スコア:796/999
出典: 東宝
『下妻物語』
【あらすじ】
何処か人生に達観したロリータ少女のモモコは、父が開発した偽のベルサーチをヤンキー少女のイチゴに転売した事をきっかけに交流を深める。趣味も性格も全く違う二人であったが、次第に奇妙な絆が生まれていく。
【作品情報】
公開:2004年5月13日(カンヌ)|2004年5月29日(日本)/上映時間:102分/ジャンル:コメディ/サブジャンル:青春映画/映倫区分:NR/製作国:日本/言語:日本語
【スタッフ】
(監督・脚本)中島哲也/(音楽)菅野よう子/(主題歌)Tommy heavenly6『Hey my friend』/(原作) 嶽本野ばら『下妻物語』
【キャスト】
深田恭子/土屋アンナ/樹木希林/宮迫博之/篠原涼子/小池栄子/阿部サダヲ/岡田義徳/矢沢心/生瀬勝久/福田麻由子
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見放題配信
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ポイントレビュー
■何故か思い出される大手スーパーのフードコートの味
ポイント:265/333|評価:GOOD
コメディ映画にありがちな、ここ笑うところですよ感を巧みに回避している名作。こってり目のハリウッドのコメディが苦手な人にこそオススメしたい。ジャンルはドラマでも良かったかも。
子供の時にフードコートで食べる何故かヤケにワクワクしたよね。出て来るの早いし、種類も豊富だし、親の財布にも優しいから気を使わなくてもいいし。そんな感覚の邦画コメディドラマ。
大手のファストフードもフードコートで食べると何だかさっぱりした味な気がしない? 豪華絢爛の出演陣の後味を残さない登場の仕方だから、観客にとって、お手軽に、お気軽に、それでいて思い出に残る一作になると思う。
ガキの頃にスーパーのフードコートで食べた塩ラーメン旨かったなぁ。おばちゃんたまに間違えて、醤油用のタレ入れてたけどさ。
■ダブル主演二人の仁義なきカワイイの戦い
ポイント:250/333|評価:GOOD
父に聞いたところによると、その昔ビューティペアなる女子プロレスのタッグがあったのだそうで、邦画におけるビューティペアと言えば、本作の深キョンと土屋アンナもその候補の一組に挙がるのではないでしょうか?
映像が可愛く美しい上に、主演も同じく可愛く美しいってのは反則です。映像のおかげで主演二人がそう見えるのか、それともその逆なのかは定かではありませんが、そんなのどうだって良いですよね。
どんな御託を並べたってカワイイは正義。いいえ、カワイイは仁義です。男女問わずに楽しめる作品ではありますが、女性には特にオススメです。ドロドロした女の友情ばかりが描かれがちな邦画の世界ではかなり画期的な作品。こういうことだってあるんです。
……うん、きっとあるよね。あるって信じてるアタイは。
■リズム良し、テンポ良し、映像良し、イオン良し
ポイント:281/333|評価:GOOD
テンポの良さもさることながら、独特のリズムに乗せた映像展開がお見事。唯一の難点はDVDジャケットか何かの第一印象で内容を決めてかかって見てしまうと、どうせ下らないチグハグ少女コンビの話だろ?って否定から入る頭でっかちな観賞になってしまうことぐらい。
タイトルだけ見ると純文学作品の香りはするんですけどね。これ、公開当時下妻の方々はどう思ったんだろ?自分だったら地元をこんなに面白く描いてくれたら嬉しいですな。本作でも語られているプチ田舎民にとってイオンのありがたさは言わずもがなですが、そのあたりの「あるある」も含めてご堪能頂けるかと思います。
しかしこれ、公開されてもう15年を超えてるのか……今見ても全く古さを感じないどころか新鮮な作品ですわ。
メインレビュー
- ネタバレありの感想と解説を読む
映画だって友情だって面白かったが大事じゃない?
