スコア:633/999
出典: 東宝
『シン・ウルトラマン』
【あらすじ】
正体不明の巨大生物が人々を襲うようになり、政府は禍威獣特設対策室を組織。様々な特性を持つ禍威獣達に翻弄され続ける対策室のメンバー達であったが、巨大人型生物ウルトラマンの登場により事態は変化していく。
【作品情報】
公開:2022年5月13日(日本)/上映時間:113分/ジャンル:パニック/サブジャンル:アクションヒーロー/映倫区分:全年齢/製作国:日本/言語:日本語
【スタッフ】
(監督)樋口真嗣/(脚本)庵野秀明/(音楽)宮内國郎,鷺巣詩郎/ (主題歌)米津玄師『M八七』
【キャスト】
斎藤工/長澤まさみ/西島秀俊/早見あかり/有岡大貴/山本耕史/田中哲司
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見放題配信
※情報は【2022年12月22日】現在のものです。上記のボタンをクリックすると各VODの作品ページにジャンプすることが出来ます。詳しくはこちらのページをご確認ください。
ポイントレビュー
■怪獣(禍威獣)とちゃんと戦ってくれるウルトラマン
ポイント:185/333|評価:GOOD
以前レビューした『シン・ゴジラ』での反省点がかなり生かされているような気がするけど、まだまだ怪獣(本作では禍威獣)との戦いが少ないような……やっぱりゴジラもウルトラマンも怪獣と戦ってなんぼでしょ。
とは言いつつ本作ウルトラマンのジャイアント馬場的な戦い方は好きだったし、そこそこ怪獣たちと戦ってくれたので、満足と言えば満足かな。欲を言えば、怪獣をスタイリッシュ?にし過ぎたせいで、可愛さが物足りないこと。
ピグモンとかダダとかジャミラとか、ああいうのを出せる雰囲気にまで持っていければ、シリーズ化も出来るのでは?
でもダメだ。ジャミラのエピソードは悲し過ぎる。脱線してごめん……ちょっと泣かせて。
■ウルトラマンという存在へのリスペクトが感じられる作品
ポイント:215/333|評価:BAD
世間様では賛否両論の作品のようですが、アリかナシかで言えば、私にとってはアリなお話でございました。
初代ウルトラマンのお話を『懐かしの〇〇』系の番組でしか拝見していないので、確かなことは言えませんが、そうした不十分な知識での見解を述べさせて頂くとしたら、相当初代ウルトラマン?初期ウルトラマン?へのリスペクトを感じます。
途中、途中の合成映像がショボくなったり、逆にリアリティが出ていたりというのも、時代の進化を表現しているのでしょうか?流石にそれは勘ぐり過ぎかな(笑)
出来れば家族で映画館に行って観て見たかったですね。コロナのバカヤロウ。でもしゃーない、プロジェクター付きの家を買うためにパート頑張れ私……それが無理なら今ある大型液晶テレビに合うサイズの家を買うために超頑張れ私と夫!
だが、一緒に見た夫よ。懐かしくなってしまったのはわかるが、ネット通販でウルトラマンティガのフィギュアを眺め続けるのは止めなさい。そんな目で見たって買いませんよ。オモチャは子供へのプレゼントが終わってからです。
■実は本家のウルトラマンをほとんど見たことがありません
ポイント:233/333|評価:GOOD
前作の『シン・シリーズ』、『シン・ゴジラ』のカヨコ・アン・パタースン(演:石原さとみ)的な枠を長澤まさみが演じています。役割は違うけど、このシリーズの関係者はあんな感じの女性が好きなのかな?まぁ俺も大好きとまでは言わないまでも、出来ることなら結婚させてくれないかなとは思います。
そう言う意味では突如として現れた宇宙人の如く、堀北真希をかっさらっていった山本耕史を本作にキャスティングしたのは、正解だったかと。今は本当の意味で『ひとつ屋根の下』にいるのね……
なんて、気持ちの悪い冗談はこれぐらいにしておきますが、私個人はウルトラマンそのものをほとんど見たことがないので、ごく普通のヒーロー特撮モノとして楽しむことが出来ました。
それだけに一体何が『シン』だったのかは良く分からなかったのが残念でしたね。完全に自分の責任ですけど……
でも、『帰ってきたウルトラマン』だけは少しだけガイドブックみたいなもので、見たことがあるような気がします。そうなると、本作の続編は『帰ってきたシン・ウルトラマン』になるのか?いや、何かタロウとか他にも色々いましたよね。
