邦画『リング』/今は最早人気萌えキャラ?映画初出演時にはこんなにも怖ろしかった貞子さん

スコア:637/999

リング出典: 東宝
『リング』


【あらすじ】

見ると1週間後に死ぬと言われる『呪いのビデオ』を見た学生達が同じ日に不審な死を遂げた。かねてからその噂を追っていたディレクターの浅川玲子は、姪が彼の内の一人であることを知り、更なる調査に乗り出す。


【作品情報】

公開:1998年1月31日(日本)/上映時間:95分/ジャンル:ホラー/サブジャンル:ジャパニーズホラー,オカルトホラー/映倫区分:NR/製作国:日本/言語:日本語


【スタッフ】

(監督)中田秀夫/(脚本)高橋洋/(音楽)川井憲次/(主題歌) HIIH『feels like HEAVEN』/(原作) 鈴木光司『リング』


【キャスト】

松嶋菜々子/真田広之/中谷美紀/竹内結子/佐藤仁美/松重豊


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見放題配信

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※情報は【2022年11月6日】現在のものです。上記のボタンをクリックすると各VODの作品ページにジャンプすることが出来ます。詳しくはこちらのページをご確認ください。

ポイントレビュー


■世界に誇れるジャパニーズホラー

試文 書人
試文 書人
ホラー担当
ポイント:239/333|評価:GOOD

感想を語るまでもなさそうなジャパニーズホラー界の伝説的な作品。当時20代であった松嶋菜々子の美人度はある意味恐怖である。今も大層お綺麗だがね。

とはいえ、実は俺自身は本作よりも、高橋克典主演のTVドラマスペシャル版の方が好きだったりもする。本作中の『呪いのビデオ』の入手し易さに比べると、こちらは大いに手に入れるのが難しいのが何とも皮肉な話。残念なことにこちらのビデオはDVD化がされていないため、見たい方は中古VHSを買うぐらいしか選択肢がない状況だ。

本作映画版もホラー映画としてはA級の作品ではあるのだが、どうしても話の衝撃度では『リング』として初見であったTV版に負けてしまっている。ただ、シンプルかつ日本のスタンダードなホラーを求めるならこれ以上ないお話であることは間違いない。


■きっと来るものがある(というか、実際来る)

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:207/333|評価:GOOD

日本の呪いの象徴と言っても過言ではないあの『貞子』のキャラクターの性を決定付けた作品。本作を見たことがない若い世代でも『貞子』のことはきっと知っている。そして、ホラー作品としては主題歌の『feels like HEAVEN』ばりに「きっと来る」ものがあるだろう。

因みに未見の方のために申し上げておくが、本作はお化け屋敷的なビックリホラーではない。むしろそうしたシーンは少なく、何か不気味だよね、というお話。かの有名なテレビからぬり出て来るシーンの影響でそっちの怖さを期待して見ると少し拍子抜けしてしまうかも。


■貞子も怖いが真田広之がイケメン過ぎて怖い

猿渡 りん子
猿渡 りん子
ホラー苦手代表
ポイント:191/333|評価:GOOD

何気に見た事がある映画。本作をきっかけにホラー映画が苦手になったわけでは全くないですが、とても苦手な部類です。そもそも酢豚が嫌いなのに、さらにパイナップルが入ってるみたいな嫌さがあります。

夜にトイレに行けなくなる感じです。子供の頃、貞子が便器から出て来そうで、お母さんに着いて来て貰った記憶が今も残っています。

ただ、どちらかと言えばもう一人の主役である真田広之のうっとりするようなミドルイケメンぶりの方が、後々の私の人生を狂わせたかもしれません。あの人はなんであんなに格好いいんでしょう。男の人は歳を取れば、全員ああいった顔の人になると信じていた私はきっとどうかしていたんだと思います。

結婚したらその呪いはあっさり解けましたが、真田広之が助けに来てくれるなら、『呪いのビデオ』を見ちゃってもいいかなぁ……私にとって、もっとも素敵な一週間になる気がしてなりません。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

まさか……貞子ってレンタルビデオの延滞料金への注意喚起?

試文 書人
試文 書人
メインレビュアー
ホラー担当/最高評価

名作であることは周知の事実ではあり、私自身も面白いと言い切れる作品ではあるのだが、ハッキリとした感想がありそうで意外と具体的なものは出て来ない作品。それはおそらく『貞子』の人物像をドラマスペシャル版ほどには描き切れていないからだろう。

本作はテレビ画面から這い出して来る『貞子』というセンセーショナルな映像を上映することで、観客の期待に十分に答えている。しかしながらキャラ設定の細部が微妙に甘いのだ。

基本的に本作は謎解きホラーであり、『呪いのビデオ』を見ると1週間後ピッタリに死んでしまう以外には、分かりやすいホラー要素は少ない。ホラージャンルで言えば、オカルトホラーの王道を行っている作品だ。オカルトホラーでは、恐怖となる対象に物語性がもっとも重要視される。

