洋画『ステップフォード・ワイフ』/夫婦にとっての理想郷?コネティカット州ステップフォードへようこそ!

スコア:621/999

ステップフォード・ワイフ出典: パラマウント映画
『ステップフォード・ワイフ』


【あらすじ】

敏腕TVプロデューサーのジョアンナは、過激なリアリティーショー番組が原因で起きた不祥事が元で仕事を追われ、精神的に参ってしまう。そんな妻を気遣う夫のウォルターは、コネティカットに引っ越す事を提案する。


【作品情報】

公開:2004年6月4日(アメリカ)|2005年2月5日(日本)/上映時間:93分/ジャンル:SF/サブジャンル:近未来SF,ブラックコメディ,社会派映画/映倫区分:NR/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督)フランク・オズ/(脚本)ポール・ラドニック/(音楽)デヴィッド・アーノルド/(原作)アイラ・レヴィン『ステップフォードの妻たち』


【キャスト】

ニコール・キッドマン/マシュー・ブロデリック/ロジャー・バート/ベット・ミドラー/グレン・クローズ/クリストファー・ウォーケン


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ポイントレビュー


■社会派SF作品として観やすい構成にはなっている

猿渡 りん子
猿渡 りん子
SF担当
ポイント:221/333|評価:GOOD

25年も前のSF作品ですが、現代の作品と比べても、主演の美しさ、映像美に遜色はございません。若干の近未来的な要素をはらんでいるので、演出面ではやや古めかしさを感じる部分はあるかもしれませんが、出て来るアイテム等の中に現在では当然に使われているものもあったりして返って味になっています。

古きアメリカ的思想について懐かしむというスタンスで展開される話が、今や懐かしまれる時代になってしまったことに気が付いてしまった時には驚きが隠せませんでしたが、ストーリーの根幹となる部分には全く影響がないのは、本作が秀作たる所以だと思います。

外見が同じで中身を変えるのか?中身が同じで外見を変えるのか?というのが、偶然にも本作の主題の一つでありますから、観る時代に関係なく面白くて当たり前ですよね。(しかも本作自体も1975年に作られた同タイトル作品のリメイクです)

また夫婦間のジェンダー的な問題を取り入れているのにも関わらず、どんな視聴スタンスで観ても楽しめる万能型の構成になっていますので、それこそ、夫婦平等にお楽しみ頂けるのではないでしょうか。ただ、本作を見てケンカになっても責任はとれません。夫も妻も考え方によっては、本作に乗っかってキレる人はキレてもおかしくない、評価の別れる作品だとは感じました。


■社会問題についての議論好きと見ると面白くなくなっちゃうかも?

試文 書人
試文 書人
サスペンス担当
ポイント:185/333|評価:GOOD

社会風刺的、あるいは思想風刺的な作品と言えばそうだし、ファンタジックな近未来サスペンスと言えばそうだし、ブラックコメディ作品とも言えそうだし、でも、実はそのどれにも当てはまらないとも言えそうな、奇妙な読後感のある映画。

しかも、それでいてまとまっているから、筋のこんがらがりもない。説明の上手な人ってこういう旨い例え話をするよねって、しみじみと思った。

とはいえ、今の時代に本作についてネット上で語り合うには勇気がいりそうですな。もろもろジェンダーな問題に触れているので、ただ映画を楽しみたいだけという方は、そうした議論が好きな人間とは一緒に観ない方が良いかもしれない。

おいどんは映画に関しては大抵一人で観るタイプなので、こんなアドバイスをする資格はないけどね。ああ、大抵一人だよ。大抵周囲に俺だけだよ。悪かったなぁ。


■ニコール・キッドマンに生まれ変わってみたい

橘 律
橘 律
アクション担当
ポイント:215/333|評価:GOOD

うわぁ、ニコール・キッドマンってヤバイっすね。さすが私の愛するトム・クルーズの元妻。イメージに反して背ぇデカい。美人過ぎる~の誇張表現が全く誇張になってない。そして、人が変わったような素晴らしい演技力。マジやばいっす。

どこのどなたが言ったのかは存じ上げませんが、天は二物を与えずって、てんで嘘じゃないですか?っていうか、あのルックスの良さの一物だけでも、こっちにとっちゃえらい脅威ですよ。出来うる限り人生の中で隣に並んで映りたくない存在です。

でもでも、もしもプリクラ(古い?)を一緒に撮ってくれるなら、それは撮って貰う。

そのプリクラを友達に見せたら、確実に「一人撮影の時に、なんで絶世美女のフレーム選んでるの?」と言われるだろうから、「これモノホンなんだぜ……嘘みたいだろ」とドヤ顔で返してやりたいんです!

いや、ドヤ顔じゃないか。そこは分かっていてもやっぱり落ち込むでしょうね……何やかんや言って、少しは女性として勝ちたいですもん。

だけど、それぐらいニコール・キッドマンが完璧な美女で、かつ完璧な演技力を持つ役者さんだからこそ、本作は成立したと思うのです。ハリウッドには沢山の美女優がいらっしゃいますが、他の方だとここまでの納得感が得られなかったんじゃないかなぁ。

あと、こういうね、社会派なお話にちゃんと愛を盛り込んでくれたのも好印象でした。本作の真のストーリーテーマって、『夫婦の愛とはなんぞや?』という問いなんだと私は思っていて、そこにはどんな崇高な思想も入り込む余地がないんじゃないかなぁ。

そもそも夫婦観に関して、どの考え方が間違っていて、どの考え方が正しいっていうのは、野暮ってもんですよ。私だって、もしもトム・クルーズと結婚してたら上手くやっていける自信ないですからね(調子乗んな私)。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

このラストじゃ恋愛を四季に当てはめる意味なくない?

