洋画『ANNIE/アニー』/知る人ぞ知るあのミュージカルをカツラでアレンジ

スコア:476/999

annie出典:ソニー・ピクチャーズ
『ANNIE/アニー』


【あらすじ】

少女アニーは他の孤児達と共に、元歌手のハニガンの元で暮らしていた。ところがひょんな事から市長選立候補者のスタックスと知り合うことになる。彼は市長選を有利に進めるため、アニーと共に暮らし始めるが……


【作品情報】

公開:2014年12月19日(アメリカ)|2015年1月24日(日本)/上映時間:118分/ジャンル:ミュージカル/サブジャンル:ヒューマンドラマ/映倫区分:全年齢/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督) ウィル・グラック/(脚本)ウィル・グラック,アライン・ブロッシュ・マッケンナ/(音楽) グレッグ・クスティン


【キャスト】

クヮヴェンジャネ・ウォレス/ジェイミー・フォックス/ローズ・バーン/キャメロン・ディアス


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ポイントレビュー


■アニーに飽きてきた私でも見る気にはなれました

橘 律
橘 律
ミュージカル担当
ポイント:180/333|評価:GOOD

劇中歌はまずまずの出来だったのではないですかねぇ。あの名曲ももちろん入っています。ストーリーも現代アレンジをしてくれているので、アニーは見すぎてもう飽きたよって感じの私にとっては助かる部分はありました。ただ見てみようとは思えたってだけの話ですが……

スタンダードアニーなら「見るの明日でいいや、明日でいいや、そう明日があるよ」って心の中で歌っていたと思います。また、アニーを全く知らない人にとっては、面白いって言えるだけの素材は揃っている映画ですので、試しに見てみても良いのですかねぇ。

なんの変哲もない普通のミュージカルです。子供にも安心して見せられるという点は、世のお母さま方にとっては好印象だと思います。私もオーディション受けたいとかお子さんが言い出したら困るかもですが……


■途中で中座しても話の筋が透けて見える分かりやすさ

アクセル神田
アクセル神田
ドラマ担当
ポイント:166/333|評価:BAD

久しぶりにアニーでも見るか?ってテンションの時には向いているのではないでしょうか?(どんなテンション?)

多少話は変わっているもののベースは全く同じなので、流し見るにはちょうど良いです。ほぼほぼのストーリーは分かっているから、一時停止ボタンを押さずにトイレに行っても問題ありません。大きいサイズのヤツの時でも何とかなるでしょう。

しかし、ミュージカル映画の唐突に歌いはじめる感じはいつまで経っても慣れないもんです。特に悲し気なシーンで歌い出す時は、「お前、結構元気じゃん」と毎回思います。


■現代アレンジが中途半端で残念

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:130/333|評価:BAD

アニーの設定を現代風にアレンジして、ついでにメインキャラクターの人種も変えてみました的なお話。主役の二人を黒人にするなら、彼女と同居している孤児達も黒人の比率も同時に上げた方が良かったんじゃないでしょうかね?現代の貧富の差から見ても、その方がリアリティがありますし。

と、世界的に有名なミュージカル作品を微妙にいじっただけの映画なので、特別な驚きは何もなく、現代版のアニーとしてストーリーは進んでいきます。

それでもアニーはアニーなのでつまらなくはありませんが、酔っ払いから毎回細部が脚色された同じ話を聞かされている時のような気分にはなってしまうかも知れません。そんなお話です。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

可もなく不可もなく結局はいつもの『アニー』

近道 通
近道 通
メインレビュアー
オールジャンル担当/最低評価

自分が最低点となるのは予想していたけど、トータルスコアが500未満になるとは思いませんでした。

そこまで悪くないですよ。私自身は高く評価はしていませんが、中の中の下ぐらいのランクにはあると作品です。長年愛され続けているミュージカルなだけあって、消しゴム借りる時は、この子が言いやすいぐらいの親しみやすさはありました。

改変は髪の毛に関することだけ?

ただ、スタックスのカツラの設定はいりませんでしたね。別にそのまんまでカッコいいじゃないんですか?黒人男性は全剃りが良く似合うわけだし。

これまでのアニーとの違いを出すために、本物アニーのウォーバーグ(本作ではスタックスにあたる)のスキンヘッドのイメージを変えたかったのと、なにかコミカルな演出を入れてみたかったんだろうけど、そういうのが必要な話じゃないでしょうよ。

『王様と私』をアレンジしたいからって、王にカツラかぶさせるみたいなもんでしょ?

ユル・ブリンナーがせっかくスキンヘッドのファッション性を定着させてくれたのに、何てことをしてくれるんですか。

本作のクヮヴェンジャネ・ウォレスは自毛っぽかったですが、どちらかと言えば、劇場版『アニー』でカツラを被るのはアニーを演じる子役の役目ですからね。ドンキからパーティーグッズのラインナップの一つを奪うような真似をしてはいけません。

……などと髪の問題ばかりやけに気にしていますが、それ以外は特に気になったシーンも悪かったシーンもなく、取り分け良かったシーンもなかったって感想です。

嫌でも明日は来るんだから、大胆に行きましょうよ

強いて良かった点を挙げるなら、日本でも海外でも有名子役への最短チケットと呼ばれているこの『アニー』ですが、今回のアニー役の子役(クヮヴェンジャネ・ウォレス)は、もうすでに最年少でアカデミー賞にノミネートされているような名優なので、アニーの大逆転人生と子役の状況が被ってるっていう、いつものお決まりパターンとは違ってたってことぐらいですかね。

舞台裏のお話なので、この部分は評価とは関係させちゃいけないのかもしれないけど、この映画の中で、一番の新しい試みは実はこんなことだったりするんじゃないかな?

それぐらい、取り立てて変わった『アニー』ではありませんでした。

あと、これを言ってしまうと元も子もなくなってしまうんですが、私はそもそも『アニー』自体がそんなに好きなお話ではないので、それもこの評価に関連していることを付け加えておきます。

捻くれた人間なので、アニーの性格がどうも好きになれないんですよね。なんだかわざとらしい明るさと可愛いらしさを出してる気がして。同じ赤髪でそばかすの女の子なら私はウェンディーズのロゴの女の子の方が好きです。

あ、そういえば、今回のアニーにはそばかすがありませんでしたね。そこらへんもカツラの工夫と同じような意味が含まれているんでしょうか?

いずれにしても、地味な改変です。作中でもアニーが言っているように、失敗しても明日があるんですから、どうせやるならもっと大胆にやって欲しかったですね。

本作の名台詞

明日がある 明日がある 大好きな明日 あなたは待つのはいつも一日だけ

役名:アニー・ベネット
演:クヮヴェンジャネ・ウォレス