洋画『トータル・リコール』/そこそこシリアスなSF映画でもやっぱりシュワちゃんは大暴れ!

スコア:832/999

トータル・リコール出典:東宝東和
『トータル・リコール』


【あらすじ】

ダグラスは行ったはずもない火星の夢に悩まされ記憶を売る会社に行くが、とある理由で追い返されてしまう。帰宅した彼だったが、恐るべき事態に遭遇。現在、エネルギー会社の支配下に置かれている火星へと向かう。


【作品情報】

公開:1990年6月1日(アメリカ)|1990年12月1日/上映時間:113分/ジャンル:SF/サブジャンル:サスペンスアクション/映倫区分:全年齢/製作国:アメリカ/言語:英語


【スタッフ】

(監督)ポール・バーホーベン/(脚本)ロナルド・シュゼット,ダン・オバノン,ゲイリー・ゴールドマン/(音楽) ジェリー・ゴールドスミス/(原作)フィリップ・K・ディック
『追憶売ります』


【キャスト】

アーノルド・シュワルツェネッガー/レイチェル・ティコティン/シャロン・ストーン/ロニー・コックス/マイケル・アイアンサイド/マーシャル・ベル/ロバート・コスタンゾ


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ポイントレビュー


■本作から私のSFファン人生は始まったのかもしれない

猿渡 りん子
猿渡 りん子
SF担当
ポイント:300/333|評価:GOOD

ちょうど30年前に公開された近未来SFです。私の初見は地上波放映でした。まだ当時は小学生ぐらいだったので、細かい部分は全くわかりませんでしたが、何だか凄いものを見たなぁという印象を受けたのを覚えています。文字通り小学生並みの感想ですね。そして、中学ぐらいになって改めて見ました。もしかしたら、本作を再見した辺りからかもしれませんね。私がSFモノを好きになり人生が狂いはじめたのは……もう後戻りは出来ません。


■シュワちゃん主演にしては珍しいタイプの映画

山守 秀久
山守 秀久
アクション担当
ポイント:261/333|評価:GOOD

ひたすら懐かしいシュワちゃんの作品。彼が主演のアクション映画の中では『ターミネーター』と肩を並べられるほど、シリアスなお話です。初見時も衝撃でしたが、今見ても衝撃度はさほど変わりません。流石に宇宙系の映像は古すぎて、現代には通用させるのは難しそうですが、それを補って余りあるほどの知的かつ骨太な展開になっています。失礼な話ですが、シュワちゃん主演作品でこういうお話は大変貴重だと思います。


■またしてもトラウマシーンが蘇ってしまった

試文 書人
試文 書人
サスペンス担当
ポイント:271/333|評価:GOOD

例のトラウマシーンがいまだに目に焼き付いている。久しぶりに見たから夢に出て来そうだ……と一瞬思ったが、今見るとそこまでグロくない。大人になったってことかな?本作は20年以上の時を経て、2012年に同名のリメイク版(元々原作小説がある話なので厳密には違う)が公開されたほどの超名作である。シュワちゃんの映画は大味でちょっとなんて人でも本作だけは見るべきだと思う。いやぁ、30代の懐古用にドンピシャの映画だねぇ。


メインレビュー

ネタバレありの感想と解説を読む

ややこしいハズの話をシンプルにまとめた奇跡のSF

猿渡 りん子
猿渡 りん子
メインレビュアー
SF担当/最高評価

地上波の吹き替え版でしか見たことがなかったので、VODで見る字幕版が非常に新鮮でした。もう以前に見た時から10数年以上経っているので、そのせいもあったのかもしれませんね。

しかし、改めて感じるのは、「この映画、人間もミュータントも物凄い殺されるなぁ」ってことです(笑)。

血みどろのホラーが苦手な私なのに、なんでややキモめのミュータントは平気なんだろう?そこそこ残酷な殺され方をするのに、どうして本作に関しては余裕で見てられるんだろう?