猿渡 りん子
猿渡 りん子
メインレビュアー
SF担当/最高評価

TVのリモコンを向けて操作しようとする冗談。そういえば、私が子供の頃に母がよくやっていましたね。今では、私が夫に向かってたまにやっています。結構この遊びをやるご家庭って多かったんじゃないでしょうか?

本作はこの冗談を実際に実用化してしまいましたという設定でストーリーが進み、夫が改造した妻をリモコンで操作します。

オートメーション機能も搭載されているため、リモコンで常時操作するわけではないですが、肝心?の場面では夫達が気軽にリモコン操作する場面が見受けられました。

そんな改造妻ばかりの(夫達によって楽しい町)明るい町、コネティカット州ステップフォードなんですが、この最初の設定部分が私の感覚から言うと、日本の感覚と正反対だな、面白いな、と感じました。

日本だと、妻をリモコンで操作するって冗談ってあんまりやらなれていないような気がするんです。本作がこの微笑ましい冗談から生まれた作品なのかは不明ですが、夫側が妻をリモコン操作しようとしていたという冗談話は、同性の友人からもあまり聞いた事がありません。

コソコソやって、子供と一緒になって密かに笑う遊びですから、もしかしたら私が鈍くて、同じことをやられていることに気が付いてないだけかもしれませんが、この夫が妻を改造操作するというこの設定には、ちょっとした夫婦的文化の違いを感じましたね。

私個人としては、古くから男性的であることは野心的であることであり、女性的であることは献身的であるという考えが根付いているのが日本的な家庭というイメージでしたから、妻側が夫側をリモコンでコントロールしたいという考えの方が多いような気がします。

靴下を左右バラバラにして洗濯カゴにぶち込んだりとか、後片付けはしない癖にたまに料理をしただけで、家事に積極的な夫をアピールしたりですとか、夫に対して直して欲しい、やめて欲しい、コントロールしたいって行動はこうした些細なことばかりですが、溜まりに溜まるとそれはもう、本作のようなリモコンが欲しくなることもあります。

海外で日本人女性がヤケにモテるという真偽不明な噂話も、こうした部分から来ているのだと思っていました。あながち嘘ではないのかもしれませんね。

しかしながら、本作の核心部分に入って来ると、このような認識は私の勘違いだったことが明らかになりました。夫も妻もこうなって欲しい、こうして欲しいというのはお互いに合って、お国柄関係なく、ジェンダー的な理想像を押し付けたくなる気持ちがあるというお話だったんですね。

それだけにラストは衝撃でした。

本作程ではないにしろ、私も夫にもっとこうあって欲しいというのは常に抱いていますし、夫側も私に対して常に抱いているんだと思います。

序盤はジェンダーの問題を全面に出した作品だとばかり思っていたんですが、異常なまでにテンポよくしかもリズミカルに、「これは穏やかじゃないぞ」という雰囲気がグングンと迫ってくるので、社会的な問題としての複雑性は娯楽性へと昇華された感がありました。

元々男性がどうあるべきとか、女性があるべきかという問題はそれぞれに答えがあるものであって、絶対に正しい考え方なんてありえないんですから、それならブラックコメディ化して作品として現状を楽しんでしまった方が有益な気がします。

ラストに関しても、結局は人生のパートナーである二人が幸せともに幸せな着地点を探すのが一番なんだって、私なりに解釈出来たつもりです。特に最終最後の男性陣たちの一言は、何だか微笑ましさすら感じられて、日常に戻ったような心地が漂っています。

SFはこういった社会派作品に意外とマッチするもので、この手秀作は沢山ありますが、それらの中でもかなりバランス感覚に優れた作品です。本作の性別を正反対にしても成り立つお話だったので、そちらのバージョンを見てみたい気持ちになりました。本作もリメイク作品ですしね。

でも、もしも逆転パターンでリメイクするとしても、この点に関しては、結論を変えて欲しくないですね。作中で主人公のジョアンナが言っていたように、現実では妻だろうが、夫だろうが完璧なのはつまらないですよね。色々と考えさせられた割には、結局今のままでいいんじゃない?って言っているような作品に私には感じられたので、多少ワガママではありますが、そこの部分は同じイメージでお願いしたいです。

色々と好き勝手に私見を述べてしまいましたが、本作を見て皆さんはどう感じたでしょうか?本作品自体も面白いですが、本作を観たそれぞれの感想も面白そうです。男性も女性も最終的には単なる家庭での愚痴大会になりそうですが笑

本作の名台詞

どこかで人生をやり直さない? 新しい結婚生活を始めるの

出典:ステップフォード・ワイフ/VOD版

役名:ジョアンナ
演:ニコール・キッドマン