなものかということは知っていた次第です。

そういうわけでそれを知った上での感想をと書き出したかったのですが、悲しいかな本作の実写映画の方が『バイオハザード』というものに触れたのは先なんですよね。なので、本作はゲーム版をやる前に見た作品の再視聴ということになります(ややこしくてすみません)。

本作の初見時はまだ小さかったし、有名ゲームタイトルであることぐらいしか知らない状態だったので、なんとまぁワッショイワッショイのゾンビアクションなんでしょう!という好印象を抱きました。

何と言っても無駄がほとんどない。

ゾンビ映画として抑える基本は抑えつつも、きっちりとそんな悲しいことはこれぐらいで、と言う程度にしておき、ダラダラとは引きずらない。エンタメとしての完成度の高さはゲームの実写化という期待値の低さも影響して想像以上の高評価でした。

しかしながら、本家のゲーム版をプレイ中に本作をふと思い出した時、「話が全然違うじゃん!」と思わず声が漏れました。本来は実写映画版に対して言うべきことですが、何しろ、楽しんだ順序が違うものでしてね。

な~んて、最後にちょびっとネガティブな意見を付け加えてしまいましたが、結局ね、どっちも展開自体は良いんで、あんまり関係ありません。個人的にもどちらが好きというお話でもないし、この『バイオハザード』というコンテンツは、ゲームのキャラ、実写版のキャラを両方が別個に成立している作品なんだと思います。実写の続編はそこのところが若干違うらしいですが……

なお、ゲームを先にやっておけばいいか、実写版を先に観た方が良いかについては回答は控えさせて頂きます。責任は持てませんが、たぶんどっちでもいいからです。どちらにしても結局ゾンビは出て来ますので。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

いまだに忘れられないサイコロステーキビーーム!!

橘 律
橘 律
メインレビュアー
ゲーマー代表/最高評価

ポイントレビューでも触れた通り、本作については初視聴に関しては本家ゲーム版より先に実写映画を観ておりまして、このレビューを書くにあたっては再視聴となるわけですが、相変わらずスーパーマーケットでサイコロステーキを見る度に思い出す作品です。

最早映画史に残ると言っても過言ではないくらいの名シーンなので改めて説明するまでもないのですが、始まって30分ぐらいの序盤で研究所に特殊部隊の人達が潜入する際に、入口的なところで閉じ込められて、なんでも切り落とせるビーム的なものが無数に襲って来るトラップにハマる場面があります。

そのビームは切れ味的にはガンダムのビームサーベル、五右衛門の斬鉄剣、あるいはマニアックな方でしたら、ウォーターカッターみたいなものを想像して頂ければ分かりやすいかと……

アクション映画としての演出上、致し方のない部分があるのは重々承知しているのですが、特殊部隊員に無駄にスタイリッシュに避けさせたり、肉体やら装備やらをプチ切断したり、避けを読み切って裏をかいた動きをしてみたりしておきながら、最後の最後は、あのサイコロステーキビームでパワープレーでお終いって……どうなんでしょう?

もう、最初からやる気ならひと思いにやってやれよって思いません?

ラブストーリーとかでも良くあるんですが、チューするならする!しないならしない!っていう場面ってイライラするじゃないですか?そしてそこがイジらしくじれったくも、ときめいたりするじゃないですか?

でも、これはチューキッスとか接吻とかそういう話ではありません。命がかかった場面です。

恋愛映画に例えるなら、ウブな男女二人が事故的に入ったラブホテルで、なんとなくおっぱじまりそうな空気になったけど、結局は何もしないでホテルを出た。でも、やっぱこのままじゃ二人のお話は進まないよねってことで、送りついでにどっちかの家で最後までしちゃいました。

なら、ひと思いにラブホで済ませとけよ!ラブホだってボランティアじゃないんだぞ!

……と、あらイヤだわ…

怒りのあまりついつい隠れたおっさん部分が出てしまいましたが、もうそれぐらい印象に残るシーンなんです。絶望感の演出としては完璧でしたが、門番としてはあの作りはちょっとドSが過ぎると思います。

あのビームさんが、殺す必要のないものと、殺す必要のあるものを分けるという役割で、あのような振る舞いをしているならまだ分かるのですが、最後の必殺バラバラパラダイスビームは、どう考えても詰みですからね。

とはいえ、本作の中で欠点でありつつも美点でもあるシーンってやっぱりここなんです。これが序盤にあったことで、一気に話に惹きつけられましたから。

主人公アリス(ミラ・ヨヴォヴィッチ)のバックボーンの下り等が割とどうでも良くなるというデメリットはありましたが、このシーンのおかげで潜入した特殊部隊の人達の無事を心から祈れる心情で、映画を最後まで見続けることが出来たと言っても良いかもしれません。

ただ、人間に対してかなり残酷でスプラッター的な描写が多いので、それなりにキツイ死に方?をさせれているゾンビさん側の気持ちに寄り添えないのは少々残念ですが、よくよく考えてみると、ゲームをプレイ中の私は彼らの気持ちなんて一切何も考えてませんでしたからね。

