アニメ映画『STAND BY ME』ドラえもん/世界に誇るドラえもんが日本の3Dアニメを救う!?

スコア:701/999

STAND BY ME ドラえもん出典: 東宝
『STAND BY ME ドラえもん』


【あらすじ】

いじめられっ子のび太は、ある日自分の子孫であるというセワシから、このままだと不幸な人生を送ることになると告げられ、ドラえもんというネコ型ロボットを授けられる。誰もが知る名作漫画の3DCGアニメ化作品。


【作品情報】

公開:2014年8月8日(日本)/上映時間:95分/ジャンル:アニメ映画/サブジャンル:3Dアニメ/映倫区分:全年齢/製作国:日本/言語:日本語


【スタッフ】

(監督)八木竜一,山崎貴/(脚本)山崎貴/(音楽)佐藤直紀/(主題歌)秦基博『ひまわりの約束』/(原作)藤子・F・不二雄


【キャスト】

水田わさび/大原めぐみ/妻夫木聡/かかずゆみ/木村昴/関智一/萩野志保子/三石琴乃/松本保典/田原アルノ/竹内都子/山崎バニラ/高木渉/松本さち


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ポイントレビュー


■総集編的なストーリーで映画としての評価は難しいけれど……

猿渡 りん子
猿渡 りん子
アニメ担当
ポイント:230/333|評価:GOOD

少女というかほぼ幼女の時代の心の癒しだった、あの『ドラえもん』が3Dアニメで帰ってきました。映画版もほとんど見ています。声優さんが一新された現代版も子供と一緒に見ています。愛する我が子は最近何を気取っているのか、嫌々見ている雰囲気を醸し出していますが、いざ見始めたら夢中です。今も変わらないあの雰囲気はとても心が穏やかになります。

ドラえもんののび太への甘さに時折苛立ちますが、アニメの世界ぐらい甘々でも良いでしょう。子供が調子に乗ったら、「ドラえもんのいない現実世界じゃこうはいかねぇんだぜ!」と、軽く釘を刺しておけば良いのです。実際は親である私の方がいまだにドラえもんが助けてくれないか待っているんですがね……

本作は旧どらえもん世代が見て来た超名エピソードを一つにまとめた総集編的要素が大きいので、映画としての評価が非常に難しいですね。昔の方が良かった派とか、これはこれで今の時代に合ってる派とか、色んな派閥が生まれそうな内容になっています。しかしながら、もし新旧どらえもん世代が一堂に会して視聴したとすれば、こんなに双方に配慮して均整の取れている作品なのではないでしょうか。

文句をつけたいところが全くないわけではないですが、明らかに良いとこ取りの総集編なのに、この総集編っぽくなさは評価したいところです。いや、でも少しだけ、ほんの少しだけ思い出補正でポイントを高くしちゃってるかな?テンポが良いのは構わないのですが、疾走レベルで展開が早い部分があったのでね。そこが気になる人はいらっしゃると思います。


■エピソードの一部が旧アニメ版のが良かったのは確か

橘 律
橘 律
ラブストーリー担当
ポイント:225/333|評価:GOOD

旧ドラえもんにはほぼ触れていない世代です。でも、この世界観は世代関係なく通用するものだと思うので、昔のをあんまり知らないからって、見ている時に上から目線で親にアレコレと言われた時は腹が立ってどら焼きを買って来させてやりました。売ってなかったみたいで、大判焼きが出てきましたが、まぁ許してあげましょう。

本作は予告編等ですでにかなりのネタバレをしているので、臆せずに申し上げたいと思います。

もっともストーリーの盛り上がりどころである、『のび太の結婚前夜』の描写に関しては、圧倒的にあとからこっそり探し出して見た、旧版の方が圧倒的に良かったです。映画という尺の関係上、致し方ない部分があるとはいえ、リメイク作品というハンデを念頭に置いたとしても、ここは完敗だったんじゃないですか?

昔のドラえもんなんてほとんど見てなかったのに、あちらは涙が出てきましたから、視聴したタイミング的に私自身が結婚前夜だったことも関係あるんでしょうけどね。

あの日は、そこそこ遠くに住む地元の友達の結婚式だったので、朝が早いのは分かっていたのにね~

目が腫れあがりが引きませんでしたよ。そして、私の結婚相手も見つかりませんでしたよ。おい……早く来いよドラえもん。

わたし個人の話はともかくとして、あまりドラえもんに思い入れが少ない方の方が見て良かったと感じられる作品かもしれません。新(2005年~)ドラえもんメインの私ですら、やっぱり何かが違うなって比べてしまいましたから……元祖、もしくは旧版好きの方は懐かしいって気持ちと違うなって気持ちが交錯してしまいそうなところはあるかもしれないです。

だけど、見ていてスッキリ出来る。これだけは確かなのでオススメ枠には入れておきたい一本ですね。


■これのタイトルは『STAND BY ME』付けなくても良かったのでは?

