洋画『50/50 フィフティ・フィフティ』/人生も、生きるも死ぬも人生も全ては2択の確率50%

スコア:782/999

50/50 フィフティ・フィフティ出典:アスミック・エース
『50/50 フィフティ・フィフティ』


【あらすじ】

27歳のアダムは生存率50%の癌である事が発覚し、親しい人達にそのことを打ち明けたものの、反応は様々だった。やがて病状は悪化。心までも病んでいくが、心理士の女性との出会いで生きる事に前向きになり始める。


【作品情報】

公開:2011年9月30日(アメリカ)2011年12月1日(日本)/上映時間:98分/ジャンル:ドラマ/サブジャンル:ヒューマンドラマ/映倫区分:PG12/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督) ジョナサン・レヴィン/(脚本) ウィル・ライザー/(音楽) マイケル・ジアッキーノ


【キャスト】

ジョゼフ・ゴードン=レヴィット/セス・ローゲン/アナ・ケンドリック/ブライス・ダラス・ハワード


スポンサーリンク

見放題配信

U-NEXT

※情報は【2022年11月2日】現在のものです。上記のボタンをクリックすると各VODの作品ページにジャンプすることが出来ます。詳しくはこちらのページをご確認ください。

レビューポイント


■死をテーマにしている割には暗くない作品

アクセル神田
アクセル神田
ドラマ担当
ポイント:247/333|評価:GOOD

人間ドラマを描く際に、『死』という題材を扱う際にはそれだけの責任が伴うと私は思っていて、本作も鑑賞前は「生死の間にいる人間を使って泣かせようって魂胆の映画かぁ」と思っていました。

でも、全く違います。そんな薄い映画じゃありません。

「50%の確率で死ぬかもしれない」っていうのは、彼が人生を見つめ直すための一つのきっかけに過ぎなくて、それ自体も重大なことではあるんだけど、それよりも重大なのは周囲の人間と自分との関係性の話なんですよね。

「真の友人は自分がピンチに陥った時にわかる」なんて話を誰かから聞かされたことが昔ありましたが、まさにそれがテーマみたいな作品です。

しかも描き方がライト(軽いって意味じゃなく)で『死の話』にしては暗くない。そこも良かったですね。

恋愛パートももちろん重要で、素敵なストーリーに華を添えていたんですが、それよりも彼と友人とのやり取り方の方が、私の目には本作品の描きたかった本線のように映りました。


■主人公のアダムが精神的にタフガイ過ぎる

橘 律
橘 律
ラブストーリー担当
ポイント:308/333|評価:GOOD

題名こそ、『50/50 フィフティ・フィフティ』ですが、50%でも30%でも10%でも1%でも、近いうちに死ぬかもしれないって聞かされるのは怖いですよね。

具体的に数字に出されてしまうと、それがどんなに低い確率であっても、私なら日々の生活に恐怖心を抱いてしまうと思う。

たまった洗い物をしながら急に泣き出したりとか……

でも、この主人公は相当タフなんですよね。すぐに精神的に疲弊してしまってもおかしくないのに。後々さすがの彼も心が病みかけてくるんですが、それでも私からすると、強過ぎるレベル。

しかも自然なんですよ。ムリして振舞ってるわけじゃない。

それには、その際の恋模様もいくらか関係していたのだと思いますが、多分それがなくても彼は大丈夫なんじゃないかな?

こんなに強い人みたことないって、ちょっと惚れかけました。

実際付き合ったら冷たそうだけどね(笑)


■人間の生死は常にフィフティ・フィフティ?

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:227/333|評価:GOOD

題名を見ただけで、この映画で下らない話が展開されることはないだろうなと感じましたね。生存確率50%ってこれ以上ない設定の数字だと思う。

病気でない人間にしたって、死ぬか生きるかって常にフィフティ・フィフティ。事故で明日死ぬかもしれないし、人に刺されて明後日死ぬかもしれない。もしかしたら、1秒後に地震が起きて、それで死んでしまうかもしれない。

今、生きてるってだけで幸運だよねとまでは言わないけど、気付かない振りをしているだけで常に人間はフィフティ・フィフティで生きているんじゃないかな。

だれだっていつかは絶対に死ぬわけだし。

とはいえ、主人公のアダムは実際に医者からそう告知されているわけで、こんな気取ったような意見を聞いたら、おそらく鼻で笑い飛ばしてしまうんだろうなぁ……

ただ、この映画ではそういう、今、生きてる確率の奇跡みたいなものも同時に描いているような気がして、らしくないことを鑑賞後に妙に考え込んでしまった。

色んなことを考えさせられる映画っていうのはこういう作品のことを言うんでしょうね。きっと。

日本でも1992年にやってた『天才少年・ドギーサウザー』をさらっと台詞に引用するところとかも、何か懐かしいというより、「私も結構生きたんだなぁ」と感慨深いものがありました。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

私の独白みたいなレビューになっちゃった……

橘 律
橘 律
メインレビュアー
ラブストーリー担当/最高評価

既に視聴済みの方にはすぐにお分かりになると思うんですけど、この映画には放置した生ゴミみたいなタチの悪い女が出てくるんですよね。

あの子ですよ。病気が発覚した後にやらかしちゃったあの彼女さんですよ。

介護疲れの問題とかもあるし、支えてる側の人間も辛いのよってのは分かるけど、この子の場合は、ほとんど看病らしい看病も何もしてないからね。

しかもやらかしたことがひどい。

ただね。あそこまで突き抜けて、自分の気分や都合に合わせて正直に生きられるのって、逆に凄いとも思う。偽善的な部分がある自分には絶対出来ないことだから。

私だったら、もう別れようと思っている彼から『50%の確率で死ぬ』って言われたら、別れるのをやめちゃうと思う。

それは、彼が可愛そうだからじゃなくて、自分が嫌な女に思われたくないから……

けど、そうなってくると、もしかしたら、私の方が映画の中の彼女よりひどい女なのかもって思えてくる。

彼女が生ゴミなら私は産業廃棄物なのかも。

どっちが嫌な女かで言ったら、彼女と私はフィフティ・フィフティってとこですよね(これが言いたかっただけじゃないですよ)。ホント。

なんか映画全体のレビューじゃなくて、わたしの独白みたいになっちゃってますが、こういう風に、自分の生き方や性格と照らし合わせながら、映画の感想を考えていると、ちょっぴり憂鬱な気分になってしまうほど、私にとっては影響力があったお話だったんでしょうね。

自分の中ではレビューがやや辛口なのが売りだと勝手に思っているんですが、この作品にはどこかしらを取り上げても辛口になれないんですよね。

でもでも、一つだけ言えるのは、この映画を大好きな作品だといって、人には(私は)紹介しにくいってこと。

だって、「どいうところが良かったの?」って聞かれたら、困るから。

その質問に臆面もなくこうは答えられないでしょ。

「え、私と同じぐらい嫌な女が出てくるところだよ♪」

……うーん。とっても素晴らしいお話なのに、結局、ほとんど私自身の話のメインレビューになっちゃいそうなので、ここら辺で終わります。

あっ、普通の人は憂鬱になるような話じゃないですからね!変な話になってしまってごめんなさい。

本作の名台詞

お前の言葉には慰められるよ いい友達だ

出典:50/50 フィフティ・フィフティ/VOD版

役名:アダム
演:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット