洋画『ラ・ラ・ランド』/歌やダンスがない場面の方がまだ見られる不思議なミュージカル

スコア:388/999

ラ・ラ・ランド出典: ギャガポニーキャニオン
『ラ・ラ・ランド』


【あらすじ】

オーディションに落選する日々を送る女優志望のミアと、古典的なジャズを愛しジャズレストランを開く事が目標のセブは、数回に渡る偶然の出会いに運命を感じ恋に落ちる。二人の恋の四季が今、歌声と共に幕を開ける。


【作品情報】

公開:2016年8月31日(イタリア)|2016年12月9日(アメリカ)|2017年2月24日(日本)/上映時間:128分/ジャンル:ミュージカル/サブジャンル:恋愛映画/映倫区分:全年齢/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督・脚本)デミアン・チャゼル/(音楽)ジャスティン・ハーウィッツ


【キャスト】

ライアン・ゴズリング/エマ・ストーン/ジョン・レジェンド/ローズマリー・デウィット/J・K・シモンズ


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見放題配信

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※情報は【2022年11月5日】現在のものです。上記のボタンをクリックすると各VODの作品ページにジャンプすることが出来ます。詳しくはこちらのページをご確認ください。

ポイントレビュー


■こういう話は映画でなくて劇場でやるべき

橘 律
橘 律
ミュージカル担当
ポイント:109/333|評価:BAD

あぁ、これは極めて人を選ぶヤツだわ……

初見は映画館でしたが、初っ端のハイウェイダンスを見た瞬間、そう確信しました。このオープニングパンチのせいで、私は口をポカンと開けることになり、頬張っていたポップコーンを口の端からポロリと一つ落としてしまいました。

その当時一緒に観ていた方は、上映後に「出だしでキャラメルポップコーン吹いてたでしょ?」とニヤリです。

2種盛りを買ったのになぜわかるんだい?映画見ろよ。そういや落とした後、口角舐めたら甘かったような気はします。

明らかに劇場向きのミュージカルです。映画でやるもんじゃない。

一緒に観にお行った方には、「これが好きじゃないんだったら、ミュージカルも本当は好きじゃないじゃない?」なんて言われてしまいましたが、ジャンルとしては好きでも、作品としては好きじゃないもんは好きじゃないんです。

さて、その感想を今回はVODで再確認したわけですが、感想はほんの少しだけ良くなったかな。ミュージカル映画ではなく、恋愛映画として見れば、ヒロインのミアの自己中っぷりが笑えました。女って恐いですね(笑)


■この映画、エンドロール長すぎじゃない?

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:127/333|評価:BAD

まず、序盤のヒロインがオーディション受けてるいるシーンの「誰だお前?」感が異常でした。って、エマ・ストーンだったのかよ。マジですか?『ゾンビランド』や『ラブ・アゲイン』の時と全然顔違くない?

いやいや、メイクって凄いんですね。完全に誰か分からなかったし、オーディションに落ち続けて、くたびれた感じが良く出ていました。正直その顔と表情で女優目指すなよと思ったほど。

それがセブとの出会いによって徐々に可愛らしくなっていくってところはだけは良かったけど、それ以外は何の目新しさもない、ごく普通の恋愛ミュージカル映画という印象です。

ちなみに、例に挙げた『ラブ・アゲイン』にはセブ役のライアン・ゴズリングも出演しています。なお、私個人としては同じ恋愛モノなら『ラブアゲ』の方が断然面白かった。

使ってないの『イン』だけだし、こういう略し方をするのかどうかは知らないですけど……

ただ、無理くり話を繋げれば、本作『ラ・ラ・ランド』も、もう少し上映時間を略してくれれば良かったのにとは思います。全部で2時間ちょっとだけど、思いのほかダラっとした恋バナなので体感で3時間ぐらいに感じました。もうちょいギュッと出来たでしょ。この話。

そして、何よりもエンドロールが長すぎ。この後にオマケシーンでもあるのかと思って、関係者の名前と会社名を最後まで真剣に眺め続けちゃったよ。

あと、最後にこれだけは言わせて、作品タイトルは『ラ・ラ・ラ・ランド』だとずっと思ってた。でも本編を見て納得。この映画に『ラ』4つは多すぎるね。全体的にそんなに「ララララ~」って雰囲気の作品じゃないですもん。


■二人のダンスシーンのぎこちなさはワザとなの?

山守 秀久
山守 秀久
アクション担当
ポイント:156/333|評価:BAD

私がミュージカル映画にそこまで苦手意識を持たない理由は一つだけです。それは大抵カッコいいダンスが入っているから……話はダメダメでも、ただそれだけで、だいたいの作品は見られてしまいます。

そして、この『ラ・ラ・ランド』にも、その私が好きなダンスパートが入っているんですが、これがどうにもこうにも悩ましい踊り方でして、特に主人公とヒロインが初めて一緒に躍る場面は、作中の数々の見せ場の中でも指折りの、どう評価を下していいのかがサッパリな場面となっています。

わざとぎこちなく踊っているのか、純粋に俳優がダンスが苦手なのか、それが全くわからない。作中では非常に重要なシーンなので、何か意図はあるとは思うんですが、女優を目指す女とジャズピアニストの恋物語で、あのリズム感はないでしょう。

なので、いくら有名な評論家に「まだ関係に壁のある二人のぎこちなさをダンスで表現している」と言われても納得できないんです。

いや、話の筋の方も結構ひどかったのですが、唯一楽しみにしていた部分をこうされてしまうと、一層観賞後の落ち込みが増します。芸術性は高いんでしょうが、それを理解できない私のような人間にとっては、かなりきつめのミュージカルでした。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

このラストじゃ恋愛を四季に当てはめる意味なくない?

橘 律
橘 律
メインレビュアー
ミュージカル担当/最低評価

物語としては、尻上がりに良くなっていったかと思いきや、富士山の八合目ぐらいでストンと奈落の底に落ちちゃった系の作品ですね。ラスト20分ぐらい(その内、エンドロールが4割近くを占めます)は普段温厚な私も流石にガン切れでした。

たびたび残りの再生時間を確認してしまうほどに退屈な『プロローグの冬』と『春』を乗り越え、ようやく何かしらの転機となるであろう『夏』と『秋』が訪れてくれたと思ったら、マイナスがゼロになっただけの話でした。そして、そこから突如として始まるツッコミどころが雨あられの『エピローグの冬』……

季節ごとにそれぞれ文句をつけたいことは山ほどありますが、この『エピローグの冬』がとてもとても酷いんです。もう私のイメージとしては完全に他の季節を四天王に従えている将軍です。これが本当の冬将軍です。

もちろん、私も大人ですので、「なんで『エピローグの冬』だけ5年後なんだよ。そこは揃えとこうよ。わざわざ題字まで映像に出して四季で区切った意味ないじゃん!」なんて野暮なことは申しません。

ただ、『5年後の冬』でのミアが、どうしようもなくお馬鹿なクセにゲス過ぎまして……

まぁ正確に言えば、お馬鹿が過ぎるのは『春』ぐらいからすでに始まってはいるんですが、『5年後の冬』に入るまではそのお馬鹿にもお馬鹿なりの可愛気がありました。まだギリギリで許せるラインだったんです。

とりわけ記憶に残っているお馬鹿エピソードは、ラストチャンスのオーディションを受けに行ったミアが、審査員から「どんな話でもいいから語り部になって語ってみて」とお題を出されるシーンです。四季的には『エピローグの冬』に入る直前になります。

このシーンでこの人は、何を思ったか、自分の心情を投影したかのように叔母についての歌を全力で歌い出します。

いやいや、ミュージカルなのはわかるけど、語れよ。語り部なんだから……向こうさんも語って下さいつってんじゃん……とその時私が思ったのは言うまでもありません。

しかしながら、ミアのお馬鹿さん加減に引いちゃってる感じの審査員の後ろ姿が笑えたので、許します。それどころか、もうこのシーンが『エピローグの冬』の始まりで、オーディション後に二人が語らうシーンで物語を結んでくれれば、どんなに良かったことかと……全てを見終えた今となっては、この頃のミアに懐かしささえ覚えます。

この時、二人が語らっているシーンの景色は、『エピローグの冬』よりよっぽど『冬』でしたしね。

そしてそして、あぁいよいよ迎えてしまう『エピローグの冬』。

時は五年後……しゃなりしゃなりと、コーヒーショップにドヤ顔で現れるミア。さらに、その後に映し出される衝撃の現状ともしもセブと生涯を共にしたならの超自己中な妄想。

一体なんだったんだこの時間は……

別に恋愛映画としてのオチについてはどうでもいいんです。

このオチをいい話でしたみたいな感じで、最後にミアがまとめているのがただただムカつくんです。しかも自分だけに都合の良い感じにまとめやがるんですよ。

唐突に付き合い始め、唐突に愛を深め、唐突に距離をおき、唐突に現れたセブのおかげでチャンスが訪れ、唐突に夢が叶い、唐突にセブへの愛と恩義を忘れ、唐突にそれを思い出す……

マジでこういう話です。

って、なーんだ!唐突感だけで評価すれば、私が好きなミュージカルのスタンダードそのまんまの名作じゃん!!

すみません。ついヤケクソになってしまいました。これでも二度目の視聴でミアへの苛立ちを自分の中でエンターテイメント化出来たことで、評価が上がってはいるんですよ。

なお、本作は世間的には名作扱いとなっておりますので、本レビューは私の主観であることを予めご了承ください。その点に関しましては、視聴してみる、やっぱやめとくの判断の際に一考の価値があるかと思われます。

アカデミー賞取りまくってます。確か6つぐらい。個人的には本作品の受賞については概ね納得いっていませんが、ミア役のエマ・ストーンの主演女優賞受賞だけは文句なしです。あのナチュラルなゲスさ加減は、確かに並みの女優には出来ない演技でした。ただ、それ以外に関してはハテナマークを浮かべざるを得ない作品ではございます。

さてさて、それではこの映画に倣って最後に唐突な一言を。

『ラ・ラ・ランド』のミア役のエマ・ストーンと『マンマ・ミーア』のソフィ役のアマンダ・サイフリッドは顔が似てる時がある。

はい、以上、私、橘によるメインレビューでした。

本作の名台詞

好きな曲を好きな時に好きな方法でやる

出典:ラ・ラ・ランド/VOD版

役名:セバスチャン(セブ)・ワイルダー
演:ライアン・ゴズリング