理不尽な目に遭って自殺したであるとか、無理心中で殺されたであるとか、その類であれば何でも構わないのであるが、それ故にその部分がしっかりしていないと何が怖いのかさっぱり分からない作品になってしまう。

本作の大枠の骨組みは、結末に向けての過程が非常に凝っている作品であり、そうした点ではオカルトホラーとして優秀な映画ではある。

ただ、基本的にお話全体が呪いを解くための謎解きパートに終始されているのにも関わらず、原作小説やテレビ版を見ていないと貞子の怨念の根底にあるものがやや分かりにくい荒さがあり、若干のもったいなさが残る。

この感想はあくまでテレビ版を見た人間の感想であり、本作が初見の観客にとってはいちゃもんを付けているだけとも捉えられ兼ねられないが、もっと怖く出来たのではないか?と個人的には思う次第だ。

とはいえ、話のオチが全てと言ってしまえそうなホラー作品の大筋を変えずに、ここまで見させる出来に仕上げたのは凄いの一言。テレビから貞子が出でたる例の場面もホラーなギャグセンスバッチリだ。

しかし、こんなふざけた話は別として、改めて本作の結末を考察し直すと、「ダビングをして誰かに見せると呪いが解ける」というルールは一体何処まで厳密に適用されるのだろうか?という疑問は残る。

本作は、主人公がその解に気が付いた後に呪いがかかった息子のために、ダビングしたビデオを父親に見せに向かうシーンで幕を閉じるわけだが、ダビングをするのは息子でなくてはならないためにビデオデッキも共に持っていく。これって小学校低学年ぐらいのあの息子には相当ハードルが高くないだろうか?

公開当時のビデオ(VHS)からビデオへのダビング手順は、かなりややこしかった気がするが、主人公が息子のためにあれこれとダビングの準備をしても、果たして貞子は「息子がダビングした」と認めてくれるのだろうか?

怨念を永遠に残すために、当時の最新機器(ビデオ)を使ってまで呪いの感染拡大を図った女である。性格的にはかなり細かくねちっこい人間だったはずだ。自分の不幸とは一切無関係であった主人公に遺体を抱きしめて貰っても、全く意に介さなかった程のヤツなのだから。

物語上では、おそらく最終的に息子がダビング開始のボタンを押して、「おじいちゃんこのビデオを見て」と誘えさえすればOKという結論なのだろうが、これだとダビングしようという意識をせずに、(それとは知らずにダビングの)ボタンだけを押すだけで呪いを解くことが出来てしまう。

貞子の真の目的が「呪いの感染拡大」にあったという解釈であれば、一応辻褄が合うような気はするが、この辺の不明瞭な感じが何だかモヤモヤする。もの凄い恨めし屋さんな貞子にしては少々適当過ぎやしないだろうか?

また、ビデオを全く見ていない人間に「これ、ダビングしといて」と頼んでダビングして貰った場合はどうなるのだろう?

この場合、ダビングの実行は『ビデオを見ていない人間』の行為だが、ダビングをしようと意識していたのは『見てしまった人間』だ。やっぱり実際にダビングボタンを押さなければ許されないのだろうか?それともダイビングしようと思ったのは見てしまった人間だから、意識高い系として貞子に認められてセーフ?

他にもこの『呪いのビデオ』に関するルールには疑問が尽きない。見ると見た時間の一週間後に死ぬというのもそうだ。本作の裏設定には『レンタルビデオ店の大人の事情』も絡んでいるのだろうか?

呪いのビデオ
「見ると一週間後に死ぬよん」
レンタルビデオ
「一週間以内にビデオ返さないと延滞料金で死ねるよ」
呪いのビデオ
「ダビングすると呪いが広まるよ」
レンタルビデオ
「ダビングすると(金にならないから)お店の呪いが広まるよ」

……いや、流石にこれはこじ付けか。旧作は大体7泊8日だしね。でも、映画のワンシーンにペンションホテルがレンタルしてる懐かしいビデオ棚が出て来るから、多少はね。意識してるんじゃないかね。ラインナップにあった「ゴールデンチャイルド」とか、懐かし過ぎてこういう小ネタが軽く死ねましたわ。

あ、念のために言っておくけど、本作に登場する『呪いのビデオ』はフリーコンテンツだけど、VOD版の作品をダビングすんのはダメだかんね。レンタルビデオももちろんダメ。ちゃんと払って見みよう。でも、初見時はまだ幼かったので、恐怖のあまりに本作のビデオレンタル版そのものをダビングしなきゃという使命感に駆られたことは内緒だぜ。

本作の名台詞

こんなことして助かるかどうか……

出典:リング/VOD版

役名:浅川玲子
演:松嶋菜々子