スコア:608/999
出典: ワーナー・ブラザース
『ジーサンズ 初めての強盗』
【あらすじ】
厳しい生活を送る老人ジョーは、文句を言いに向かった銀行先で運悪く銀行強盗に巻き込まれてしまう。さらには元勤務先が合併により年金も消滅。ジョーは同じような状況の親友二人と手を組み、銀行を襲う決意をする。
【作品情報】
公開:2017年4月7日(アメリカ)|2017年6月24日(日本)/上映時間:96分/ジャンル:コメディ/サブジャンル:クライムコメディ/映倫区分:PG12/製作国:アメリカ/言語:英語
【スタッフ】
(監督)ザック・ブラフ/(脚本)セオドア・メルフィ/(音楽)ロブ・シモンセン/(原案)マーティン・ブレスト
『お達者コメディ/シルバー・ギャング』
【キャスト】
モーガン・フリーマン/マイケル・ケイン/アラン・アーキン/ジョン・オーティス/マット・ディロン/ジョーイ・キング/アン=マーグレット/クリストファー・ロイド/キーナン・トンプソン/シオバン・ファロン
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見放題配信
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ポイントレビュー
■強盗モノはコメディとやっぱり相性が良いと再認識
ポイント:210/333|評価:GOOD
いつも通り、のっけから断言するスタイルで言わせて貰うけど、コメディと強盗ってすっごく相性がいいんだよね。でも、例を挙げるとキリがないので、ここでは他作品を紹介するのは辞めておこう。マジで多すぎて面倒くさいんだ。
やっぱり、『笑える』とか『面白い』という感情には、緊張と緩和が必要不可欠ってことなんだろう。強盗はなかなか体験した方も少ないだろうから、身近な例で挙げるとお葬式とかも、笑っちゃいけない場所のはずなんだけど、その緊張感の中に、ちょっとした緩和があると、思わず笑っちゃったりするじゃない?
しかも今回は、それプラス緩和のプロ中のプロである老人達が強盗をやるってシュチュエーション。さらに安心と安全のモーガン・フリーマンブランド。
作中にお年寄り特有のジョークが程よく散りばめられていて、孫を中心とした家族シーンも程よくホッコリ用意されていてで、思わず、おじいちゃんに電話したくなってしまった。
いまだにオレオレ詐欺(取り込み詐欺)をしている連中は本作を観たまえ、怖いものなし状態になったお年寄りは強いぞ。
■どんな気分の時にでも見られる娯楽作
ポイント:183/333|評価:GOOD
お年寄りならではのアクションコメディときちんとやりつつ、胸がほんわりするようなヒューマンドラマ性もある作品です。
補足情報としては、本作には1979年に製作された『お達者コメディ シルバー・ギャング』という未公開作の原案があります。それがどのようにリメイク作として現代で公開されたかのエピソードがなかなか良かったので、お教えしたいのですが、ネタバレになってしまうので、気になる方は視聴後に調べてみて下さい。
老人強盗三人組に超名優をキャスティングしただけあって、飽きが来ない展開になっています。何となく先が読める方もいるかもしれませんが、私は読み切れませんでした。そして、読み切らなくて良かったです。
上映時間もコンパクトなので、是非最後まで観てみてください。どんな気分の時にでも見られる娯楽作になっているので、タイミングも選ばないと思います。
因みにお年寄り達の奮闘物として似た題材を扱っていそうな作品に2004年公開の『死に花』という邦画があります。
■現実にお年寄りがこういうことが起こしてもおかしくないかも?
ポイント:215/333|評価:GOOD
勉強になるほどのレベルではありませんが、アメリカの銀行の残酷さや年金問題を作中にさり気なく盛り込んでいるので、ひょっとしたら真面目にあり得るかもというリアリティを感じました。
こんな感想を持つのは私だけかもしれませんが、現実にこういうことが起きてもおかしくないですし、もしも自分が歳を取ってこのような状況に陥ったら、強盗計画を妄想することぐらいはするかもしれません。
仲良し強盗老人三人組が、もれなく自分の人生よりも周囲の人生を大事にしている人達なので、観ている間はずっと応援しっぱなしでしたね。私のようにヤケに感傷的な視点で観ない限りは、展開にダレるところが少ないので、サクッと映画エンタメとしてお楽しみ頂けると思います。
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
このタイプの強盗モノでは珍しい拘りが感じられる結末
メインレビュアー
ドラマ担当/最高評価日本では銀行強盗の検挙率が異常に優秀で、まず成功しない犯罪と言われています。検挙率は平成20年~29年の警察庁統計によれば76.9%~96.3%で推移しており、現在においては、この状況を受けてか、発生率も減少、さらに検挙率は上がっている模様です。
分かり易く言えば、この統計の時期でも(銀行強盗にとって)良い時で4回に1回、悪い時で20回に1回くらいしか成功しない、そしてその割には罪が重い相当割に合わない犯罪、それが銀行強盗です。
ただ、本作の舞台であるアメリカの場合は州にもよりますが、日本ほど検挙率は高くなくそこそこ成功する可能性のある犯罪という認識のようですが、平均の獲得金額は月給ぐらいと、ある意味こちらも割に合わない犯罪となっています。日本と違って平気で撃ってきますしね。
さて、こうしたお国柄的なこと踏まえた上で本作のメインレビューに入りたいと思いますが、本作に登場してきた銀行強盗のプロ(ジョー達の先生になる人物)というのは実在しているそうで、彼らの仕事ぶりは映画以上のものとのこと。
強盗講義中に発信機についた札束の話や、監視カメラの位置の確認なんて、基本中の基本で、銀行内部に協力者を作ったり、監視コンピューターにハッキングをかけたりなんてことも当たり前にします。
本作での3人の強盗シーンの強奪までの経過や、保険となるアリバイロジックはエンタメとして、なかなか見所がありましたが、実際のプロの仕事はもっと地味で狡猾であることは想像に難しくありません。
現実的な話ばかりをしてしまっているようですが、アメリカでは相当銀行が嫌われているのが現状で、銀行強盗団がヒーロー扱いされることも珍しくありません。銀行によっては、うまく口車に乗せて小口の顧客からお金を合法的に巻き上げるということで、公認の強盗扱いされているような銀行さえあります。
だからこそ、今回年金されも奪われたおじいちゃん達3人の意気込みというのはかなりリアリティがありました。善良で勤勉な人ほどこうした悪徳銀行には騙されやすいですし、年金を詰め立てていたハズの会社も、平気で年金を会社のために流用します。
こうした社会的にも金銭的にも追い込まれた状況の中で、お歳を召した老人達が一矢報いる方法は?と考えると、ジョーとその仲間達が復讐と実益を兼ねて起こした行動は、多少のムチャがあるものの、ドラマティックな整合性があるものだと私には感じられました。
これ、今は笑って見られるコメディですけど、年金破綻しそうな日本の今後を考えると、少し笑えないところがありますね。どうなってしまうんでしょう。
いやいや、少しばかりマジな方向に書き過ぎてしまいましたね。終盤がとても良い作品だったので、途中の出来の良いコメディシーンさえも印象が薄まってしまって、つい余計なことばかり書いてしまいました。
なかなか、この手の銀行強盗モノで、こういう終わり方をする話って少ないんじゃないでしょうかね?最終最後のアランに対して手紙を読むオマケシーンも、映画で笑うことの少ない私が、珍しく噴き出してしまいました。
本作の名台詞
大丈夫さ 最後はうまくいく
出典:ジーサンズ 初めての強盗/VOD版
役名:ジョー・ハーディング
演:マイケル・ケイン