洋画『ゲット・アウト』/裏テーマあり、ブラックジョークなサスペンスホラーコメディ

スコア:741/999

ゲット・アウト出典:東宝東和
『ゲット・アウト』


【あらすじ】

写真家の黒人男性クリスは、白人女性の恋人ローズの実家に初めて遊びに行くとこになった。彼女の実家では黒人の男女が働いており、仕事は楽しいと言う。だが、彼らが浮かべる奇妙な笑みにクリスは不審感を抱く。


【作品情報】

公開:2017年2月24日(アメリカ)|2017年10月27日(日本)/上映時間:103分/ジャンル:ホラー/サブジャンル:ブラックコメディ/映倫区分:全年齢/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督・脚本)ジョーダン・ピール/(音楽)マイケル・エイブルズ


【キャスト】

ダニエル・カルーヤ/ザイランド・アダムス/アリソン・ウィリアムズ/キャサリン・キーナー/ブラッドリー・ウィットフォード/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/リル・レル・ハウリー/キース・スタンフィールド/マーカス・ヘンダーソン/ハドソン – スティーヴン・ルート/ラザフォード・クレイブンス/ベティ・ガブリエル


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※情報は【2020年05月23日】現在のものです。上記のボタンから本作品の再生ページに直接ジャンプ出来ます。各VODを選択してご利用ください。詳しくはこちらのページでご確認いただけます。

ポイントレビュー


■風刺が効いてる2018年アカデミー脚本賞受賞作品

試分 書人
試文 書人
ホラー担当
ポイント:250/333|評価:GOOD

アメリカのコメディアンが初めて監督、脚本を務めたホラー映画ということで、公開当時話題になった作品。そしていきなりアカデミー脚本賞を受賞しちゃった。俺的にも受賞については文句なし。コメディとホラーは近しいジャンルであることを証明するかのような映画になってる。ちゃんと怖い。コメディ的な部分はそれこそブラックジョークなので、全然笑えはしないが風刺が効いてる感じ。精神にくるタイプのホラー映画ですな。


■使用人役の女優さんにも何かあげて欲しい

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:266/333|評価:GOOD

使用人のジョージナを演じたベティ・ガブリエルにも何か賞をあげて欲しかった。たぶん、私がこれまで見て来たホラー映画の出演女優の中で、もっとも気味の悪い笑みを浮かべた黒人女性だと思う。「良くこんな女優見つけて来たな」と観賞中にホラーシーンの描写力もさることながら、そのキャスティグ力にも恐れ入った次第です。ホラー映画としてはかなり日本人向けの怖さなので、アメリカンホラーが苦手な人に向いてるんじゃないかな。


■普通のホラー映画として見ちゃうと怖くないかも

猿渡 りん子
猿渡 りん子
ホラー苦手代表
ポイント:225/333|評価:GOOD

深いです。純文学的なホラー映画とでもいいましょうか、つい考察したくなってしまうようなお話でした。結局しませんでしたが(笑)。ただ、普通のホラーとして見ると、怖さが弱い感じはありましたね。基本ホラーがNGな私が恐怖心を抱く様な場面が少なかったというのはそういうことなんでしょう。映画としては面白かったんですけど、ホラーとしてはどうなのかな。そっち方面にはあまり期待を込めない方が良さげな作品だと思います。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

そうだよね、ホラー映画より人種差別のが怖いよね

近道 通
近道 通
メインレビュアー
オールジャンル担当/最高評価

当初の草案ではラストは違うものになる予定だったそうですね。そのバージョンでの撮影もされていて映像も残っています。ブルーレイの特典映像で見ることが出来るみたいなので、興味のある方は是非どうぞ。

さて本作の感想と考察ですが、つまりは人種差別に対する改めての問題提起なんですよね。「まだ一部の白人達の根の深いところに残ってるよね?……差別意識。ねぇ、気付かない振りしてるけど、実はわかってるよね?」ってことなんです。

だから「黒人のフィジカルに憧れてるくせに、中身のとこは蔑んでんだろ?」ってシーンがあったり、古の奴隷売買を現代風に小綺麗にしたような肉体販売シーンがある。

アメリカの人種差別のような根の深い問題って、完全には解決できないものですからね。「黒人として言いたいことを、ホラー映画という分かりやすいジャンルで包んで伝えてみました」ということなのでしょう。

アメリカの白人に対してかなり痛いところをついていると思います。間接的ではありますが、非常に知的なアプローチです。

ただ、日本人の人種に対する意識とアメリカ人の人種に対する意識って相当質が違うので、日本人の視聴者はそこに気が付かない可能性はあるかもしれません。

一握りの日本人を除けば、普段から人種を意識して生活するという習慣が我々にはありませんから。元々の在住人数が少ないというのもあるのでしょうが、白人も黒人もひとまとめに外国人という認識でしかありません。その代わりに国籍を気にするって感じでしょうかね。「どこの国から来た人だろう?」って。

ただ、それでも、一般的な日本人はアメリカの人種問題ほどまでには意識して行動をしません。絶対数が少ないとはいえ、中国人?韓国人?フランス人?アメリカ人?なんて毎回確認していたら、キリがないですから。昨今のコンビニなんて行列が出来ちゃいます。

何かのきっかけで結果的に国籍がわかって、個々に思うことはあるんでしょうが、それは原則ふわっとした感情の一面でしかない。行動原理には直接結び付かないんです。

なので、若干核心となる部分が日本人には伝わりにくい部分があります。「え?ホラー映画にしては、だいぶ退屈じゃない?」って感想が出ても全く不思議ではありません。我々日本人の感覚だと低評価も十分にあり得ると思います。

事前事後に本作について調べずに、メインテーマを直感的に気が付くことが出来るのは、相当映画を見慣れている人か、人種問題に対する意識が高い人ぐらいなんじゃないかと思えるほどです。

私は事前に本作について軽めに検索をかけてから見てしまったクチなので、さらの状態で見た時の感覚を味わうことは不可能なんですが、事前に知識がある状態でも、時折ごく普通の日本人ウケしそうなアメリカンホラーを見ているような、気分に戻ってしまうところがありました。

これさえも狙ってやっているんだとしたら、恐るべき作品ですが、日本人には伝わりにくいメッセージではあるかもよ、というのは作品の評価として付け加えておきたます。

心の奥底では評価が割れる作品です。白紙の状態で10人で同時に本作を見たら、10人が別々の感想を抱くと思います。

単に「怖かった」って感想を抱く人もいるだろうし、それに対して、「お前、この映画の本当の怖さわかってる?」ってそれに上から目線でツッコむ人もいるだろうし、「主人公が可哀そうだった」って言う人もいると思います。

共通して出て来そうな感想としては、使用人のジョージナが怖かったってことぐらいでしょうか?

このような十人十色の感想が出る作品には高い評価をしたいと私は考えている人間なので、高ポイントを付けさせて頂きましたが、ネット等で散見される「全然名作じゃなくね?」という意見も十分に理解出来ます。

肌の色もそうですが、映画の感想だって人間って皆違うんですよね。それでいいんです。

そこの部分に気が付かせてくれたという面では、本作には背筋が正される思いでした。

どんな感想に対しても平等な姿勢というのは、レビュアーとして意識していきたいものですね。

本作の名台詞

時代は黒だよ

出典:ゲット・アウト/VOD版

役名:パーティに出席した白人男性
演:ラザフォード・クレイブンス