スコア:457/999
出典:東宝
『寄生獣 完結編』
【あらすじ】
新一をパラサイトではないかと疑った警察は、パラサイトと人との違いがわかるという収監中の凶悪犯、浦上に彼を見せる。浦上は意味深な発言をしつつも「違うな」と答えたが、警部補の平間の疑念は晴れない。
【作品情報】
公開:2015年4月25日(日本)/上映時間:117分/ジャンル:SF/サブジャンル:エイリアン/映倫区分:PG12/製作国:日本/言語:日本語
【スタッフ】
(監督)山崎貴/(脚本)山崎貴,古沢良太/(主題歌) BUMP OF CHICKEN『コロニー』/(原作) 岩明均『寄生獣』
【キャスト】
染谷将太/阿部サダヲ(声)/橋本愛/深津絵里/大森南朋/余貴美子/北村一輝/國村隼/東出昌大(写真)/ピエール瀧/新井浩文/浅野忠信
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ポイントレビュー
■漫画、そしてアニメ原作作品の場合、私の感想は偏ってます……
ポイント:131/333|評価:BAD
こういう映画っていけない事とわかっていつつも、つい、「原作と比べて」という前提ありきで見てしまうんですよね。特に本作品は無印と足すと放映時間も長いので、登場人物のイメージに役者が合ってないだとか、あのシーンに時間を割くんなら、こっちに時間を割けばいいのにだとか、どうしても思ってしまう。
良くないことだとわかっているんですが、無印と完結編を合わせると4時間以上もあるのでね。腰を据えてみるとなると、何故かアラ探しをしてしまう嫌な自分が出て来ちゃうんです。
初見の方にとっては全然悪くない作品だと思います。でも、話の大筋を知っていてそれにすでに感動した経験がある人間にとっては、特別何か新しい感動が見つかるような作品ではなかった。
イライラする場面が少なかったので、苦痛はありませんでしたが、私の感想のまとめとしては、優等生が作った当たり障りのない実写版といった印象です。
ただ、私は漫画原作の実写化作品に関しては、異常なまでに辛辣になってしまう傾向がありますので、若干ソフトな表現で締めくくったということは、そこそこには楽しめた作品とも言えるかもしれません。
その分、あの名原作をして、無難な作品になってしまっているのは残念ではありますが……
■2部構成でも時間的にまとめるのがキツかったのでは?
ポイント:160/333|評価:BAD
これ、物語を凝縮してコンパクトにまとめるのに、かなり苦心したのではないでしょうか?アニメ版ですら、全部で24話も使っていますからね。
無印と完結編の二つに分けただけでラストまですっきり持っていくのは、相当難儀な作業だったことと思いますが、結果的に本作品はそれに失敗し、特にこの完結編は切るべきエピソードと切ってはいけないエピソードの取捨選択が曖昧になってしまっていたような気がします。
ほとんどそのせいで肝心の結末が軽いものになってしまっていると言っていいぐらいです。
ほぼ原作やアニメ版と同じ結末なんですから、原因は完全に明らかです。あの濃密な内容の名作を実写で描写し切るには圧倒的に上映時間が足りないんですよ。
無理に映画にしなくて、連続テレビドラマなんかで良かったんじゃないですか?これ?
それか『20世紀少年』みたいに3部構成にするとか……
原作の流れに沿って突っ走るだけでは、特に原作未見の視聴者は置いてけぼりになってしまうんですよね。私はアニメ版も見ているぐらいですから、ギリギリでついてはいけましたが、作品としては「実写で原作の内容をザックリと説明する再現ドラマみたいなもの」というのがぶっちゃけた感想です。
最近、名作と呼ばれる漫画を無理に映画にしたがる傾向がありますけど、そんなに映画に拘らなくても……と思うのは私だけでしょうか?
TVドラマや連続アニメで満足しちゃダメなんですかね。やっぱり映画の方が儲けが大きいんでしょうか。
■深く考えるのはやめてエイリアンモノとして楽しもう!