近道 通
近道 通
オールジャンル担当
ポイント:246/333|評価:GOOD

日本のアニメは、ピクサーやディズニーと比べると、どうしても3Dアニメ分野が弱いイメージでしたが、本作はなかなか戦えています。

本作に出て来るエピソードやサブストーリーに関しては、少年時代から何度も見たり読んだりしているオッサンですので、映像的な相性につい着目しがちになってしまいましたが、いやはや多少の違和感はあるものの、日本らしさを保ちながら、絶妙なバランスでマッチしているではありませんか。

これをあの『ドラえもん』でやる意味があったのかは不明ですが、日本の3Dアニメでは5本の指ぐらいに入るくらい良く出来ていると思います。あとの4本はすぐには思い浮かべませんが、これは素直にイチ観賞者として、褒め称えたいところです。

タイトルに『STAND BY ME』の文字を付けて許されるのって、ドラえもんぐらいのもんですよ。本音を言えば、もっとオリジナルのタイトルを付けて欲しいところはありましたが、きちんとタイトルと内容がリンクしている作品でしたので、ここは良しと致しましょう。

それにしても何で私はいつもこんな上から目線なんでしょうか……あのあくまでも個人の感想なのでね。どうかお許しを……


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

個人的には決して『ドラえもん』自体はそこまで大好きじゃない

近道 通
近道 通
メインレビュアー
オールジャンル担当/最高評価

お銀と静香ちゃんのお約束の入浴シーン……一体どちらを多く見たか?

のっけから変態そのものの書き出しになってしましましたが、本作の『ドラえもん』もしろ、『水戸黄門』にしろ、古き良き作品が雰囲気や演出を変えながらも、人々の心に生き続けているというのは嬉しいものですね(水戸黄門は10年ぐらい前に終わってしまいましたが、いつか復活するでしょう!)。

それぐらい日本人にとっては『ドラえもん』は代わりのいない存在です。しかも海外進出までしていますから、これは世界的なキャラクターと言っても過言ではないのではないでしょうか?

ただ、私はお話としては本作に限定せず、さほど『ドラえもん』って好きではないんです。漫画は面白いし、アニメを見るのはルーチンになっていたし、映画もジャイアンが急に人格が変わること以外は感動作も多い。

でも、それでも旧どらえもんの主題歌のように「とっても大好き」とは素直に言えないキャラクター、それが私にとってのドラえもんです。

ここでその理由を述べているとキリがないので、省略させて頂きますが、このさして大好きではないアニメキャラクターの映画でも、楽しんで見られたというのは、実は珍しいことだと思いませんか?

『ドラゴンボール』や『スラムダンク』や『名探偵コナン』その他様々な人気漫画がアニメ化されていますが、やっぱり大好きなキャラクターがいたからそれぞれ見ていましたし、冷静に観ると駄作な回でも無理矢理「面白かった」という感想をひり出すことが出来ました。

でも、本作には元々その要素がない。なのに「面白かった」という感想が出たのは作品として完成されているからなんだと思います。

本作は一見すると、ドラえもんに馴染みがある人が見れば、どう見ても総集編みたいなもので、最近のアニメでは流行りの傾向の公開体形なのですが、編集的なぶつ切りではなく、一つの作品として見られました。連続アニメ版でははぼぼ繋がっていないエピソードもうまく繋いで、観戦者の違和感を払拭させるのがとても上手です。

古くからのファンには厳選された名エピソードを、新たなファンには、『どらえもん』という作品の新たな一面を見せることに成功していると思います。

だからこそ、単なる焼き直しという感想は出ても、見て損した、つまらなかったという感想は少なかったのではないでしょうか?全てのレビューサイトを拝見したわけではないので、正確ではありませんが、概ね評判は良く、私自身もほぼ平均的な方と同じ感想です。

ただ、欲を言えば、「ドラえもんってこんなに感動出来るんだぜ!」というテンションはいらなかった。少年時代の私も、そして現代の少年少女達も感動したくて『ドラえもん』を見てきたわけではないと思うんです。

あんな未来の道具欲しいなとか、ドラえもんって可愛いなとか、ジャイ子もジャイ子でいい子じゃないかとか、どうして出木杉くんはあんなに完璧超人なのに、映画にあんまり出て来ないんだろうとか……(本作では推されてます)

そんなボヤっとした空気感の作品の中で、ふいに感動話が挿入されるからこそ、感動が強まるのであって、本来は観客を感動させるために描かれている作品ではないと思うんですよね。

そこのところが残念と言えば残念でした。ただ、他の部分に関しては老若男女ペットを問わずに一緒にリビングで観られるやさしい作品ですのでご安心を。主題歌も良いですよ。しっとりした気分になれます。

まったくもって大人向けなのか子供向けなのか良く分からない困った『ドラえもん』でございました。

本作の名台詞

実はこのままだと君は一生ろくな目に遭わないんだ

出典:STAND BY ME ドラえもん/VOD版

役名:セワシ
声:松本さち