流し見を含め、もう何度も見ている作品なのでそんなことを考えながら見ていたんですが、詳細な分析の結果、その理由が分かりました。

それは現実の世界では起こり得ない話だからです。そもそも映画のお話なので、これを言い出したら全部がそうじゃないかと言われてしまいそうですが、いやぁそれは現実にはないでしょうって話は確実に存在しますからね。

本作に関しても、まだ現代においても月にしか着陸出来ていないわけで、これからどんだけ頑張って科学が成長しても、あの世界を作るのは私が生きている間は無理。作中で、火星内で暮らしている方々は酸素が薄いから建物内で引きこもって暮らしていましたが、あの施設を建設するのも無理。

私の命あるうちに火星で人類が生活する可能性は、私が幽霊やサイコな殺人鬼に遭遇する可能性よりずっと低い。そう思ってるから大丈夫なんですね。

でも、本作の公開当時や原作が書かれた時は、きっと本気で信じられていたと思うんですよ。近い未来、きっとこういう世界が訪れる。3つのおっぱいを持つ女性や手袋を外したら奇妙な腕が出て来る男性と、ごく普通に火星で交流する世界が来る。

結果的にはそうはなりそうもない現在に至っていますが、本作のストーリー構成と演出効果のおかげもあって、「ありえなくもないかなぁ」と思わせるパワーがきっと公開当時はあったんだと思います。

すっかり想像力が落ちる歳になってしまったので、そういった部分は他人様に任せて完全に楽しませて貰う側に回ってしまった私でございますが、当時のこういう想像力って素敵ですよね。SFとして描いてはいるんだけど、感覚的には当時の現実に即して物語を作り、未来を予想しています。

本作に登場する施設やアイテムの数々は、物が溢れている今では、デザインにしろ、機能にしろ、なんじゃそりゃって突っ込みを入れられてもおかしくない代物でなんですが、何処か夢があるというか、ドキドキさせるような未来への希望を感じます。

これは現代のSF映画ではなかなか味わえない感覚です。

そして、それらを存分に生かした壮大なストーリー!たとえ、現代の若者が見たとしても「映像は古臭かったけど話は良かったよ」と言ってくれるであろう、スタンディングオベーションものの展開だと言っても良いんじゃないでしょうか?

アクション系のSF映画って普通はハラハラドキドキが出来ればそれだけで高評価なんです。でも本作はそこにもう二味ぐらい追加している。そして何よりもありがたいのはお話が複雑じゃないことです。

複雑なSF映画だと『インセプション』なんかが有名ですが、あの映画(大好きですけど)みたいに頭を抱えて考え込むような作りになっていません。

人間関係やら記憶やら宇宙やら、ややこしくなりそうな要素をたっぷり盛り込んでいるのに、漁港近くのお寿司屋さんの海鮮丼みたいに美味しくまとまっています。一度見ただけじゃ話の筋が分からないってことは、よっぽど油断してでもいない限りはないんじゃないですかねぇ。

というわけで、ストーリーについては、古臭さは全くありません。逆に新しさを感じてもおかしくないレベルです。

例の3つの胸の女性が自ら服をオープンしちゃうシーンがあるので、どうぞ改めてご家族でというファミリー映画ではないですが、いいんじゃないかなぁアレぐらい。

同性ながら子供心にも衝撃的で忘れられないし、必要だったもんあのシーン。リメイク版でもきっちり存在してるみたいだしねぇ。面白いし見やすい映画だから見せてあげたいんだけどなぁ。でもやっぱり、もうちょい大きくならないとダメかぁ。妙な性癖に目覚められても困りますし、出だしからやや気まずいシーンだし、シャロン・ストーン出てるし……

だけど私自身は小学校の低学年ぐらいの年齢の時見てるんですよねぇ。うう~ん、一応、レーティング全年齢ですけど、複雑な現代社会を生きる母親としては、子供に見せて良いものかどうか考えモノの映画ですね。

本作の名台詞

あんたは脳みそ泥棒の天才だ

出典:トータル・リコール/VOD版

役名:ダグラス・クエイド
演:アーノルド・シュワルツェネッガー