初代ウルトラマンのファンにとっては気分を害する表現になってしまうのかもしれませんが、本作を見たことで、ウルトラマンってこういう話だったのね……と合点がいきました。子供も大人も楽しめる分かりやすくて良いストーリーですな。本作、ジャンルはアクションでも良かったかもです。
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
ヒーローとは時代と共にあるもの
メインレビュアー
オールジャンル担当/最高評価ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダー、何とかレンジャー……この辺りは、いつの時代も常に少年達の心を惹きつけ、現代においては(特に仮面ライダーは)その母達の心をも惹きつけるというのですから罪な存在です。
ポイントレビューでも申し上げた通り、私はウルトラマンという存在は知っていても、その中身まではほとんど知らない人間なので、個人的には本来持っていないとおかしい知識を補完してくれる良き作品であったように思います。
展開もかなりコミカルで、陰々鬱々としたところが少ないので、見やすさもありましたね。出だしのパチンコの格上げ演出みたいな『シン・ゴジラ』タイトルカットインからの『シン・ウルトラマン』カットインはウケました。
取り分け面白かったのはビッグ長澤まさみ。良く受けてくてくれましたねこの役柄。もっと仕事を選ぶタイプの女優さんだと思っていましたが、恐れ入りました。良く考えれば、こんな面白い仕事を受けない方がもったいないか。主演映画『マザー』での怪演も納得です。
ウルトラマンの中の人である斎藤工も良かったんですけど、本作はビッグ長澤のシーン辺りから、どうしても長澤まさみの動向の方が面白くなってきてしまったので、後半になるに連れて良くなる戦闘シーンに反比例するようにして、少なくなる爽やかエロコミカルシーンの回数に一抹の寂しさを感じずにはいられませんでした。
さり気なくレンズを胸元らへんに向けるカメラワークも、物語が真面目になっていくのと同時に減っていったような気がしるのは恐らく私だけではないでしょう。
こんなことばかり書いていると私は一体何を見ていたのかと思いますが、基本的にはちゃんとウルトラマンを見ていましたよ。純な少年少女達はこんな細かいことは一切気にならないナチュラルな仕上がりになっています。
髪型で言う毛先を遊ばせているところが、私には気になっただけの話です。
映像的に一番衝撃を受けたのも、ウルトラマンが登場した際の菩薩像のような美しい姿でしたしね。調べたところによると、そもそもウルトラマンは弥勒菩薩をモチーフにして造形されたキャラなんだそうで、大のウルトラマンファンの方はここに関しては手放しで歓喜されたのではないでしょうか?
既存の名ヒーローを新たに表現し直すというのは、思い出補正と相まって絶対に不利な条件ではあると思うのですが、ヒーローというものは皆のものであって、ファンだけのものではないのでね。
本作中の描写にしても映像にしても、賛否両論があって当然なんです。特にこれは新しいいウルトラマン『シン・ウルトラマン』なのであって、古参のファンに全く配慮しないのも良くないですが、古参のファンに配慮し過ぎるのはもっと良くない。それでは新しいものは何も生まれません。
でもこの『シン』の部分がもしも『真』という意味だったとしたら、それは驕りなんじゃないかなと思います。ヒーローは時代と共にあるものですから、どちらが真の存在であるかなんて誰にも言えないはずです。
しかしながら、批判覚悟でこういった試みをしたという点においては、製作陣は特撮ヒーローさながらの覚悟で臨まれたのではないでしょうか?
映画としてメチャクチャ面白かった、深かった、などとは言いませんが、諸々の事情を勘案した上でも『シン・ウルトラマン』は現代で完全にヒーローをしていたと思います。次回作がもしあるとしたら、見ては見たいですね。私の好みを考えると、お話し的にそこそこ後回しになりそうな作品ではありますが、これっきりっていうのは少々勿体無い気がします。
本作の名台詞
あれがウルトラマン…… 綺麗…
出典:シン・ウルトラマン/VOD版
役名:浅見弘子
演:長澤まさみ