ポイント:166/333|評価:BAD
見つけた、見つけちゃった!本作品と同じように、前後編的な作品なのにも関わらず、タイトル表記がズルい作品を!!(注:彼が何故か喜んでいる?理由は前回の『寄生獣』のメインレビューを参照)
その映画の名は『ちはやふる』。
『ちはやふる-上の句-』、『ちはやふる-下の句-』、それはわかる。うん。凄いわかる。百人一首のかるた部の話だから、短歌用語とかけてるんだね。なかなかいいセンスじゃない……で、下の句で終わるんだよね。短歌の四段五段を表す言葉だもん。だから下の句で終わりだよね。
……で、なんなの?『ちはやふる-結び-』って。いや、下の句で終わろうよ。そういう短歌用語あるのかも知らないけど、普通の人の知識では下の句で限界だよ。あぁズルい、ズルいズルい。『結び』なんて相撲でしかしらないよ!
と、何故かテンションが上がってしまい、無関係な話をしてしまったが、まぁ、本作品については、俺と同じように原作、アニメ版共に未見の人なら、普通のエイリアンモノとして見れば、楽しめる作品なんじゃないかな。
完結編に入ってから登場人物の作り込みが浅くなった感が出てくるのでね。じゃあ気持ちを切り替えてこっちも浅い感じで視聴させて貰うよって開き直ったら、最終的には暇な時間を潰せたなぐらいには満足できた。
何事も気持ちの切り替えって大事だよね。
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
『原作のイメージと違う病』を私自身が治さないとなぁ……
メインレビュアー
SF担当/最低評価ミギーの声役の阿部サダヲの口調に結局最後まで慣れませんでした。本作品の前編に当たる無印版では、いずれこっちの耳が慣れてくるだろうと考えていたのですが、どうしても彼の顔が頭をちらつきます。
実写映画とは言っても、やっぱり人外のものに声を当てるのは声優さんに任せた方がいいんじゃないですかね?阿部サダヲは名優だと思いますが、元々味の強い役者さんですし、俳優が声優をやるのは、やっぱり畑違いではないかと。
阿部サダヲが声優に向いていないとは全く思っていませんし、声が浮いている感じもなかったので、むしろ上手い方だとまで思ってます。でも、俳優さんがやると、どうあがいても個人のイメージがキャラクターに強く影響してしまうんです。
だから、結局はそこを常に意識しながら最後まで見るハメになってしまった。原作を読んで話はだいたいわかっていたが故の弊害ですね。
もうこれからはシンプルに実写映画でも人間は俳優さん。人外のモノは声優さんで良いんじゃないですか?特に漫画アニメ原作の実写版は私みたいに小姑みたいなこと言う人多いですよ。
俳優が声優やるのはキックボクサーがボクシングルールで、ボクサーに挑むみたいなもんだし、声優が俳優やるのもボクサーがキックボクシングルールで、キックボクサーに挑むみたいなもんですから。
才能があって、たまたま上手くいっちゃうことはあるかもしれないけど、どうしたって、どちらも「俳優にしては…」「声優にしては…」って枕言葉がついちゃう。
ミギーは物語のテーマの核心であり、中心人物ですから、あの子が少しでも不自然だと、物語全体のバランスが崩れてします。何しろミギーは寄生してるんですから、声を当てる側もさもミギーに自分が寄生しているかのように、彼と共生、あるいは共鳴した声でなくてはならないんです。
難しい注文をつけているのはわかっていますが、せっかくの原作シナリオをより有効活用するためには、こういう細かい部分もしっかりしてくれると嬉しいなぁと思います。
なので、本作品に関しては「やっぱり原作の方が自分の想像通りに声を思い浮かべられていいなぁ」ってことしか残らなかったというのが正直な感想です。
漫画を実写化した作品の世界で言えば、上位にランクしても良いぐらいの出来ではあるのですが、もうこれは『基本的に原作派』の病気みたいなもんでね。どこかケチを付けてやろうと見てしまうのは、治らないクセなんです。
まぁ、私のような人間がいる限り、実写版映画が原作漫画に勝つことは極めて困難なことだと言って良いと思います。原作に勝るとも劣らない日本の漫画原作の実写映画を挙げろと言われたら、すぐに思いつくのは『デスノート』ぐらいですからね。
ただ、ここでも明確に「勝っている」と表現しないあたりに、私のこうした病の根深さを感じる次第です。
本作の名台詞
寄生生物と人間は一つの家族だ
出典:寄生獣 完結編/VOD版
役名:田宮良子
演:深津絵里