むしろ、新しい強力な武器が手に入ると、試し斬り的にもっと弱い武器でもいいのにも関わらず、ナイフでも殺せるようなゾンビに使っちゃったりしてましたし……

これがね『グランド・セフト・オートシリーズ』のような人間相手になると、どうなんでしょう。倫理的に問題アリなのかな?メンドクサイですね。倫理って。

でもゲームはゲーム。映画は映画。全て空想と妄想のフィクションの世界です。私はそれを現実世界に持ち込まなければ好きなようにやれば派に属しています。仮想世界にハマり過ぎると現実との区別がつかないというなら、どうして「映画を参考にした」「ゲームに影響された」って意見や供述が出るんでしょう。映画、ゲーム、という言葉を使っている時点でちゃんと区別がついてると思うんですけど……

とはいえ、本作については、やや強めのスプラッター要素がある作品なので、そこそこお子様は大きくなってから見ることをお勧めします。グロ耐性が極端に弱い大人に育つ恐れがありますし、トイレに行くたびに起こされるのも大変ですからね。

また、お子さんをお持ちで本作の大ファンの方は、いつか我が子が本作に出会った時のための伏線として、夕食にサイコロステーキを出すという行為は絶対にやめてあげて下さい。気軽に使っていい言葉ではありませんが、私の場合、最早半分トラウマですからね。一時期は割引シールが貼ってない時は、買わなくなってしまったぐらいです。

ただ、本編についてあまり触れていないことからもお分かりのように、面白いアクションゾンビ映画だったという評価だけで、特段これらの他には語ることはない作品です。本当に純然たるエンタメ作品ですから、考えさせられるような哲学的な成分はほとんどありません。ストーリーもゾンビが出て来ます。ゾンビになってしまう仲間もいます。人間関係を築いちゃったばっかりに悩ましいですね。の王道テンプレート。

それゆえに、検索のサジェスト(検索窓に入力し始めると候補を自動で提案してくれる便利なアレです)でも『バイオハザード 実写 ひどい』との文言が候補にあがってきたりして、全体としては賛否両論のところもあるようです。ゲーム版はエンタメ全振りって感じのストーリーではありませんので、こんな展開は許せないって気持ちは分かるっちゃわかるような気がします。

特にゲーム版の大ファンからすると、主要登場キャラクターからして違うので、不満が大いに募ってしまう気持ちも分かるっちゃわかります。登場人物に感情移入するのにも時間が足りません。実写版の続編は私も見ていないので、そっちが相当駄作だったとかの影響も、もしかしたらあるでしょう。ただ「ひどい」までは行くかなぁ……

こんな風にレビューサイトに感想を書いておきながらなんですが、(他の作品でも)ああいったサジェストを出させてしまう一助になってしまっている可能性がある点においては、レビューの書き方に改善の余地があるような気がしないでもないです。

でも、これはあくまで個人の感想ですからね。思ったように書いて、伝えたいように書いて載せるのがベストなのでどうか、ご容赦頂ければと思います。

ただ、『バイオハザード 実写 ひどい』で候補に出て来たページでも良く読んでみるとベタ褒めしていたりするので、本作に関わらず、サジェストだけで作品を判断しないようにくれぐれもお気を付け下さい。そして、これは本作に限ったことではありません。原作がある映画や連ドラの評価を検索する際には、かなりの確率でこの現象が起きます。私見を言えば、案外ゲーム原作の洋画は実写でも面白いのが多い気がします。観ないともったいないのもあるぐらいです。

しかしながら、このレビューで使っている「ひどい」の単語も検索エンジンは恐らく拾ってしまうでしょう。機会オンチの私には一体どんな仕組みになっているのか見当もつきませんが、拾われにくくなるような書き方というのがあるのかもしれません。でも、勢いで書いてしまうタイプの私には多分できません。申し訳ない。

というわけで、結局どうにもならなそうなので、やっぱり基本スタイルは変えないことにしまう(笑)。良く考えればあえて「ひどい」作品をお求めの方だっていらっしゃるわけですからね。うん、観る人によっては、ひどいとひどい作品にも見える要素は本作にもあるしね。冒頭で触れたビームさんなんて、本当にひどいヤツですから。

いずれにしても、サジェストだけで誤った判断をせず、候補にあがったページの本文をきちんと読んでから、視聴の判断をされることを推奨します。大した問題じゃありませんが、映画を観るのって暇な時間という大切なものを使いますからね。

さぁて、続編どうしましょうかねぇ……パチンコパチスロ版のバイオ(おそらく実写版ベースは存在しない)で負けた時にでもいっちょ見てやりますか!

その場合、おそらく私のレビューは個人的感情が強すぎて、不掲載になることでしょう。

本作の名台詞

Shit! 

出典:バイオハザード/VOD版

役名:ジェームス・P・シェイド
演:コリン・サーモン