メインレビュアー
オールジャンル担当/最高評価深田恭子をあの謎の高視聴率連続ドラマ『神様、もう少しだけ』の頃から嗜んでいる私からすると、随分と女優としての株が上がった作品だったのではと思えてなりません。当時飛ぶ鳥落とす勢いだった金城武には、TVゲームの『鬼武者』でもお世話になりましたが、深田恭子のベストバディとしては、この『下妻物語』の土屋アンナを個人的には推したいと思っております。
本作品は、当サイトでもご紹介したことがあり、かつほんのりディスってしまった、あの『渇き。』の中島哲也の監督脚本作品です。いや、この監督の作品大体が相当面白いんだよ。だから、期待値が高かった分、あの時は仕方なかったんだよ。ごめんよ。本当にごめんよ。
え~、中島監督の代表作は本作と『告白』あたりかな?いやいや名監督です。大丈夫です。大丈夫ですよ。
と、話がいつものように物語そのものから逸れそうなので、元に戻させて頂きますが、おそらく本作の主題であろう「女同士の友情」という観点をこれほどまでにロリポップヒップホップに描いている作品はあまり思い浮かびません。
私自身が男性であるので、女性同士の友情というものに知識に明るくないのですが、こういうことなんじゃないの?って、結局は面倒くさいところ、合わないところを含めて、一緒に過ごして楽しいかどうかなんじゃないの?と教えてくれるようなお話でした。男も女も友情に具体的な定義はなくて、ぼんやりと楽しい、そして側にいると幸せという感覚がそれに当たるのだと思います。
それでいて、本筋を彩る横道に逸れたサブストーリーも無駄がなく、無関係なようでいて、二人の絆を深める上で不可欠なものになっている。こうした端々のお話は、全て本筋をこうこうこういう風に持っていきたくて張られている伏線を張っているわけじゃないんです。自然と脚本を書いていたら結果的に伏線になったなという流れ。
もちろん、脚本を考える際には様々な仕掛けを意図的に散りばめていたんでしょうけど、イチ観客としてはそういう匂いには全然気が付けませんでした。
主演以外の二人の脇を固める、樹木希林、生瀬勝久、阿部サダヲ、宮迫博之、岡田義徳、篠原涼子、小池栄子、といった大御所&くせ者+超美人揃いの出演陣がこれだけいるのに、くどさもないし、何なんでしょうね。これは。生瀬勝久なんて普通なら、名優の無駄遣いと言われかねないほどのチョイ役ですよ。
考察すれば、考察するほど、深く見た方がいいのか、軽い気持ちで見た方がいいのか良く分からない作品です。ラストもドンでん返しがあるってわけでもないし。うん、軽い気持ちで見てみて、あとで適当にそのメッセージ性を重く受け取ってというのが一番良いかもしれません。
……すみません、やっぱり違いますね。「面白かったでいいじゃん」で正解か。映画はエンターテイメントですからね。
ただ、作中の描写に一つだけ文句があります。
パチンコは釘が良いからって必ずしも当たるわけではありません。試行回数(当たりへの挑戦回数)が増えて当たる可能性が高くなるだけです。その可能性が生まれつき低く設定されてる人もいるんです。ま、作中で当てまくっていた桃子は、可能性の固まりみたいな女の子でしたから、良しとしましよう。
ちなみに本作のロリータファッションのブランドさん、相当有名で本当にあるそうです。株式会社ベイビー、ザ スターズ シャイン ブライトとおっしゃいます。代表は礒部明徳さん。岡田義徳が演じた役名も磯部でしたから、なかなか懐の深い会社様です。勉強不足で申し訳ない。普段イオンで服を買っているものですからどうしてもそこら辺には疎いんです。
ですが、あちらも中々お洒落ですよ。私は「当日は平服でお越し下さい」の平服って、イオンとかで売ってる服のことだと思ってます。
本作の名台詞
幸せを勝ち取ることは 不幸に耐えることより勇気がいるの
出典:下妻物語/VOD版
役名:竜ヶ崎桃子(子供時代)
演:福田麻由子